Voltage_2020年6月期2Q

エンタメ企業のシンプル決算分析 ボルテージFY20 2Q編

戦略コンサル、M&Aコンサルを経てエンタメ事業会社のCOOをやっている私が決算説明資料を用いて簡易的な決算分析をします。当社サイバードとも事業領域が近い、ボルテージさんが今回は対象です。


業績サマリ

Voltage_2020年6月期2Q_業績サマリ

営業利益、経常利益ともに赤字が続いていますが、当期も引き続き赤字です。赤字幅は減っていますが、売上は減少を続けているので厳しい状況は続いています。対前年比で労務費が60百万円減っているので、月当たり20百万円、1人当たり70万円/月で計算すると30人くらいはひとが減っているのでしょうか。


売上推移

Voltage_2020年6月期2Q_売上推移

新規カテゴリは伸びているものの、構成比60%を超える日本語女性が対前年で84%となっている影響で減少トレンドとなっている。事業ボリュームから考えて、日本語女性カテゴリを再成長させない限り、会社全体を回復するのは難しいと想定される。


経費推移

Voltage_2020年6月期2Q_経費推移

広告宣伝費は減少しているものの、対売上高比率は20%を超えている。新規案件や成長案件では対売上高比率20%超でもよいと思うが、既存案件も含めた売上構成の中では高い水準にある。回収率は問題ない水準なのかは外部からは判断ができない。


基本戦略

Voltage_2020年6月期2Q_基本戦略

物語アプリに成長要素を取り込むことを基本戦略としている。取り込んでいる要素はこれまでもトライしてきたもののように見えるので、新しい要素がどこまであるか。
また、ノウハウごとに事業部を設置というのは事業運営の手法としては気になる点である。ノウハウ=サービスフォーマットに見えるので、ユーザに対して最適なフォーマットを提供するのではなく、フォーマットありきのサービス提供にならないかが懸念される。


資金使途

Voltage_2020年6月期2Q_資金使途

広告宣伝費は売上高に対して高い比率にあるので、プロモ増強2億円はCFとしては問題ないだろうが、PLは棄損させる可能性がある。
新規タイトルは基幹事業である国内女性向け物語アプリになるであろうから、どの水準の売上創出ができるかが会社全体に大きな影響を与えると考えられる。
新分野への投資はすぐには収益化できないと思うので、3~4年後にどこまで形になるか。

まとめ

売上減少トレンドが続いているが、資金調達もして将来に向けた投資を行っている。将来の芽が出るまでは既存案件のプロモ強化をしなければならないので、当面は厳しい損益状況が続くと想定される。
抜本的な回復は4億円の新規タイトル・新分野の投資の成否にかかっている。回復基調が1~2年後に見えるかどうかは新規タイトルの成否に依存するところが高いと想定される。

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