マガジン一覧

ネコノス手帳

ネコノスとは、猫の巣。我が家の三毛猫くるみがつくる寝床のこと。あっちにぐるぐる、こっちにぐるぐる、日々の心のぐるぐるを書き連ねています。

2023.5.17.wed. それぞれの旅立ち。

7カ月振りのネコノス手帳。と思ったら、長いよ~。 5月に入りぱたぱたと忙しくなり始めた6日の夜。少し遅くなって家に帰るとエサ入れが空っぽになっていた。「ごめんね、くるみくん、お腹すいたね」と声をかけながら二階に上がっていっても姿を現さない。窓が少し開いているから外にいるのかなと思いベランダ(物干しとも言う)を見たがいない。押入れの奥や我が家のすき間をあちこち探してもみつからない。外に出てうちのまわりを探してみても姿はない。気配を消すことにかけては忍者並みだ。いないと思ったら

1

[ネコノス手帳 No.344] 2022.10.16.sun. 金木犀と初めてのデモ。

昨日あたりからまた金木犀が香っている。 先月27日の朝のこと。国葬問題、黙っていては飼いならされた羊と一緒、意思表示はしなければと思い、急きょ組み立て式プラカードを作って国会議事堂前に足を運んだ。生まれて初めてのデモ参加だ。 議事堂前がどうなっているのかもわからず、何処へいけばいいのかもわからないまま、途中から歩道はデモ参加の人でいっぱいになり、前に進むのもままならず、だいたいどこが辿りつく場所なのかもわからない。進む人と、戻る人との列が狭い歩道を分けている。歩道のまわり

【ネコノス手帳 No.343】2022.10.4.tue.角はまあるく汚し系。

今月8日から始まる隠れ家蚤の市では絵画のほかにもおかしな作品を展示販売する。 作品だけ作ればいいわけではなく、ミニイーゼルだとか額だとかを削ったり塗ったりという作業もあり、これがなかなか楽しい。むしろそっちに夢中になっていたりするわけ。 頭の写真もその一つ、というかふたつ。ミニ額の角を削って色を塗って、しかし中に入れる絵はまだ途中。額を眺めているだけで満足。 3人の仲間もそれぞれ趣向を凝らした作品を出すことになっているが、初日の午前中に搬入設営というので、当日になってみ

2

[ネコノス手帳 No.342] 2022.9.10.sat. Crisantemo.

昨日、食料の買い出しに出かけたついでに菊の花を買ってきた。 赤黃白の3色が一本ずつ。そのままだと仏花になりそうだったので、短くカットしてわけてみた。黄色と白、赤に少しだけ白を入れたのをそれぞれグラスに挿したら、ちょっと可愛くなったかも。 ほんとは赤い菊だけが欲しかったんだけど、一束198円じゃ文句は言えない。花もちのいい菊は当分楽しめそうだわ。 今日は、原稿のほうは塩漬けにしておいて、来月開催の『わしらの蚤の市』に出す予定の蓋シリーズ、『ふたしかなものたち』2点を制作す

2
もっとみる

みんなのメルヘン 眠りの国の『サランドバディ Ⅰ』

ペーパーバックになった『サランドバディ』のストーリーを一部掲載しています。

サランドバディ 序章

わたしたちの眠りの中、霧の立ち込めるその先に、ひっそり息づく世界がある。 この夢の世界は、『サランドバディ』といい、上質の深い眠りの中から訪れることができるのだが、その能力をもつ人たちは『眠り師』と呼ばれる。 緑の多いサランドバディは、東西に流れる水嵩も幅もたっぷりとあるおだやかな『ヌー川』によって大きく北の地域と南の地域にわかれる。 ヌー川の北側にひろがる『グリーンスタイケン』は、いくつもの小さな丘が連なる田園地帯で、丘の斜面につくられた畑のほかには、小学校が一つと、小さ

2
もっとみる

リラックスギャラリー②

『わしらの蚤の市』@chamano-ba 2020.12.18-25  この企画展で展示販売された作品の紹介です。

ちっこくて履けない靴なら、花を飾ってもいいんじゃないか、ということで

「サランドバディ」で空を舞うカイエたちが履く靴が、サーカスのピエロでも履かねえなー、というような代物。弱ったね。これもまたあまり何も考えずに描いてるうちに、楽しくなっちゃって、くるくるしてきちゃったんですね💧  👇眼鏡ケースにも描いちゃったりなんかして。 それで、一つ問題なのですけれど、靴屋のメギー・ミッコがはたしてどうやってこのカイエの靴をつくるのか、まだわたしにも見えてないという状況でして。ええ。 まあ、それはそれとして、カイエの靴の「リンデの花」ですが、物語の

4

そもそも”ティンゲルさん” てだれよ、という話なのだけれど

「サランドバディ」の中に登場するオウムであり、実はもとは人間の植物学者だった、ということです。おしまい。うそ。まだ続きます。 ティンゲルさんが物語の中で(つまりわたしの頭の中で)生まれたのは、この長い長いサランドバディ制作期間(約40年)の中で、ごく最近のこと。カフェのカウンター席にいる常連のオウムがいたら面白いなと思ってメモしたところ、名前も自然に浮かんでたというわけです。 ↑翼の先に手がある💧 物語の中では、手袋というか靴下というか、毛糸で編んだカバーをしてる。この

