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読書がもたらす、自分との会話

さて、前回は読書が想像の向こう側に自分を連れて行ってくれることについて書きました。

特に小説については、自分の知らない職業だったり、
自分の知らない世界が広がっているわけです。

ふむふむなるほどね。
と読んでいけば読んでいくほど、
自分だったらどうするだろう。
自分だったらどう考えるだろう。

と、自分と向き合うことになります。

ここにまた、読書の面白さがあるような気がします。

このブログでも「面白い本」「ハマる本」について
書いてきましたが、やっぱり「共感」が大事であるということは
繰り返し書いてきました。

特に主人公の気持ちに共感できる、感情移入できる。
主人公ではなかったとしても、登場人物の誰かが自分に似ていたり、
「そうだよな、そうするよな」
「そうだよね、そう考えるよね」
というところが多い小説にハマってしまうと思います。

でも、それって、
「自分がどう考えるのか」がかなり炙り出されていると思います。

いざというとき、何かがあったとき、
自分はどう考えるのか、
自分はどんな行動をとるのか。

やっぱり正義が重要と考えるのか、
それとも欲望が重要と考えるのか。

何に「共感」するのかによって、
「自分」が引き出されるような気がします。

その突き付けられた自分を受けいられられるのか、
「そんな風に考えていたのか」と、
自分自身に驚くこともあります。
それが読書の楽しみです。

また、
「自分」って結構変わっていきますよね。
見た目は変わらなかったとしても、「自分」を構成するものは変わっていくもの。

もちろん細胞レベルでも、1日に1兆個ほどの細胞の入れ替わりがあるわけですが、1日1日経験を増やしていく中で内面もどんどん変わっていくと思うんですよね。

だから、10年前に読んだ本を久しぶりに読んだりしてみると、
まったく受け止め方が変わっていたりする。

「アレっ、この本、内容変わった?」
と真剣に思ってしまうぐらい、受け止め方が変わっていたりする。

落ち着いて考えてみれば、内容が変わるわけもなく、
受けての感受性が変わっているわけです。

10年前にはわからなかったことがわかるようになっていたり、
10年前には感じられた情熱が、あまり感じられなくなっていたり。

こちらの状況や環境、内面の変化によって「本」が変わる。

そういう自分の観測もできるところが読書の面白さなんじゃないかなと思います。

傲慢と善良。

突然ですが、個人的にこの作品は辻村深月さんの中で最高傑作だと思っています。

この作品、婚活をしていたアラフォー男性が主人公になっていたわけですが、読んだタイミングが自分の状況にめちゃくちゃフィットしていたんですね。

だから読み進めていく中で「えっ、これオレが書いたんじゃないか」と思うぐらい共感できることがあったわけです。
婚活をしている中で生まれる内面の葛藤が、心が抉られるぐらいリアルに描かれている。読みながら苦しくなるぐらい、正直に描かれている。
でも、その一方で、その気持ちを分かってくれる人がいたんだな、あの気持ちをこんなに言語化してくれる人がいるんだなと半ばホッとしながらページを進めていくわけです。


しかし、この本、自分が高校生の時に読んだら、
こんなに「良い本判定」をしたのかどうかは正直自信がありません。

そのぐらい、本というものは読み手の感受性だったり、その時の状況に評価が左右される気がします。

それもまた面白い。

一般的に面白いといわれるものが、自分に合わない可能性があるのもそこに起因しています。


だからこそ、自由に読めばよい。

そして読みながら自分に正直になっていけばよい。

本と対峙しながら、自分と対峙する。

正直な自分の声に耳を傾ける。

そんな読書を、これからもしていきたいと思います。



ここまで読んでいただいてありがとうございます!

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