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【チーム論・リーダー論】「環境が人を変える」んだと思う

ここ最近、続けて書いている、(一応)元学習塾室長が考える教育観というシリーズの一旦ラストの回としたいと思います。ここまで勉強に関する意欲、意識をどうやって高めるか?さらには周囲からの受動的(恐怖?)な強制ではなく、能動的に取り組むにはどうすればいいのか?というお話をしてきました。シリーズ最終回はタイトルにあるように「環境が人を変える」をテーマとして締めくくりたいと思います。


「環境が人を変える」by野村克也監督

これは野村監督の著書にあった言葉です。すごく心に響いた言葉の一つです。私が集団塾に所属していたからかもしれませんが、集団力学とでも言うんでしょうか。チーム(クラス・教室)全体を一つの方向に進むように整えることが出来れば、一人一人それぞれにモチベーション掛けをするよりも容易に導くことが出来るのでは?と思った次第です。実際、これを意識してマネジメントしていました。

ふらっと立ち寄りやすい環境づくり

当時はスターバックスの「サードプレイス」思想にもすごく共感していたので、なんとかして堅苦しい印象の強い学習塾を「サードプレイス」化することに力を入れていました。それは誂え設え。殺風景な事務所や教室に黒板と学習机・・・といった典型的な学習塾イメージを崩したくて、とにかくあれこれ挑戦していましたね、実際。まあ、全てが上手く行ったわけではないですが、それなりに反響はあったように思います。

主役は「人」。どこまでいってもカギを握るのは「人」!

これもまた当たり前なのですが、いくら外見や内装を整えても、肝心要の「中身」が伴わなければ意味がありません。ということで、ふらっと立ち寄りたくなる、来たくなる空間を作るのであれば、やっぱりその中にいる「人」がカギということになります。意識したのは笑われるかもしれませんがディズニー(笑)。今考えると相当恥ずかしいですけど、当時は本気でしたね、実際。あのフレンドリーな感じ、そして親しみやすい笑顔と丁寧さ。本気でライバルはディズニーと思ってやっていました(笑)。

ということは、一緒に働く仲間とどれだけ「同期」できるか!?

あとは同じ方向性で考えられて動くことの出来るスタッフをどれだけ揃えることが出来るか、ということになります。当たり前ですが、これが難儀。当時ですら人手不足かつ、学習塾業界にはブラックなイメージがついていましたから。そんな中で、いかに楽しく働いてもらうか、そしてスタッフを集めるか?そんなことを日々、いや毎年毎年考えていたように思います。ですので、個人で出来る範囲なので、限りはありますが、やたらとスタッフを巻き込んだイベントは数多くやっていましたね。

生徒さんよりもスタッフファーストだったかも???

最盛期(というか私の暴走が最高潮だった)のときは、生徒獲得よりもスタッフ獲得に力を入れていたといっても過言ではないかもしれません。それくらい同じ気持ちで働いてくれるスタッフを渇望していたんだと思います。それに有り難いことに卒業生がそのまま残ってスタッフとして手伝ってくれる、なんていう嬉しいサイクルが出来はじめていたことも大きいと思います。かつての教え子(なんていうと烏滸がましい。彼ら彼女らの方が私よりもよっぽど立派な経歴なので・・・汗)と一緒に働けるなんて結構贅沢ですよね。当時は本当にスタッフファーストであれこれスタッフさんに楽しんでもらう企画を年がら年中画策していた気がします。

遊んでる?いや、これが回りまわって生徒に還元されるんです!

こう書いていくと、何やら「お前は単にスタッフと遊んでいたのか!?」とお叱りを受けそうですが、いやいや、そんなことはなく、まずはスタッフさんに楽しんでもらえれば、彼ら彼女らも楽しく働いてくれるわけで、そうするとその楽しい気持ちで生徒さんに対応してくれる→楽しくなった生徒さんが笑顔でおうちに帰る→その様子を見て保護者さんも安心する(あわよくば塾での出来事を話してくれるかも)という善循環となるわけです。まあ、毎度このようにうまくいくわけではありませんが、考え方としてはこんな感じで考えていました。

