WBSで放送されたJリーグクラブが挑む“芝ビジネス”(ガイナーレ鳥取・鹿島アントラーズ)について
こんにちは、守屋です。
昨日WBSで放送された【Jリーグクラブが挑む“芝ビジネス”】について今回は簡単にどんな放送だったかと、補足を含めて感じたことをお伝えできればと思います。
Jリーグクラブの芝ビジネス、鳥取の抱える課題も解決!?
にしき幼稚園の子供たちがJ3ガイナーレ鳥取の本拠地であるチュウブYAJINスタジアムで芝生で楽しそうに遊んでいる。
鳥取にあるにしき幼稚園が7月に建て替え予定で芝生化も検討。費用は約400万ほど。
幼稚園側の懸念はメンテナンス。誰がするのか、維持できるのかどうかなど。親は怪我防止などもあり、芝生化に期待している。
そこにやってきたのがガイナーレ鳥取の高島さん。
スタジアムで作っている芝のノウハウを使って、芝を作るプロジェクトをやっている。
ガイナーレ鳥取は自ら芝生を育て販売している。
ガイナーレ鳥取は3年連続営業赤字
そこで芝生を新たな収入の柱としようとしている。芝生のメンテナンスの負担を減らすための仕掛けが
ホンダのロボット芝刈り機。人に変わって自動でグラウンドを整備してくれる。
Miimo(ミーモ)HRM520
537,840円(消費税抜き本体価格 498,000円)
ホームセンターや市販で売っているところと比べたら半分くらいの値段で作れる。ガイナーレ鳥取が芝ビジネスに乗り出した背景には鳥取県が抱えている問題がありました。
完全な耕作放棄地、こういったところを芝にしたい。
もともと畑や田んぼだった土地。農業の担い手不足で米子市だけで約130ヘクタールが耕作放棄地になっている。
街の人は、
なかなか作り手がいない。後継人がいない。
町の課題となっている土地を安く借りることで芝の価格を抑えようという狙い。
土地の利用が進まなかった理由の一つが土。
・砂のような土。
・植えられる作物が限られている。
しかし、芝には向いている。芝を作るのにはメリットも。地下水が豊富な地域。1メートル掘るくらいで水が沸いてくる。
くみ上げの電気代とポンプ代くらいで水まきができる。
この環境を生かしてガイナーレ鳥取の芝は市販と比べて半額程度。
高島さんは、
「単純にサッカーしているだけではなくて、地域とのつながりや地域を巻き込んで何か一緒にビジネスを作っていく」
鹿島サッカースタジアム、スタジアム運営が変わる!?
熱い戦いが繰り広げられるこのグラウンドにもある課題が。
Q平日はあまり使わない
鹿島アントラーズFC 鈴木秀樹取締役
A「年間100試合くらいやるが200日くらいは使っていない」
通常、試合後は芝生が傷んでいるため人の立ち入りを制限していました。
鈴木取締役は、
「(スタジアムの)稼働率を上げないとビジネスとして成り立っていかない。稼働率を上げるためには芝を変えていく。」
そこで鹿島アントラーズが開発したのが、剥がれにくくて回復が早い新種の芝。
こんな激しいプレーでも芝が剥がれていない。
従来の芝は縦に伸びていくので、剥がれた部分が中々塞がらない。一方新種の芝は横に生えていくので剥がれても周囲から補いあうように穴を埋めていく。
回復を早めるためにこんな機会も。ピンク色のライトが芝を照らし出し太陽に近い光を出す機械。傷んだ部分に当てることで夜でも芝が回復できるという。
このような取り組みでカシマスタジアムの稼働日数を100日から150日まで増やしサッカー以外にも使用できるように。
「通常、試合と試合の間は4日のメンテナンス期間を設けていたが、この新品種では3日で回復できるようになった。」
コンサートやキャンプ、盆踊りや運動会などに広げていきたい。
特集の最後に大江キャスター
「今、鹿島アントラーズには、色々なスタジアムや海外のサッカークラブから芝生に関するノウハウを生かして芝生のコンサルティングをしてくれないかという声が寄せられていて、実際に前向きに考えているという」
放送を見て感じたこと
今回はガイナーレ鳥取と鹿島アントラーズの芝ビジネス
・芝を通じて地域を巻き込んだビジネスにする。
・芝そのものを見直し新種の芝を開発し、ビジネスとして稼働日数を上げていく。
という芝に特化した放送でした。もちろん「ハイブリッド芝」であるノエビアスタジアム神戸なども新たな試みだったりしますが、今回の放送で私が感じたのは、
「たとえ週末のサッカー観戦でなくても、スタジアムに足を運んでもらえるきっかけを作ることが地域密着でありスタジアム(クラブ)の役割になってくるのでは」
という部分です。サッカーの試合は一般的に週末に行われることが多いです。(J1などでは平日開催もある)
そう考えるとスタジアムを作ったところで、週末にしか稼働しないのは大きな建物として非効率であることは間違いありません。
その為に多くのワールドカップを誘致し、開催に合わせてスタジアムを建設したものの、それ以降は稼働した収入と維持費のバランスが悪く赤字のスタジアムの方が多かったりします。
それを考えると今後は専用スタジアムを作ることは全く問題ありませんが、そこにサッカーが開催されなくても誰でも気軽に寄れるテーマパーク化が必要かと感じます。
海外ではイタリアのセリエAの強豪、ユベントスがすでに新スタジアムを作り効果を出しています。
ユヴェントスの新スタジアムは、ネーミングライツ契約によってアリアンツ・スタジアムと呼称され、これによって200億円の建設費のおよそ半分を回収。スタジアムの近くにはホテルやショッピングモールなどを併設した“Jヴィレッジ”と呼ばれる施設を作り、ここに本社やトップチームの練習場も建設する予定だという。
これらの施策が功を奏し、昨シーズンの762億円以上の売り上げを達成。さらに、2010年の122億円の赤字から81億円の黒字へとV字回復を成し遂げ、世界10位となる大きな利益を上げることに成功した。
ユヴェントスが目指す「サッカークラブ以上の存在」その戦略とは
立地条件なども含めてすべてを真似すれば良いというわけではありませんが、その地域に合った独自のイベントや地域と繋がれるものがスタジアムを通じてあることで、スタジアムをより身近に感じてクラブを知り、選手をしり、その街にあるサッカークラブを自然と応援する形になっていくのではないでしょうか。
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