見出し画像

宗教2世って ③

意外と近くに存在する宗教2世


創価学会員に限らず宗教2世と呼ばれる、もしくは自覚している人っていうのは、実は結構いるのではないかと思います。

高校時代にクラスメイトで「エホバの証人」の子がいました。
クラスの中では目立つ方ではなく、どちらかというと、悪い意味でいじられキャラに近い存在でした。
ある日、他のチョイ悪なクラスメイト達がニヤニヤしながら彼に「おまえんちエホバの証人だよな。」となじるように問い詰めていました。
彼は、引き攣った顔で「そうだよ。だったら何か問題あるのかよ。」と言い返していました。
傍から見ていた私は、自分の事ではないのに、心をえぐられるような思いをしたのを覚えています。
言い返されたチョイ悪クラスメイト達は、普段言い返さない彼が反応した事に苛立ったのか、「気持ちわりーんだよ!エホバ!」と罵倒してました。
彼はただ黙ってその場を耐えていました。
私は、彼のその時の気持ちは宗教こそ違うけど同類として痛いほどわかってしまった気になりました。と同時に尊敬に値するやつだと感じました。
開き直っているかもしれないけど、ちゃんと言い返している。きっと自分にはできない。

高校時代になると、私自身、創価学会の一切の活動からも離れ、未活動の状態にあり、周りの皆からその身の上を隠し通し抜く鎧を再び纏っていました。
どちらかというと、先述したチョイ悪クラスメイト達に近い存在でした。
以降、彼には勝手に私の方が親近感(哀れみに近い)を持ってしまい何かと話しかけ、高校3年間仲の良い友達でした。
何故、私が彼に親近感を持って近づいたかは、彼自身不思議に思った事でしょう。
それでも私はその彼に対しても自身の鎧を取り払う事はしませんでした。

宗教と恋愛

学生時代、私はアルバイトで夜の仕事をしておりました。
バーテンダーもどきの事やホストに近い仕事でした。
当時はバブル経済真っ盛りで、私自身、ピンク色や紫のスーツを着込んで(かなり時代を感じますが…)耳にピアスを付け、髪の色を変えて夜な夜な街に繰り出す毎日でした。
一人暮らしを始め、創価学会の事や私が学会2世である事は、全て無かったかの如く夜のお兄さんとして生活を満喫しておりました。(学生でしたが)
同年代の常連さんも出来て、身の上話や恋愛相談なんかも受けるようになり、大した人生経験もないくせに偉そうに講釈を垂れて、まるで全てを悟ったかのように、カウンターで下手くそなカクテルを作っている自分に満足してました。

ある女性のお客さんがいつものように来店されて、カウンター越しの私と他愛のない会話を楽しみながらお酒が進んでいった時に、「実は、私の彼氏が、創価でさ~」と始まりました。
私は「へぇ~」と流すだけ。
「ねぇ。しんのすけ君は、創価学会って知っている?」
彼女の問に、一瞬戸惑う。
「宗教か何かでしょ…」
実はたくさん知ってるくせに…生まれたときから創価学会員のくせに…
「そう。宗教なんだけどさ。私もよくわかんないけど、彼がその集まりがあるからちょっとだけ顔出してくれっていうから付いて行ったんだけどね。」
それは、おそらく座談会(定期的な会合)だ。
彼女は続ける「なんだか、その場にいたおばさんや同い年くらいの子たちに囲まれちゃって、何か色んな事言われて、凄く怖かった。」
それは、折伏(入会の勧誘)されたんだ。
「そりゃ大変だったね。」そう返すのが精一杯だった。
彼女「なんとか家に帰って、お父さんとお母さんにその事を話したら、両親とも激怒しちゃって今すぐそんな奴とは別れろ!って物凄い剣幕でさ~。」
私「うゎ~…そうなんだ。でも彼氏さんって親公認だったんじゃないの?」
彼女「そう。うちの親も別に反対していたわけではなかったんだけどさ。よく家にきて晩御飯一緒に食べたりしてたし…。」
私「創価ってことはご両親は知らなかったんだ。」
彼女「うん。私もその時知ったんだよね。」
そりゃあご両親共、怒るだろうな。

彼女「ねぇ しんのすけ君、創価学会ってそんなヤバいところなの?」

一瞬凍り付いた。
もし身に纏った鎧がしっかりしていたら、「創価に限らず宗教はヤバいでしょ。」くらい返せたかもしれません。しかし、私の答えは、「それより、そういう状況でも彼氏の事を本当に好きなの?問題は、そっちじゃないかなぁ。」
質問に対する答えを避けて、逆に質問で返してしまいました。
結局彼女は、その後、色々な人から創価学会の悪評を聞きその彼氏とは別れてしまいました。

創価学会員にとって、恋愛ってかなりハードルの高い事なのかもしれません。
私の親の世代は特に創価学会のアレルギーの強い人が多いように思います。
建前上、信教の自由は理解していても、自分には関わらないようにしたい。それが本音ではないでしょうか。


※創価学会を批判、中傷するつもりは全くなく私の人生を振り返った時に「宗教2世」というワードに対しての私なりの純粋な思いを綴っております。

























この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?