仕分け人

この家に引っ越してきてそろそろ一年が経つのだが、いよいよ部屋に物が溢れてきたので模様替えがてら断捨離することにした。
でも断捨離と言いつつ、狭いこの仕事部屋に新たに一人用ソファを置きたいという思いに駆られてしまって、さてどうしたものか。

とにかく、まずソファを置くことは決定事項とした。
最近は仕事より...いや仕事と同じくらい休憩時間に重きをおいているので、快適な休憩空間は必須なのである。

そうなるとどうにかしてスペースをひねり出さないといけない。
ということで、後先考えずに現在部屋にある棚を二つ撤去することにした。
棚の中身はどこに置くのか?
わからない。まず棚をなくしてから考えよう。

といった具合にノープランで模様替えは進行していく。
案の定、撤去する棚の中身が行き場なく放り出され、部屋の中は荒らされたみたいにぐちゃぐちゃになる。
さて、どうしたものか。

混沌とした部屋を腕を組んで30分くらい眺めてから、おもむろに「仕分け」の作業に入る。これはいる、これはいらない、これは取っておく、これは取っておかない。
なかば強引に収納スペースがぐいっとえぐり取られたので、いつもはゆるく居場所を与えていた物たちにシビアなジャッジを下すことになる。
冷徹な仕分け人となって極めて険しい表情で淡々と作業が進められる。

「こんなに収納スペース削っちゃって、この溢れた物はどうするんだ」と内心思いながら最初は作業をしているのだが、もう置いておける場所が限られているとなると自然と本当に必要なものが見えてくる。
「なんでこんな使わないものにこんな一等地を与えていたのか」と憤慨することもしばしばだ。

こうして不思議なことに、棚を二つ減らすことで不要なものが吐き出され、ちゃんと一人用のソファを置くスペースが生み出される。
気分もだいぶスッキリする。
年に1,2回は部屋の収納や配置を見直して、物も気持ちも断捨離したいものですね。

ところで物置送りにしたあのダンボール箱の奥底にやっぱり使いたいケーブルを一本仕舞い込んでしまった気がするのは気のせいだろうか。

目指せ書籍化📓✨ いつかライブ会場のグッズ売り場にエッセイ集を平積みにしたいと思います。