自力の美学

年末年始に実家で親と話していた時に、初めて買ったギターの話になった。それは中学2年生の時で、買ったのはLUNA SEAのギタリストINORANさんモデルの紫色のギターだった。黒から紫色に変わるグラデーションが綺麗で、たしかピックアップはSSHだった。

記念すべき初ギターだったが、どこで買ったのかがなぜか思い出せない。親に聞いても全く思い出せず、それよりもギターを買った数日後に左手首を骨折したなぁという話に。(陸上部の大会で200メートル走をゴールした直後に転倒したのだ)

いやぁ、あれは夏だったし大変だった。ギプスの中が蒸れてかゆくなるので、細長い棒を入れて掻いてたよね...
などと話すんだけれど、一向にどこで買ったかは思い出せない。

それよりもシンセサイザーが大変だったよな、という話になる。
そう、実はギターを始める前は鍵盤をやっていたのだ。
というか、やろうとしていたのだ。結構高いシンセサイザーを買って。
でもピアノの経験もなく、周りに弾ける人もいなかったので全然上達せず、やっぱりギターのほうが楽しそうだな、と思い始めて先ほどのギターを買うことになったのだ。

この某社製のシンセサイザー、スピーカー内蔵型なのでとんでもなく重い。それを池袋のお店で購入して、あろうことか配送ではなく自分で持ち帰る選択をしたのだ。
しかもこれまた信じられないくらい重いアルミ製のハードケースと必要以上に堅牢なキーボードスタンドもセットだった。一体総重量は何十キロだったのだろう?

そのヘビー級セットを母親と二人で電車で持って帰ってきた。はずだ。
しかしまたここで記憶がない。どうやって持って帰ってきたのだろう。
母親に聞いてみても全く覚えていない。自分も全く思い出せないのだ。
運んでいる姿、その時見た景色が一切頭の中に浮かんでこない。
結局、まあ大変だったよね、という感想だけが二人の中に残っている。

ちなみに初めて真空管ギターアンプを買った時のことはよく覚えている。
これも池袋の楽器店で購入して、配送ではなく自力で運んだ。
翌日、腕と背中が自分の体だという感覚がなくなるくらいバキバキの筋肉痛に見舞われた。
きっと当時は「配送」という概念がなかったんだと思う。

まあ今となっては全部良い思い出である。


目指せ書籍化📓✨ いつかライブ会場のグッズ売り場にエッセイ集を平積みにしたいと思います。