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うわぁ~そんな事できるんですか

「俺が見てもいいの?」と、知的なハンデのある山下君と続けてきた勇気のノートを読んでくれた工場長。大学ノート53冊分が入ったカバンを台車に乗せてゴロゴロゴロゴロと返しに来て下さった。わざわざ。「上村さん!読ませていただきましたよ!」の言葉と共に

「もし俺がさぁ山下君の立場だったらどう思うと言うのを改めて考えさせられたよ」とも言われた。山下君がもっと作業しやすくなるように我々も考えるよ。今使ってる機械も古いし、新しい機械を、もっと簡単に操作できる機械を導入するよ!とも言われた。そしてぐいぐいと動き出してくれた。

ありがたい……?……。

なぜ?がつくのかというと、ぐいぐいと山下君の方しか見てないから。工場長自ら直接話し掛けて、山下君からの返事を聞いてくれるのはいいが、奴らの「うん」と「いいや」の奥深さを知らずに一方的に話しかけてる。

あのね…工場長…

俺は山下君に聞いてるんだよ!が止まらない。こっちの言い分は聞かない。気持ちはわかるけど初心者丸出し。少し残念だが 、もうこうなったら放っておくしか仕方ない。

この辺が難しいとこなんだなこれが。

もう少ししっかりと付き合ってから、その奥を知ってから、会話ひとつにしてもしてもらわないと……。すぐその「うん」「はい」を信じる。相手が何を言ってるのかわからないままで「うん」って返事してる時が多いのに。
後で聞きなおしたら、別にどっちでもよかったんやって言う時多いのに。だから後で面倒くさい事になるのに。

もう好きにしてぇ状態だ。

軽々しい親切心は後に後悔する事になると気付くまで大分月日がかかるな。こりゃ。

まぁ気持ちはわからんでもないんやけど。
その辺は、実際に自分でしっかりと向き合って来た人じゃないとわからないと思う。
そうなってくると、一番大変なのは、その人達の傍らで一緒に働いている人なんやな。と
わかってくる。僕はそう思っている。
だから、ハンデのある当事者の人に喜んでもらう。そしてそれ以上に、その傍らにいて助けてくれている人に喜んでもらわな現場が進まないという事もつくづく感じている。もちろん給料とかの面でも。お前ら健常者はやって当たり前だとか、何処の現場でも問題はあるだとか、そういう風に済まされてしまうと
何というか…「せがない」「むなしい」気持ちになる。ホントの所はどっちが弱者なん?という気持ちになる。


その昔、まだ山下君や三浦君と出会って間がない頃に、当時一緒に働いていた健常者の人から「ミニ駅伝」に参加しませんかと誘われた事がある。若い頃から、そういう走る分野にはからきし良い思い出がない、大の苦手なこの僕に。三人1チームでと。返事するのに悩んだが、体張って付き合えるのも今のうちかなと思ったのと、僕の苦手な分野も彼らにその目で見てもらおうと思って「わかった出るわ」と返した。本番は鯉のぼりが空を泳ぐ時季五月。練習を重ね本番を迎え、穴という穴から色んな物を垂れながら必死で走った思い出がある。格好悪い自分やけど必死でやってるとこは格好ええやろ?と伝えたかった。

「来年も出るわ」

と、一年後の約束をしてグランドを後にした。五年程続けた。それも、「約束を守る」というのを、この身をもって見本をみせたかったから。結構体張って付き合って来た自信があった。


……のだが


この方には足元にも及ばんなと、色んな意味で衝撃を受けた。たまたまYoutubeで見かけたのだが、凄い人やなと思った。

世の中には、こんな角度から自分の体を張って障害のある方々に携わってる人もおられるんやな。凄いとしか言いようがないなとひれ伏した。


こっそりと支援の神でおられるんやろな。
かないませんわ。


山下君と三浦君にも話してみた。
是非話してみたいとの事だった。
そらオッサン同士より異性の方がひかれるわなと出る幕のない上村でございました。
さてどうなる事やら??


読んでもらってありがとうございます。
失礼します。

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