基本は自分で考えて、自分で動く。

あれこれルールやマニュアルで縛るのでは無く、自分で考えて、自分で動く。これを基本としていました。まあ、理想論ですけどね。私自身もあれこれ決められた中で限られた動きをするよりは、自由自在にアレンジして考えたりする方が楽しいタイプなので、こんな感じでマネジメントをしていました。これも多読のおかげです。私の敬愛するアメリカのLCC航空会社「サウスウエスト航空」の創業者ハーブ・ケレハー氏の名言「君がいいと思うなら、その通りに動いてくれ。もしそれが間違っていたら指摘するけど、君のことを非難はしない」というようなものがあるんですが、まさしくこれ。いちいちあれこれ細かいところまで決めていられないので、とにかく自分が(お客様のために)いいと思う動きをしなさい、もし違っていたら指摘はするけど、あなたのことを批判はしないから。というこの言葉にものすごく共感し、あらゆる場面で使っていたように思います。ちなみにサウスウエスト航空、とにかくスタッフを大事にする社風が有名です。

リーダーは「分かりやすいキャラ」に限る(笑)

これは自戒でもありますが、あえて開き直ってみました(笑)。というのも、私自身、顔にすぐ出るタイプなので、スタッフ陣も私の顔を見れば、すぐに善し悪しが分かったらしいのです(涙)。でも、だからこそ、逆に彼ら彼女らからすれば、「こいつ(私のこと)はコレをすると喜ぶらしい」とか、逆に「コレをされるとキレるらしい」というように判断しやすいそうなんです(実際、後に言われました)。ただ、この基準が気分で変わると言うことはなかったようなので、彼ら彼女らからも判断はしやすかったようではあります。それに基本的にそれ以外でも「分かりやすい」キャラだったので、そういう意味ではスタッフ(部下)からすると、扱いやすい上司(そりゃ面倒くさい面もあるでしょうけど)だったかもしれません、ある意味。

楽しい空気は伝播する!

・・・と、ここまでスタッフ論やチーム論が続きましたが、実際、こうやって組織作りができてしまえば、あとはスタッフ陣がどんどん動いてくれるので、8割方は完成したといっても過言ではないと思います。スタッフが楽しく主体的に動いてくれれば、毎回来校される生徒さんたちにもそうした空気は必ず伝わると思います。これは現にある種の「成功体験」を得たことがあります。きっと皆さんにも買い物や食事などでお店やレストランを訪れたときに、感じのいい店とそうでないお店を感じたことがあると思います。まさにそれ。「なんだかこの雰囲気良いよな」と思ってもらえるよう、あの手この手で取り組んでいたという感じでしょうかね。

そしていよいよスタッフによるモチベーション掛けが功を奏す

相当な回り道をしてきましたが、こうして環境が整ってようやく生徒さんへのアプローチになります。ここまできたらあとはクラス全体だったり、生徒一人一人へスタッフ(=教師)によるモチベーション掛けが効果を発揮する段階になります。きっと互いに信頼感が醸成されている頃だと思うので、そうすれば概ねポジティブな気持ちを持っているでしょうから、そうした相手からの声がけや褒め言葉によって、どんどん積極的に前向きに取り組んでくれることでしょう。

まとめ・・・ただし、全速力はずっとは続かない(なかった)・・・涙

というのが、私の経験を基にしたモチベーションアップ論であります。ただし、これはリーダー(上司、室長などなど)の力量が相当必要になってきます。私のようなへなちょこリーダーは10数年、いや干支一回りくらいはなんとか全速力で駆け抜けましたが、エンストを起こしてリタイアしてしまいました。善循環の時は身体から常にドーパミンが出まくっているので、どこまでも頑張れてしまうのですが、ふとしたことで歯車が狂い始めると、なんとか「成功体験」をした、最高潮の時に戻ろうと必死になってしまうんですね、これがますます負の循環となってしまうのです。まあ、これは別の話ということで。

とはいえ、もう少し周囲に任せることができ、良い意味でシステム化できれば、自分で抱えすぎること無く、もっと肩の力を抜いて出来たのかな、という気持ちはあります。時に当時のメンバーに「あのときは楽しかった」と言って貰えるのは、お世辞だと分かっていても、数少ない私がちょっと自慢に思えることかもしれません(笑)。そんな彼ら彼女らこそ「環境が人を変える」の申し子であり、私にとっても自慢の最高の仲間だと思っています。



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