4

[新月工房]リラックスギャラリー② 仲間4人と開催した企画展「わしらの蚤の市」2020.12.18-25出展作品

6

一人で行くんだ 幸せに背を向けて…♪どこまでも自由に、行けるとこまでいってみようよ。そこには何があるだろう

この絵は、友人のお嬢さんに贈ったものです。お姉さんには以前に贈っていて、次女さんにもと話したままになっていたのだけど、2018年の手帖に、この絵の下描きメモが残っていて気にはなっていたんだな。そしたら今年大学生になるというのを聞いて、ならば、という勢いで描きました。 気分は、『青年は荒野を目指す』(笑) 歌だけどね。          若い人を見ると、いいなぁ♡ と思う。だって、若い人は可能性の塊だもんね。体力もあるし、何にだってなれるし、どこへだって行けるんだよ。失敗

1
もっとみる

短い物語 kusa-monogatari

いままでに書いたごく短い物語を収めました。

今日のかみさま

黄色い電車が水路の脇の線路の上をゆっくりと進んでいく。 昼過ぎの明るく暖かな車内は、人もまばらで、電車と同じ色をしたジュースの空き缶があっちへいき、こちらへころがり、カラ、カラランと軽い音をたてながら、賑やかに車内を動きまわっている。 かみさまは、日差しに温められたまるい背中をさらにまるくして、長いこと舟を漕いでいたのだが、何かが足に触れたので、はっと目を覚ました。かみさまの少し擦りきずのある、柔らかそうなローヒールの先に、黄色の空き缶があった。 まあ。飲み終わった缶を誰か

1

ある雪の日

山からソリに乘って降りてきた人がありました。山といっても、小学校に上がる前の子供の足でさえ一時間ほどで頂上に着いてしまうくらいの小山です。ムエさんの家はちょうどその小山の中腹にぽつんと建っていました。ムエさんはもうお婆さんでしたが、ひとりでそこに住んでいます。屋根は赤いトタンで、漆喰壁の、小さくてずいぶん古い家です。遠くから見るとかわいらしく見えますが、だいぶ傾いていてすき間だらけです。今日はその赤い屋根も白く雪化粧していました。 ムエさんの家のすぐ脇に頂上まで続く山の登り

1

影をなくした猫

砂漠には、夏になると赤い花をつけるサルスベリの木が一本ありました。その木には一ぴきの年寄りの猫がすんでいました。 このところ猫は憂鬱で眠れずにいました。それは独りぼっちなことに加え、猫には影がなかったからです。散歩の途中、どこかに落としてきたのか、うっかりしていたらもう影はなくなっていました。それがいつのことなのか、猫にはぜんぜん思い出せないのです。 影がなければ、自分がほんものの猫なのか、生きているのかどうかさえ不安になるものです。そこで猫は思いきって、自分の影をさがす旅に

1

ラナナショコラ ドリーミン

はっと息をのむ音と同時に、カチャ、と、重量のある何かの割れる音がしたとき、パイナップルの王さまの脚が止まった。王さまは振り向くことを一瞬ためらったが、覚悟を決めてゆっくりと首をまわすと、そこには緊張のあまり長い耳をぴんと立てたまま立ち尽くしているウサギ大臣の姿があった。 「あ、あの、王さま、あ、も、申し訳ありませんっ」 今日の三時のおやつのために大事にしていたシロップ漬けの中身が、割れたガラスの容器と一緒に転がっていた。オレンジやまるまるとした大粒の栗、あるいは真っ赤なベリ

3
もっとみる

リラックスギャラリー①

2018年までに制作した作品(各所ギャラリーで展示)を紹介しています。もうほとんど手元にはありません。

リラックスギャラリー①古めの作品を羅列しました。

7

色の世界への入口

『眠りの森から生まれる影たち』 いままでに文章でにしたものを整理していて、そういえば、絵で表現したものにも「影」がモチーフになっていたり、影がわりとよく使われていることに気づいた。はじめから意識して出そうとしてるわけではなくて、やってるうちにその存在が育ってくるというか、かきたくなるようだ。昔から「いつも笑ってるね」と、よく言われるわたしだが(まるでアホウじゃないか)、実は影のある人間なのだ。わははは……いや、それとはまたはなしは別か。 この絵は、それまでブルーを中心に描

3

寒い日には音楽を聴いて心にエネルギー注入だ!ついでにアルコールも注入だ!

『眠りの音楽』 わたしのオリジナル物語『眠りの国のサランドバディ』は、ただいま準備中。2月の新月から始める予定です。それに先立ち、少しサランドバディを紹介していけたらと思っています。 サランドバディのイメージの世界を描いたものでいちばん大きいのは、『眠りの音楽』という25号の作品です。じつはこの絵には元があります。 友人の音楽ユニット「アロマチカ」は、主にオリジナル曲を演奏して京都を中心に活動している二人組(v.chikako&g.正一郎)です。 彼らの歌に「7時間の

4

『ミナーノ村』はどこにある?

制作途中の絵は、筆を動かしているより眺めている時間のほうが長い。 そうやって自分の目にも部屋にもその絵が馴染んでくると 色も決まって、世界もできあがる。 それでやっと自分の作品になる気がする。 展示期間が終わって、手元に戻った作品は そのまま部屋と一体化して馴染んでいくこともあれば、 上塗りされて消えていくものもある。 『ミナーノ村の月』 この絵はどこに出したというものではなく、なんとなく描いた水彩画。 いつの間にか台所の壁におさまっていた。 タイトルのミ

5
もっとみる