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【ミカタをつくる広報の力学】 #09 プレスリリースに大事なこと

今回は少し趣向を変えて、プレスリリース(ニュースリリース)の書き方について書きたいと思います。

世の中に発信するための一次情報として、随時プレスリリースを打っていることと思いますが、皆さんはどんな点を工夫されているでしょうか。

メディアの人に読んでもらえるよう、私が心がけている「プレスリリースに大事なこと」を書いていきたいと思いますので、参考にしてみてください。


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。


6W2Hを意識して書く

プレスリリースの書き方について、広報に携わっている人なら一度は検索したことがあるのではないでしょうか。なので、基本的な説明は別の機会に譲ることにして、今回は6W2Hで忘れがちなことを書いていきます。

ほとんどのPR関係書やサイトで案内している「プレスリリースの基本」は、「逆三角形の構成で6W2Hを押さえて書く」という内容だと思います。

つまり、タイトル→リード→本文の順に内容を細かくしていき、タイトルの段階から6W2Hをすべて記載していくということです。

なぜかというと、忙しい記者の人は本文までは読まずに、タイトルだけで判断をするからです。
タイトルには「本文の要約」が漏れなく記載されていなければいけません。

そこで通常、6W2Hがちゃんと入っているかチェックしながら書いているかと思います。

ですが色々なリリースを見ていると、たまに抜けている項目があることに気付きます。

「Who=誰が」は文頭に発信者として書いてあります。
「What=何が」や「How=どのように」は、プロダクトや商品特性なので忘れることはないでしょう。
「Where=どこで」や「Whome=誰に」は、コロナ禍や多様性を背景に必要ではない場合もあるでしょう。

重要項目にもかかわらず抜けがちなのが、「Why」と「When」と「Howmuch」の3つなのです。


「Why=なぜ」が報道理由をつくる

まず「Why=なぜ」。

目的や理由。
「何のために」や「何に役立つか」という、いわば「背景」の話です。

技術系の企業に多いのですが、「世界初!○○技術を搭載した○○新製品を発売」のようなパターン。

○○技術が専門的すぎて、何がスゴイのかわからない場合があります。

業界紙や専門メディア向けのリリースなら良いのかもしれませんが、プレス以外が目にすることも考えると少しもったいない気がします。

私はリリースだけでなく、事業開発の提案書や広告コピーの場合でもそうなのですが、どんなプレゼンでも「目的=The reason why」を最も重視しています。

こちら側にとっては、努力の末に出来た商品こそ見せたいという気持ちもありますが、見る人にとっては、商品が自分に与えてくれる効果にしか興味が無いからです。

つまり目的を記載することで「自分ゴト化」することができ、記者の人にとっては記事化する理由を、読者にとっては読むための理由をつくります。

商品にもよるので例えにすぎませんが、「環境にやさしい水素電池で動く、世界初の製品を発売」などのように書くと、読まれる確率が上がるのではないかと思います。


「When=いつ」を記者は見ている

次に「When=いつ」。

リリースの日付ではありません。
ローンチやオープン、記者発表などの「取材日」のことです。

記者の人にとっては、記事を出すタイミングに間に合うか、他のメディアの後出しにならないか、というように取材のタイミングはとても重要です。

バレンタインやハロウィンのようなイベントや施設のオープンなど、日程が決まっているものは企業もその日程に向けて準備を進めますが、メディアもそのタイミングに合わせて特集を組んだり編集構成を考えています。

なので、取材日も重要ですが、リリースを出すタイミングも逆算して計画しなくてはなりません。聞いた話によると、掲載日の3週間前なら掲載されたが、2週間前だったらダメだったというケースもあるようです。

記者発表の日程等は別枠で目立つようにレイアウトするかもしれませんが、タイトル周りでも「いつ頃の記事になりそうだ」とイメージできるくらいの情報は最低限入れておく必要がありそうです。


「Howmuch=いくら」のインパクト

最後に「Howmuch=いくら」。

商品の価格ではありません。
その商品や活動が影響を及ぼす「波及規模」のことです。

特に経済部向けのリリースでは重視されますが、「○○万台の販売を予定」や「総収益○○億円」など、市場規模を具体的に示してニュースインパクトを強める方法です。

経済記事では「いくら売り上げるか」という情報がインパクトを持ちます。
市場にイノベーションをもたらしたり、競合企業は危機感を感じたり、株価に影響したりと、経済に関わる様々な人にとって情報価値が高くなるからです。

経済記事以外でも、「○○万人の参加を予定」などの具体的な数字を示すことで、大人数に影響を及ぼすことが想像でき、流行や文化としての影響力を感じることが出来ます。

インパクトの大きな情報が記事になりやすいことは言うまでもありません。


おわりに

「誰がどんな商品を発売します」というのは基礎情報として必要で、今回ご紹介した「こんなことのために影響力があるものをいつ出します」という付加情報は、ニュースバリューをアップさせるためにとても有用なものです。

少し情報量は多くなりますが、タイトル周りにはキャッチコピーもサブタイトルも入れられますので、それらも活用して記載することをお勧めします。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。

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