岩橋玄樹くん。そんな君がいい。
2016年、Sexy Zoneの『Welcome to Sexy Zone Tour』で、私は彼に出会った。
スタンバイの暗転から、ライトアップと同時に見せた、
撃ち抜かれるような、ドキッとするほどキュートな笑顔。
一帯のファンが悲鳴に近い歓声をあげた。
腹をくくったプロのふるまいを目前で見て『とんでもない子がいるな』と思った。
岩橋玄樹くんだ。
何年かに一度、いる。
もう、いるだけでいいって子。
そこにいるだけで、みんなの心を奪ってしまうって子。
全国放送でカメラに抜かれるだけで話題になる。そんな子。
見た目がどうのって次元の話じゃない。
群を抜いたスター性。これに尽きる。
「努力の天才」である彼らに対してなるべく使わないようにしている言葉なんだけど、
もう、こればかりは天性のものとしか言いようがない。
人を惹きつけるオーラがにじみ出ている子ってのが、
本当、何年かにひとり現れる。
ただね、どうしてかそういう子に限ってプロ意識が高くて、弱くなれなくて、頑張ろうとしすぎる。
いるだけで魅力なのに。
君の才は、そこにいるだけで放たれているのに。
だけど才能とは残酷で。
いわば、自分でつかみとった実感のない、曖昧な勲章。
他者から見れば確かなものでも、自分ではなかなか気付くことができないし、認めることができない。
『ジャニーズJr.の真実』では、彼の繊細な一面が垣間見えた。すでに人気メンバーのひとりとして活躍しているにも関わらず、表情もどこか自信なさげで、笑顔もまだ硬かった。
努力家なのは当時から変わらない。「大学に行きたい」と、ステージの合間には漢字検定の勉強に励み、年下の子たちの宿題を見る姿が印象的だった。
彼が、この番組で話してくれた過去。どうしても頭の片隅から離れない。
夏休みもなくステージに立ち続け、覚えることがいっぱいでたいへんな毎日でも、彼の居場所がいま、そこにあるのなら良かったと思った。
気の置けない仲間たちと過ごすときには、ほんの少しワガママで、毒っ気もあるイマドキの男の子。そんな姿を見ると安心した。
『ガムシャラ!』でもまた、まじめすぎるほどにまじめで、漢気のある顔を知った。
まさにジャニーズJr.戦国時代。個性ある面々のなかにいて、互いにキャリアも積んでいく。友達だけどライバル。
あのおとなしかった少年が、自分の見せ方を覚え、こなれていく姿が一時期、なんというか……心配になったりもした。(これは完全にただのおばちゃん目線)
彼はきっと頭がよくて、求められるものに人一倍、敏感だ。
そしてどうしてか、根本的には「引く」人だと思う。
デビュー後のインタビューでも「いかに5人を輝かせられるかが役割」というような発言をしていた。(言い回しはうろ覚え。申し訳ない)
たしかにKing & Princeは6人全員、主役級のメンツだ。
岩橋くんも、その大事な一角を担っている。そして「その一角」がいかに重要であるかは、岩橋くん以外はみな、分かっていると思う。
真意は分からないが、メンバー、そして“玄樹ちゃん大好き”河合郁人くんがときどき口にした。
「岩橋くんは、玄樹は、いてくれるだけでいい」
冒頭で述べたように、そのとおりだと思う。
ビジュアル面や声色、キャラクター……彼がひとり、目だって毛色が違うというのはある。
しかし、いることが華、いることが才、そういう役割が彼にはあるのだ。
岩橋くんがかわいいだけ、かっこいいだけなら、ファンはこんなにも君を待たない。
「岩橋玄樹」だから待っている。
King & Princeに絶対に必要な人だから、待っている。
ニューヨーカーに憧れて、かわいい顔して虫が平気で、野球が大好きで、尊敬する人は原監督。
そんな君でいいし、そんな君がいい。
「いてくれるだけでいい」という言葉は実際、アイドルにとっては酷かもしれない。
それでも私は、最大の賛辞を込めて言いたい。
岩橋玄樹くん。
君は、ただそこにいてくれるだけでみんなを幸せにする。
そんな才能を、そんな役割を持って生まれてきた人だよ。
5人の「シンデレラガール」は、最近少し寂しい。
君がピンクの光を挿して、再び6色が煌めく日を、私はゆっくりと待っている。
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