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砂利ベッド売り【毎週ショートショートnote】裏お題

煌めく虹が空を包み込んでいた。太陽の光は直接地上には届かず、その光は虹が乱反射させている。

気候変動が激しくなり永久凍土はほとんど溶け、地球上の森林も砂漠化が進んでいた。異常気象も日常になり久しくなっていた。

地球上で吹く風も強くなり、中東の砂漠の砂が日本まで飛ばされてくるようになった。中東の砂漠のそれは石英質のものが多く、気流に乗ってそれを多く含んだ砂が晴れた日に降りそそぐと虹が空を包み込んだように見える。幻想的でいかにも世界の終わりかと思わせるが、おそらく世界は本当に終わるからなのだろう。

地球上では綿花も希少な素材になっていた。日本の夏は暑く、砂利ベッドは必需品となっていた。

(冷たい、冷たい砂利ベッドはいかが~)

「あっ、砂利ベッド売りが来たよ。砂利交換してもらおうよ」

「そうだな。給料日だしたまには冷たい砂利で寝るか」

「やったあ」

砂利ベッドは砂利を敷きつめてあり通気性も良く、固さを除けば快適なものになっていた。

(410字)



たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※ディストピアSFになりました。


*この記事は、以下の企画に参加しております。


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