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Coffee Beans Memory#2

プエルトの酒場

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「なんかおもしれーことないかなぁ」

「あんるわけないだろ、こんな辺鄙な街で」

左頬に大きな傷のある男と、肩に多きなネズミの入れ墨が入った強面の男の声が誰もいない萎びた酒場中に響き渡った。

店の扉がいきなり開き、いかにも下っ端な感じの男が飛び込んできた。男はサングラスを外しながら興奮しているのか口をパクパクさせている。

「船だ船!!!!!!!!」

「なんだよ。騒々しいな。」左頬の傷を触りながら男はカウンターの椅子を扉の方へ回転させた。

「船だよ船!!!!」

「そりゃさっき、聞いたっつってんだろ。」

「ちがうんだ、いや、違くねーか。船だよ!リビングストンの港にでっけー船が入ってきたのを見たんだ。エースこーんなでっけー船だ」身振り手振りで一所懸命にこの男たちに話しているが、全く伝わっていない様子だ。

「貨物船が、油がなくなったんで立ち寄っただけだろ?」エースと呼ばれた男はカウンターに置いてあったテキーラをくいっと飲み干して言った。

「そんなさわぐことじゃねーだろ」古い傷がいたむのか顔を歪ませている。

「クリスありゃ貨物船なんかじゃねってば。異国の船だ!大きな軍隊の船だぜ。大砲も積んでやがる。どんぱちやるつもりだぜあいつら。」

「はっ、どんぱちだ?この国のどこにそんな軍隊と戦争する相手がいるってんだ。コーヒー豆鼻から飛ばして戦うってか?」男は鼻に入れたピーナッツをサングラス男に飛ばした。

「まぁしかし、いまんとこ一番面白そうだな。」クリスと呼ばれた男はテーブルにおいてあった砂糖がこんもり入った甘いエスプレッソを飲み干して、誰にも聞こえないくらいの声でつぶやいた。



to be continued #3


挿絵 さとうまあさ
脚本 さとうしんじ

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