見出し画像

ウクライナ問題を扱った田中康夫と浅田彰の「憂国呆談」が酷い

33年にわたって続く田中・浅田の伝説連載が現代ビジネスに移ってきた! 二人の論客が深く、そして軽やかに日本を、世界を語り合う「憂国呆談」、東京・音羽の講談社で収録した移籍第1弾を3回に分けてお届けします! 口開けは「ウクライナ問題」。他では味わえぬ鋭い論考をお楽しみあれ!

という書き出しで始まる田中と浅田の「憂国呆談」。オシャレなポストモダン的雰囲気でもって「なんとなくクリスタル」なワードを散りばめつつウクライナ問題について語っていくのだが、なんていうことはない、結局は「なんとなくロシア寄り」「なんとなく反日」「なんとなく反米」「なんとなくどころではない反ウク」なカンジでムカムカしてしまう。

ウクライナに失礼だし、その感覚や雰囲気が時代遅れだし、本当に得るものがない。

以下に気になる発言を取り上げツッコミを入れていく。

●田中康夫
ロシアのウクライナ侵攻が論外なのは明々白々。それは大前提。
(中略)
「ウクライナ問題」の製造物責任はプーチンだけでなくアメリカを始めとする「西側諸国」にもあるとの観点に立って、冷戦終結時まで遡って振り返ってきた。
(中略)
しかしそんな背景には目もくれず、「ロシアとプーチンの暴挙を批判し、ウクライナとヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の抗戦を支援せよ」、「ロシアが絶対悪。ウクライナは絶対善。ウクライナに武器供与するアメリカも絶対善」という近視眼的な思考に日本は陥っている。

➡何が近視眼的な思考なのか全く分からない。長期的な日本の国益という視点に立って考えたら、ロシアを批判しウクライナを応援し、さらにはアメリカを中心とした西側諸国に肩入れする政治的スタンスは絶対に必要。ロシアが善になってしまったら力で現状変更を迫る野蛮な行為が正しいものとなってしまう。それは中国の覇権主義を加速させ、日本の安全保障上ものすごく脅威となるのだ。何が近視眼だクリスタル。

●田中康夫
そもそも人道的な武器供与などあり得ず、医療と食料こそが人道的支援なのに日本でも、「反戦VS交戦」「屈服VS抗戦」、お前はロシアとウクライナのどちらに立つのかと踏み絵を強いるファナティックな空気!

➡リアルに人道を考えるならば、参戦が核戦争を誘発する恐れがあって踏み切れない以上、「武器供与」が第一の手段に違いない。徹底抗戦できなければブチャやイルピンでの虐殺のような事態をさらに生み続けてしまう。

もちろん、アメリカにしたって自国の損得勘定がベースにあることは事実。でも、だからといって医療と食料だけ供与していたら、ウクライナ市民がもっともっと亡くなってしまう。

――ていうか、別に国内において「ロシアか日本か?!」というファナティックな空気なんて流れちゃいないし、多くの日本人が「交戦&抗戦論」を冷静に常識的な感覚で支持している。あんたの「飛蚊症的クリスタル」な眼には、日本がそのような姿に見えているのかもしれないが、自分の霞んだ景色とみんなのクリアな景色を一緒にしないでくれ。

●浅田彰
ゼレンスキーは元コメディアンで吉本興業みたいな企業を起こした人。教師がたまたま大統領になっちゃうTVドラマ「国民のしもべ」の主役で人気を博し、19年にホントに大統領になっちゃった。
(中略)
米国議会では日本の真珠湾攻撃に言及する一方、日本では核と国連改革をテーマにするとか(ちなみに、国連安保理での演説では「ロシアを止められないなら安保理は解散せよ」と迫り、市民の死体が散乱するキーウ近郊ブチャの映像を見せた)、あざとい手口で多くの視聴者の心をつかんだ。

➡何をとんちんかんな事を言ってるのだ? それぞれの国に合わせたゼレンスキー大統領の演説(米国議会における「真珠湾攻撃発言」や日本における「核と国連改革」)を「あざとい手口」と非難しているが、それらが媚を売った内容だとしても仕方ないではないか? ゼレンスキー大統領は、とにかくウクライナを守るために各国の支持や援助を引き出す必要があるのだ。それぞれの国の人たちが拍手喝采するような演説をするしかないのだ。もちろん「真珠湾攻撃発言」は日本人として心中穏やかではない。しかし、それ以上に彼の置かれた立場を慮ってしてしまうけどね。

元コメディアンという経歴を馬鹿にした態度が見え隠れしているが、相も変わらずポストモダン的な物言いを続けているあなたよりもゼレンスキー大統領の方がよっぽど立派だ。あなたが彼の立場だったら何ができるのだろうか? 

●浅田彰
18歳から60歳までの男性の出国を禁止し「武器を取って戦え」って言うのは、戦争末期の日本の「1億玉砕」路線に近いし、外国からの義勇兵を募ったことも含め、正規軍以外が戦争に加わるのは法的にも問題が多い。

➡ウクライナの国民総動員法について難癖をつける者がおおいけど、例えばキーウ国際研究所の世論調査によると、ウクライナ国民の82%がロシアとの交渉で領土を割譲すべきでないと考えていることが分かっている。私が個人的にやり取りした在ウクライナの邦人は国民総動員法に理解を示しているし、周囲の人たちも同様だという(ていうか、やる気満々!)。

海外の義勇兵に関しても法的な問題なんてどうでも良い。国家存亡の危機なのだ。使えるものは何でも使うのがリアルな感覚だろう。どんな思想を持っていようが、例えばマリウポリにおけるアゾフ連隊の戦いは英雄的だったではないか(彼らは海外からの義勇兵ではないが)。

●浅田彰
繰り返せばプーチンに対してはゼレンスキーを支持すべきだけど、彼を英雄に祭り上げるのは危険だし、「日本もゼレンスキーとウクライナを見習って自ら国を守る気概を持とう」とかいうトンデモ愛国主義には用心しないとね。

➡何がトンデモ愛国主義なのか理解できない。国を守る気概を持つというのは、日本では右に見られがちだが世界的には一般的で普通の感覚。じゃあ実際に、他国が暴力的に力でもって侵攻してきたらどうするのが正しいのか? あなたの「逃走論」ではないけど、命を懸けて戦うくらいならばさっさと靴を舐めて降伏して、虐殺されるか強姦されるか強制連行されるかしたら、なんとなくクリスタルなのか? 

ウクライナの人たちの戦いを(または、それを支持する人たちの感覚を)、何か非理性的で非合理的な蔑むべき精神論的闘争論とでも考えているようだが、相手が戦いをやめるつもりがなく、降伏したって非人道的な扱いをする可能性が大であるならば、死を覚悟して戦う以外にないではないか。イヤでも戦うしかないのが現実なのだ。

日本もリアルに戦争に巻き込まれる確率が高まったのだ。そうであるならば、早急に主体的な国防について議論していく必要があるではないか。ヘラヘラと「トンデモ愛国主義」なんて言って馬鹿にしている場合ではない。


――とりあえず、こんなところにしておこう。

どうして、日本の知識人ってこういうヤツが多いんだろう? ゼレンスキー大統領を馬鹿にして攻撃しているカンジなんて、小室圭さんに対するソレとそっくりだ。

嫉妬なのか? てめぇの小ささをまざまざと突き付けられ悔しくて仕方ないのか? その小心さを認めたくないために過剰な反応を示しているのか?

どうでもいいけど、とにかく国益にならない発言は必要ないのですっこんでいてくれ。

「憂国阿呆談」は時代に取り残された一部の人たちのなかだけで細々とやっていてくれ。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?