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既知のものに出会うよろこび。

子どもは自分の「知ってる」ものが好き。

例えば、TVで知ってる歌が流れてくると「幼稚園で歌った曲!」とか言って興奮したり。くり返し同じ絵本を読みたがったり、何度も同じあそびを要求したり。

大人は「未知」のものに出会うよろこびや楽しさを知っているけれど、子どもは怖がることも多い。

絵本の世界では、「くり返し」は子どもを安心させると言う。例えば、長く愛される赤ちゃん絵本には、〈いないいない…ばあ!〉のように遊びをくり返すものや、〈じゃあじゃあ…びりびり…ぶーぶー〉と音をくり返すものがとても多い。

以前、昔話研究の小澤俊夫先生の講演でこんな話を聞きました。

世に語り継がれてきた昔話には独特の文法があって、その中のひとつに「くり返し」がある。例えば、『桃太郎』なら動物3匹がきびだんごをもらってお供になる。『かちかち山』ならウサギがタヌキを3回懲らしめる、のように。海外のお話でも、実は原作では『白雪姫』は3回殺されてるし、『シンデレラ』も3回舞踏会に行ってる。(ディズニー作品は改変されているとのこと) とにかく、昔話はくり返しが多い。

さらに、音楽も通ずることが。

世界中のあらゆる音楽で、同じメロディが二度と出てこない曲はない。(Aメロ、Bメロ、サビ…とかね)

この共通点から言えることは、「人間は同じものに出会うのが好き」ということ。そして、その性質が顕著にあらわれるのが<子ども>じゃないかと。

「子どもはもう知ってるものに出会いたがっている。それは、子どもにとってとても大事な思い。だから、同じ本を読みたがったら、何度でも応えてあげて。同じ本を読むことを止めないで。それは、魂の安らぎのために必要だから、絶対に奪わないであげてください」

絵本に関するお悩みで「子どもが同じ本ばかり読みたがって…」という話はよく聞きます。確かに、何度も同じ本ばかり読まされるのは、親の方もちょっとツライ。

「それなら新しく面白い本を読みたいし…。色々読ませた方が教育にも良さうだし…」

その気持ち、分かる!分かります!かくいう私も、図書館で「またこれ借りるの?違うの借りようよ。」と息子に言っていた時もある。

でも、今なら昔の自分に言ってあげられる。

「何度でも同じのを借りてあげて。なんなら買ってあげて。それは、その子の安らぎに必要だから。」

大人は新しく素敵なものに出会うと新鮮で楽しいから、「既知のもの」は軽視してしまいがち。でも子どもは違う。

こんな風に例えた絵本の先生もいました。あなたが大して曲を知らないアーティストのコンサートに誘われて付いて行ったとします。数曲演奏が終わり、まだあまり雰囲気にノリきれないなあ…と思っていたところ、次によくCMで流れているちょっと好きな曲が始まったらー?きっと、ホッとしてコンサートを楽しめると思いませんか。

多様な物語、知識、未知の世界に触れることも楽しいし、良い刺激になることもあるんでしょう。でも幼い子にとっては、既知のものに出会うよろこび=安心 を確かめることの方が、もっともっと大事なのかもしれない。

そんなわけで、今日も私は、もうウン十回と読まされた本を、少しウンザリしながら、請われるがままに読んだりしています(時々ちょっと抵抗する時もある。笑)

最後に。うた絵本オンラインLive 第2回目 開催告知。

子どもが絶対盛り上がる!【みんなが知ってるうた特集】定番曲をみんなで楽しみましょう!

【開催日時】5/8(金)10:00~10:30
【参加費】 ¥700
【お申し込み方法】
「キャスマーケット」からプレミア配信チケットをご購入ください
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ライブ配信後も2週間は録画を楽しめるので、お子さんとのおうち時間にぜひどうぞ。

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