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モンストはmixi をいつまで支えられるのか??【エンタメ企業のシンプル決算分析】~ mixi FY20 Q3 ~

2月7日にmixiの決算が発表されました。モンストが収益化して以来、初の営業赤字となっています。そこで、モンストはmixi をいつまで支えられるのだろうか、という視点で決算説明資料を分析してみたいと思います。

『支える』は何を支えると定義するか

分析の前提として何を支えるかをまずは定義します。
段階として、①株式市場からの成長期待を支える、②PLとして利益が確保できる状態を支える、③会社の存続を支える、というのが考えられます。
①については、モンストの売上減少トレンドは続いており、株価も下落トレンドにあります。モンストだけで成長期待に応えるのは難しい段階にあるので、今回の分析では対象外とします。
③については、mixi は現預金を1,500億円ほど持っています。毎期150億円のCF赤字を出しても10年持つのでこちらも対象外とします。
ということで、今回は②のPLとして利益が確保できる状態を支えられるかを見ていきます。

四半期決算

2_mixi_FY20Q3_四半期決算

FY20の第3四半期は営業赤字ですが、本社移転に係る一時費用を控除すると7億円の営業黒字とのことです。一時費用で赤字になっただけか、と思うかもしれないですが、補正後の7億円という利益水準はかなり過去に比べて落ちています。

四半期決算推移

3_mixi_FY20Q3_四半期決算推移

1年前は62億円、2年前は109億円の営業利益を出していた第3四半期が7億円にまで落ちています。
また、通期の業績予想を営業利益90億円に上方修正していますが、第3四半期累計が30億円の営業利益なので、第4四半期は60億円を見込んでいます。非常に大きな利益ではありますが、1年前は141億円、2年前は245億円の営業利益だったことと比較すると減少率は大きいです。
ではこのトレンドが続くとmixi のP/Lはどうなっていくかを試算してみたいと思います。

コスト構造

4_mixi_FY20Q3_売上原価

画像4

試算のために変動費と固定費にコストを分けます。
決済手数料はPF手数料なので変動費です。
また、広告宣伝費は狭義の変動費ではないですが、売上の増減を見ながらの投資判断となるので変動費扱いにします。
それに加え、売上原価にある外注費も変動費と捉えたほうが良さそうです。1か月あたり13億円ほどの外注費が人月に対して払われているとは考えづらく、売上に対するレベニューシェアだと考えるのが妥当だからです。
この前提に立つと、売上の70%ほどが変動費で、固定費は70億円/四半期というコスト構造になっています。

収益シミュレーション

以下の前提をおいてFY21の四半期ごとの収益をシミュレーションしてみます。
・売上はFY19 1,440億円に対してFY20 1,030億円で対前年71.5%、FY21においてもこの前提が続くと仮定
・売上の季節トレンドはFY20のトレンドが続くと仮定(208億円⇒261億円⇒255億円⇒306億円という推移)
・変動費は売上高の69.6%、固定費は70.54億円

上記の前提に立つと、FY21は以下の推移となります。
・第1四半期 売上高 149億円 営業利益 ▲25億円
・第2四半期 売上高 186億円 営業利益 ▲14億円
・第3四半期 売上高 183億円 営業利益 ▲15億円
・第4四半期 売上高 219億円 営業利益 ▲4億円
・通期     売上高 737億円 営業利益 ▲58億円

まとめ

いまの売上減少トレンド、いまのコスト構造のままいくと来期のmixi は赤字になるというシミュレーション結果でした。思ったよりも早く赤字決算が実現するなという印象です。
実際は、モンストの売上維持、新規事業の成長、コスト構造の変化もあるので、今後どうなっていくか注視したいです。


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