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星屑ドライブ【毎週ショートショートnote】裏お題

「ドラ……ドライブ……聞こえる?」

「うーん。ずいぶん寝たなあ。100年くらい寝たかな」

「あんたねぇ、200年は寝てたわよ」

僕らは星屑に擬態して宇宙を移動するアミノ酸原始細胞思念体だ。ダークマターの密度の薄いところを進んでいく。宇宙全体を川の流れのように流れ、網羅していく。ダークマターは反重力的性質があり、重力のある星々とは物理的に相対するものになる。イメージとしては山と谷のようなものだ。

「何かあった?」

「特異点が来たわ」

「40億年ぶりだね」

「そのときの特異点ではわりとうまくいって地球という星が生まれたけど、あっという間にだめになったのよね」

「今度は僕が行くよ」

「生命を生み出すためとはいえ、なんか……」

「僕はそれでも行くよ。星になるんだ」

「わかったわ。さようなら……」

星屑ドライブは自ら特異点にぶつかり、軌道を変えた。

循環しない無限小数が有利数になるように。

星屑ドライブは自ら水のある星に衝突し、生命の源になった。


(410字)



たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※確定申告最終日!個人事業主の皆様お疲れさまでした。


*この記事は、以下の企画に参加しております。

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