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短編小説

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#相撲

相撲

相撲

 おふくろが入院したんだ。あうなり修一さんが肩をがくりと落としそう口にした。俺があのとき病院に連れていっていれば。なんでもっと早く気がつかなかったんだろう。ひどく自分を責めていたので、それは違うよ。と切り出し、弟さんいつも側にいたのにね。そうそう。弟さんだって気がつかなかったんだから。という全くもって慰めになっていないことを口走ってしまった。
 修一さんは長男だけれど上にお姉さんがいて下に弟がいる

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千秋楽

千秋楽

 ひさしぶりに直人と一緒の布団に入り、ひさしぶりに泊まった。だいたい、今夜いくね。とメールを打ったくせにいくのが遅くなったのだ。(ほんとうにつまらない野暮用で。以前デリヘルで働いていたときのお客さんにあっていた。嫌だけれど。仕事なのでと割り切っている)23時を過ぎていてだから直人はソファーで舟を漕いでいた。スーピー、スーピーという寝息はいっそおもしろいくらい心地よさそうで、いちいち起こすのはやめて

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