東京散歩

散歩をするのには東京は本当に楽しい場所だと思う。
もちろん他にも歩きがいのある街はたくさんあると思うけれど(地方へツアーに行くと、ライブの翌朝に近所を散策して朝ご飯を食べるのが楽しみだったりする)、しかしながら東京はそういう興味深い街がいくつも結びついて連なっている。

今でも都内に仕事に出て時間が余れば適当にふらふらと歩いたりするが(例えば六本木から青山一丁目に抜けて絵画館の側を通って国立競技場まで行ったり)、20代の頃は仕事もなくて暇だったので、よく美術館やCDショップ、本屋に行き、帰りに2、3駅分歩いて途中でコーヒーを飲んだりしていた。

自分のCDが初めてお店で売られる時(vusikの「Cinematic scenery is here」)、目黒のHMVまで見に行って(ちゃんとありました)帰りに植物園にふらっと入って歩き回り(雨上がりだったので靴を泥だらけにしながら)、白金の住宅地にある感じの良いレストランなんかを横目に歩き、南北線で帰宅した記憶がある。当時は駒込に住んでいたので南北線をよく使っていた。あのちょっと落ち着いた雰囲気が好きなんだなぁ。

駒込は山手線の巣鴨の隣。六義園という素敵な日本庭園のある閑静な側面がある一方、上野へと続く昔ながらの下町という顔ももっている。住んでいた頃は六義園の年間パスポートも持っていたのでしょっちゅう散歩していた。今考えると贅沢な散歩だ。春にはよくテレビ中継される有名なしだれ桜が見どころ。

個人的に好きなのは上野公園に向かって日暮里などの下町を歩くこと。雑誌では食べ歩きの特集もよく組まれている。一本脇道に入って行くとすぐにお寺やお墓があって、そういう感じも妙に落ち着いてまたいい。

神田から日本橋を経由して東京駅の地下街を徘徊するのもまた心楽しい。職業柄ほとんど行くことがないエリアなだけに、社会科見学をしているような新鮮な気分になれる。適当な食堂に入って背広を着た人たちに混じってお昼を食べていると、自分が場違いなところに来てしまったような気がして変な汗をかくが、でもそれも実は楽しかったりする。
神田とか昔ながらの美味しいコーヒーを出す喫茶店が結構あったりして散歩のしがいがあるなぁと思う。

... とまあ、東京にあまり来ない人にとっては退屈な内容になってしまったけれど、東京って歩いてみると意外と砂漠ではなかったりする。


目指せ書籍化📓✨ いつかライブ会場のグッズ売り場にエッセイ集を平積みにしたいと思います。