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芸術をテーマにした読書

昨日は「線と僕を描く」について書いていきました。

芸術をテーマにしている小説は、なかなかそれを文字だけで連ねていくのは難しいと思います。
でも、すごくわかりやすい。

特に「水墨画」は全く日常の世界とはかけ離れていくのでイメージがしずらかったものの、その世界をきちんと伝えつつ、
主人公の内面にも迫ってくれました。

映画化もされているんですね。

かなり設定は違うようですが、観てみたいと思います。


人間の内面を突き詰める小説は面白い


やはり秀逸だと思ったのは、
主人公の内面の葛藤を、これでもかとあらゆる言葉を使って表現してくれていたところ。

作品と向き合うということは、自分と向き合うということ。

何を描きたいのか。

賞賛されること、承認されることを超えたところにある、
自分自身をただ、表現するという作業。

技術を追い求めた方がもはや楽なのではないか、
しかし技術だけを追い求めると、
それがまた作品に残酷なほど表されてしまう。

読み手にとっては知らない世界、わからない世界なのにも関わらず、
読んでいると「水墨画」の世界に惹きつけられてしまう。

こういう小説は面白いですね。

さて、感動したからこそ、前置きが長くなってしまった。。。

せっかくなので今日は「蜜蜂と遠雷」についても。

昨日のブログでも「蜜蜂と遠雷」についてはちらっと触れました。

改めてこちらもみんなに読んでほしい作品です。


「音楽」を「小説」にするということ


こちらは同じ芸術でも音楽の話。

世界的に有名となった芳ヶ谷国際コンクール。
このコンクールで大賞を獲るのは誰なのか。

これだけ紹介するとすごくサラッとありそうな小説なんですが、
まずは「音楽」を「小説」にする挑戦。

これが物凄いことだと思うんです。

音楽は、耳から感じる芸術。

小説は、目から感じる芸術。

それなのに、音楽を目から感じさせようと挑んでいるところに、
そもそも著者である恩田陸さんの覚悟を感じます。

文庫版のあとがきには編集者の方の記載がありましたが、
(私が)著者の最高傑作なのではないかと思う一方で)編集者の方から見ているとこの小説はやはり、途方もないほどの「産みの苦しみ」があったようです。

読むのは簡単だけど、やっぱり書くのって本当に大変なんだよな。
当たり前だけど。

音を文字で「聞かせる」にはまず語彙が必要。

「線は僕を描く」でも思ったけれど、
専門用語を使いすぎても読者にはわからないし、
かといって使わなければ、リアリティに欠ける。

だからこそ、読者にわかるように説明しながら、
その世界に没入させていく。

芸術をテーマにしながら「売れる」小説は、
やはりその辺りの塩梅が非常に上手です。

「蜜蜂と遠雷」もピアノを題材にしながら、
やっぱり技術を超越した世界を描いてくれています。

また、この小説の面白いところは、
コンテスタント(出場者」だけでなく審査員(評価者)の方からの視点も描いているところ。

結局のところ芸術とはいっても、
人間が作り出したものであり、
審査の中で審査員も試される。といった視点が、
読み手に緊張感すら抱かせてくれていました。

ここに毎日つらつらと、思うことを書いていても、
やっぱり語彙があるといいよなぁと思います。

今日の2作品に共通しているところは、
使われている日本語が非常に美しい、というところ。

美しい日本語を使いながら、
日常を過ごしていきたいものです。


ここまで読んでいただいてありがとうございます!

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