育休中のお金 勉強しないと損します!
育休中は給与がもらえない代わりに育児休業給付金が雇用保険から支給される。また、育休中は毎月天引きされている社会保険料が免除される。皆さんは、育休中のお金について、調べたことはありますか?社会保険料や育休給付金の仕組みを理解しないと、知らないうちに損してしまいますよ。
■育休は月末から取得しなさい
今年2月、人事の育休担当とのzoom面談。7月1日から育休開始の希望を伝えたところ、「それなら6月末から取得しないと社会保険料でかなり損しますよ」と伝えられた。説明を聞いていると月末が育休中であれば、その月の給料の社会保険料が免除される仕組みとのことである。
さらに6月がボーナス支給月であるため、こちらの社会保険料もまた支払わなくてよいらしい。これだけで、7月1日から育休を取得する場合と比較して軽く10万円以上は手元に残るお金が増えるのである。
大学の友人の総合商社マンは「会社から説明が何もなく、月初から育休をスタートしたので後で気づいてショックだった」と話していた。育休のお金周りについては、人事側もよく制度を理解していないことが多く、自分から積極的に情報を集めないと損をしかねないのである。
■残業増で手当アップ イデコは要注意
続いては育児休業給付金だ。ざっくりいうと、育休取得前の半年間の給与額面(税金、社会保険料控除前、通勤手当含む)の6か月平均を算出し、67%(休業開始から6か月を超えると50%)を掛けた金額が月の支給金額となる。つまり月給40万円なら給付金は27万円くらいとなる。
ただし、2024年6月現在、算定基礎の上限は約46万円であるため、支給金額の上限も約31万円(46万円×67%)となる(詳細は厚労省のHPで要確認)。つまり、いかに額面46万円に近づけられるかが鍵を握る。
そこでポイントの一つ目は、額面給与が46万円に届いていない場合、育休開始の半年前から残業代を稼げば、育休手当が増えるということである。仮に給与額面の平均30万円の男性社員が残業を増やし、額面給与を40万円とすれば6.7万円(10万円×67%=6.7万円)、月の支給額が増えることになる。育休を半年取得するだけでも30万円以上は支給額が増えるし、延長して育休期間をマックスの2年間取得するとさらに効果は大きい。妻が妊娠中の期間にお金のためだけに残業しまくるのはどうかとは思うので、要相談だ。
ポイントの2つ目は確定拠出年金だ。企業型確定拠出年金や、イデコに拠出している場合、額面給与から確定拠出年金の拠出金額を引いた金額で育休給付金は算定される。つまり、月5.5万円をイデコで拠出している場合、月に3.7万円(5.5万円×67%)も受給額が減少することとなる。これは、育休期間分を合計するとかなり損してしまう。そこで育休の取得が半年前から決まっているなら、計画的に半年間の拠出をストップして、育休給付金の支給額を減らさないようにすることも大事だ。
■上級テク 有給と育休の組み合わせ
事前に情報収集をしたおかげで、ある程度対策はとれた。しかし、先日、友人から私が見落としている点を指摘された。賞与だ。
会社ごとに制度は異なるが、私の会社は賞与の算定期間に育休期間は含まない。つまり1年間が算定期間であれば、半年間育休を取得すれば、来年受け取る賞与は半減する。
この点、半年の休暇のうち、2か月を有給にすればどうか。来年の賞与の受給額は8/12にアップする。さらに有給分は給与として、67%を乗じる前の金額を支給されるという。前出の総合商社マンは「育休と有給を組み合わせないと損するって」とどや顔。さすが商社マン。抜け目ない。すでに育休の申請を出している私には後の祭りだ。
■制度を知る良い機会に
育休取得を前に社会保険や、確定拠出年金といった国の制度だけでなく、会社の制度も勉強することができた。やはり自分事になると、一気に学習が進む。健康保険、雇用保険、年金保険。よく分からないけど給与明細から天引きされている謎の存在だったが、今回、勉強したことで理解が深まった。
出産予定日や、給与水準、残業時間、賞与の支給時期、確定拠出年金の加入状況などパパごとに事情は異なる。紹介した制度もごく一部なので、調べてみてそれぞれに合った対策を模索してほしい。育休取得前に勉強することは、各種の制度を知る良い機会になるし、マネーリテラシーを高めるうえでもきっとプラスになるはずだ。
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