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身体拡張には誰もが幸せになっていけるヒントがつまっている

40歳になり大学院に通い始めました。「聴覚障害者でも音が目で分かるプロダクト」を開発し、事業化するためです。

家族に障害者がいるとか、僕自身が障害を持っているということはないのですが、障害を持っている人たちと一緒に幸せになることは、とても大事なことだと考えています。だから僕は、残りの人生でそれを追いかけようと思っています。

もうSFじゃない身体拡張

すでにある身体拡張の事例として、重労働をサポートする「パワースーツ」、工事や施工をフォローする「第三の腕」などがあります。

そして昨今は、物理的な身体の拡張だけでなく、情報の実体化や、認知的な側面からのアプローチが増えてきています。

これはどういうことかというと、単純に一個人の身体が拡張されるだけでなく、人と社会の関係性が拡張されることを意味しています。そしてその過程において、障害者と健常者が一緒に幸せになっていける選択肢が増えることを意味していると考えています。

音のプロだから知っていることがある

僕は、サウンドデザイナーという肩書きで、映像や音のサウンドデザインをしたり、音のWebアプリをつくったり、音のコンサルタントなどをしています。

音楽だけでなく、声や効果音やサウンドロゴ、人が音をどう認知しているのかなど、音の事象にたくさん触れてきました。その知識と経験から、「音は目で分かる」ということをはっきり理解していたので、今通っている大学院の2年の間に、「聴覚障害者向けの音が目で分かる」を形にします。(細かいところはまだ秘密です。)

このプロダクトの本質は、認知の拡張だと考えています。

この夏、ちょうど大学院で、身体拡張をテーマにした講義があったので、僕の得意領域である音を軸にした制作物を作ってみました。

身体拡張に大切なこと

これは僕の主張なのですが、身体性の拡張に大切なのは、インタラクティブです。ここでいうインタラクティブとは、意思に対するフィードバックが経験に合致しているかということ。そしてもう一つ重要なのは、現実と認識できる程度のリアリティがあること。

腕を伸ばそうと思えば、腕が伸びる(インタラクティブ)。それが自分の意思と関わりのある現実であると信じている(リアリティ)。

そして、これらの作用によって生じる拡張作用は、音によっても実現することができます。

講義を通して、手をにぎることで、力強く手をにぎっている感覚がする作品をつくってみました。


この動画の内容(音が聞けない方用メモ:手を握るとポキポキと音がなっています)は、握るという動作の過程で光センサーが暗さを感知し、強く握ったような音を鳴らしているだけの、Arduinoというマイコンを使ったシステムなのですが、やってみるとものすごく気持ちいいし、ちょっと強い気になれて、思わず何回も握る動作をしてしまいます。

音はネット上のフリー音源を使っているだけなのですが、音をもっと作りこんだり、身体の動きとの組み合わせを工夫すれば、様々な身体拡張が期待できます。

例えば、身体そのものを拡張しなくとも、飲み込むと同時にものすごい美味しそうな喉ごしの音が喉から聞こえると、食欲がなくなってしまった人でもモリモリ食べれるかもしれません。

人が人を知るということ

このように、身体拡張は、誰しもが新しく豊かな現実が広がる可能性を享受できる、人が人を知るために取り組むべき大切なテーマだと考えています。

開発中の「音が目で分かるプロダクト」がうまく機能するためには、人が無意識の領域で感じている「認知」も考えていく必要があります。

今回の大学院の講義は、その知見を広げることができた素晴らしい講義であり、興味深い気づきも得られました。

noteでは、大学院で取り組んでいる「目で音が分かるプロダクト」のことや、今年から始めた「メディアアート」のこと、始動し始めた音のWebサービス「hitoRec(ヒトレク)」のことなどを、伝えていきたいと思っています。

どうぞお楽しみに。

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