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(本紹介)"GRIT やり抜く力" Angela Duckworth ③(子育てへの応用)

GRITの考えは、子育てにも大いに活用できる。

本書を見てみよう。

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・「興味を観察する親が、子供の情熱を伸ばす」

・保護者やこれから親になる人や、年齢を問わず親以外の人たちにも伝えたいことがある。それは「必死に努力する以前にまずは楽しむことが大事」と言うことだ。打ち込みたいものが見つからず、毎日何時間も努力をする覚悟ができてないうちは、興味を持ったことをひたすら楽しんで、どんどん興味を湧くようにした方が良い。興味を持ったことを本格的に掘り下げていくには、時間もエネルギーも必要だし、規律も規制も欠かせない。

・興味のあることを見つけて掘り下げていく段階を、ベンジャミン・ブルーム(心理学者)は「初期」と呼んでいる。この「初期」に励ましを受けるのは極めて重要だ。というのも、初心者はまだ本腰を入れて取り組むべきかやめるべきか、決めかねているからだ。この段階で最も望ましいのは、優しくて、面倒見の良い指導者(メンター)を得ることだ。「初期」には、ある程度の自主性が尊重されることも大切だ。勉強や習い事の学習者を対象に行った長期研究によって、威圧的な両親や教師は、子供のやる気を損なってしまうことがわかっている。一方、自分の好きなことを選ばせてもらえた子供は、ますます興味を持って取り組み、後の一生の仕事として取り組む確率が高くなる。

・競泳のローディー・ゲインズ(オリンピック金メダリスト)のように、子供の頃から様々なスポーツを試した後に、1つの競技に的を絞ったプロのアスリートたちは、全体的に長期間にわたって成績が良いことが研究によって明らかになった。早い時期に様々なスポーツに触れることで、自分がどのスポーツに向いているかがわかりやすくなるのだ。また、様々なスポーツを試す事は、クロストレーニング(専門の競技の技術向上のために別の競技を練習すること)の良い機会となり、筋肉を鍛え、スキルを磨くことができる。それが後に、自分の専門分野で集中トレーニングを行うときに思いがけず役立つ。

・エキスパートと初心者では動機付けの方法が異なって当然だ。初心者のうちは、自分が本当に楽しいと思うものを見つけるために周囲の励ましやある程度の自由が必要だ。ちょっとした達成感を味わったり、褒められて嬉しかったり嬉しくなったりすることも必要。少しは批判されたり、間違いを正されたりする必要もあるが、この段階ではやり過ぎは禁物であり、焦ってはいけない。初心者のうちにあまり厳しく接すると、せっかく芽生えた興味が台無しになってしまう。一度そうなったら、取り返しはつかないと思ったほうがいい。

・amazon創業者 ジェフ・ベゾスの母親ジャッキー「子供たちが自分の好きなことを思いっきりやれるようにしてあげるのが、私の責任だと思っていました」「家族が私に付けたあだ名はカオス号の船長ですよ。子供たちがやりたいって言う事はどんなことでも認めたから」「(子供たちがいうことを)全部わからなくてもいいのよ。大事なのは話を聞いてやることなの」

・興味を持ち続けるためには、さらに興味が湧くような機会が、何度も必要であることを忘れないようにしよう。そういう機会を自分で積極的に作ること。それには粘り強さも必要。興味を掘り下げるには時間がかかる。自分と同じ興味を持っている仲間を探そう。力強く励ましてくれるメンターを見つけよう。

・興味を持続させるには、自ら積極的に掘り下げ、深めていく必要があることに気づいていない人が多い。

・今回本書を執筆したことで、自分がこれまでたどってきた道のりをよく理解することができた。学生の頃、青年期の教育や可能性に興味を持ったことから始まり、20代になると自分の人生の目的が見え始めた。30代になって経験と知識を蓄えた上でようやく自分の一生を捧げたい、最も重要な目標が明確になった。それは心理科学によって子供たちのしなやかな成長を手助けすることだ。

・優しい育て方と厳しい育て方が、どちらか一方しか選択できないようなものではない。

・「毅然とした育て方(賢明な育て方)」のカテゴリーに属する親たちは、子供の心理的要求を正確に判断している。子供の能力を最大限引き出すためには、愛情と自由を与えるとともに、限度を示すことも必要であることをよく理解している。「子供に厳しい要求をしながらも、支援を惜しまない育て方」が有効であることを示す科学的根拠は既に十分ある。

・「暖かくも厳しく子供の自主性を尊重する親」を持つ子供たちは、他の子供たちよりも学校の成績が良く、自主性が強く、不安症やうつ病になる確率や、非行に走る確率が低いことがわかった。

・成長するに従って、私たちは自分自身の行動を振り返ることができるようになる。また他人の行いを素晴らしいと評価したり、軽蔑したりするようになる。暖かくも厳しく子供の自主性を尊重する親に育てられると、子供は親を手本とするだけでなく、尊敬するようになる。そうすると、単に親の言いつけを守るだけでなく、親の意図に納得して従うのだ。また特に、親と同じものに興味を持って熱心に取り組みようになる。スティーブン・ヤングの場合、父親もまた、ブリガムヤング大学で傑出したフットボール選手だったのは、単なる偶然ではない。フランチェスカ・マルティネスも、作家の父の影響で、子供の頃から文章を書くのが好きだった。

・ベンジャミンブルームの研究でも、子供に対して厳しくも支援を惜しまない親たちは、ほぼ例外なく、子供たちの成長にとって努力の手本となっており、親自身が「努力家で、何かに挑戦するときは全力を尽くし、楽しみよりもやるべきことを優先させ、遠い目標に向かって努力する」姿を子供に見せていた。さらに、「そのような親たちの多くは、自分の好きな活動に、子供を積極的に参加させていた。」「興味を持っている事は、子供にも毅然と伝わる。」

・私がやり抜く力の鉄人達に行ったインタビューでも、多くの人が誇りと畏敬の念を込めて、自分が最も尊敬し、影響受けたロールモデルは親だと語った。そして、親と同じようなことに興味を持つようになった人が非常に多いのも、顕著な特徴だった。このようにやり抜く力の鉄人たちは、親のやることをただ真似るようになっただけでなく、親を手本とするようになったのだ。

・まねる事と見習う事は大きく違う。

・もしあなたが自分の子供の「やり抜く力」を引き出したいなら、まず、「自分が人生の目標に対して、どれくらいの情熱と粘り強さを持って取り組んでいるのか」、次に「子供が自分の手本にしたくなるようなことをしていると思うか」考えてみよう。もし前者の質問に対する答えが「大きな情熱と粘り強さを持っている」、後者に対する回答が「とてもそう思う」であれば、あなたはすでに「やり抜く力」を伸ばす育て方をしている証拠だ。

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