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「ビタミンC健康法」三岩巌を読む

 ビタミン・ミネラルは、3大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)と共に大切だと認識している人は多いですが、じゃあ具体的に各ビタミンが①どんな役割を担っているのか、②不足すると何がまずいのか、を知っている人は多くないのではないかと思います。

 日本の分子栄養学の祖と呼ばれ、「うつ消しごはん」「すべての不調は自分で治せる」の著者である藤川徳美医師もその理論を大いに参考している、三石巌さんの著書から、学んでみようと思います。「分子栄養学のすすめ」が三石理論の概要といえる代表作といえますが、今回は「ビタミンC健康法」から、ビタミンCについて知識を取り入れてみましょう。

ビタミンCの摂取が関連している症状・病気は本当に多いですね。

1. ビタミンは薬ではない

・ビタミンCによって色々な病気を治す研究を世界の無数の臨床医がやっていること、その中に日本人の医師の名前がほとんど出てこないこと。(ちょっとの差でビタミン発見の歴史に名を刻めそびれた鈴木梅太郎さんの話はこちら)

・(分子栄養学の祖と呼ばれる)ライナス・ポーリング氏(生物学者/ノーベル賞受賞(※1))は、米国医師会を向こうに回してビタミン主義の旗を振りかざし、市民運動に指導的役割を果たした。アメリカで、すべてのビタミンが薬事法の枠から外されたが、これは彼の偉大な功績といってよい。今、アメリカでは1600万世帯がビタミンCの大量摂取を食習慣に取り入れているというが、ここ10数年で米国で心臓病患者が減少しつつあるのはそのためだろう。
・ビタミンが薬事法から外されたアメリカでは、ビタミンに薬理作用があるという発想は自己矛盾にならざるをえない。しかし我が国ではビタミンは薬だから、その作用は全て薬理作用という論理になるだろう。ところが、日本のビタミンCについて書かれた本を見ると、その作用は生理作用と薬理作用とに分けて考えることになっているようだ。野菜や果物に自然に含まれているビタミンCを、まさか薬とみるわけにはいかないから、その作用を生理作用とし、人工合成のビタミンCは薬だから、その作用を薬理作用とするのだろう。これはいかにもご都合主義であって、科学の世界の考え方ではない。そしてそれが我が国のビタミン学の実情なのである。
・なるほど、ビタミンCは風邪の予防薬になり治療薬になるだろう。それならば、水は脱水症状の予防薬であり治療薬ということになる。薬というものは、すべて生理作用に介入して病気に対抗する物質と言ってよい。とするならば、薬理作用と生理作用を切り離すのは不合理である。その不合理性はビタミンに対する考え方に端的に現れている。

2. ビタミンCは風邪の予防になる

・分子栄養学は、個体差の栄養学である. p.220

・酵素タンパク(主酵素)は、万人に共通とはいえない立体形をもつ。

・平常から適当量のビタミンCを摂っていれば、風邪を予防できる(p.36)

・ポーリングは、風邪をひくと、白血球のビタミンC含有量は半分に減りそれが2-3日続くそうだ。ウィルスや細菌に対する攻撃力が低下することになる。(P.37) 

(注:メガビタミンについては、色々な捉え方が世の中にあるようですね)

・普通の風邪はまずウィルス感染に始まり、これに溶連菌などの細菌が追い打ちをかけ、結局混合感染の形をとる。ビタミンCには殺菌力があるとはいえ、ウィルス段階でこれを頓挫させることができたら、これに越したことはない(p.38)

ビタミンCが協同因子となる代謝

コラーゲン生成・副腎皮質ホルモン合成・インターフェロン合成・チトクローム合成・コレステロール分解・免疫グロブリン合成・ヒアルロニターゼ抑制因子合成・ジメチルニトロソアミン合成阻害・菌毒素不活化・リパーゼ活性化・グリコーゲン合成・ブドウ糖吸収抑制・一酸化炭素毒性緩和・汚染物質毒性緩和・重金属毒性緩和・知能指数上昇・分裂病改善・欝病改善・排卵促進・分娩時間短縮・コーディング・活性酸素除去など。

・ポーリングさんは1日最低10gを、三石さん(※96年の長寿を全うされた)は7-10gのビタミンCを毎日摂っていた。
・ポーリングさんの著作「さらば風邪薬」には、『200mgという少量であっても、また1gであっても、ビタミンCを常時規則的に服用していれば、風邪に対する抵抗力をつける上で、何らかの効果を期待することができる』と書いてある。(p.41)

3. ビタミンC= L-アスコルビン酸

野菜や果物に含まれているビタミンCは,L-アスコルビン酸である。我々は、L-アスコルビン酸をビタミンCとするのであって、合成品と天然品とは、L-アスコルビン酸である限り、いかなる点においても区別することができない、現実に市販されているビタミンCは、例外なしに合成品と考えるべきである。天然物からこれを抽出するのは、労が多く、高価になるばかりだ。そして得られた物質は、天然品と相違がないのである。

4.ビタミンCを食べ物から摂るのは難しい?

アセロラ・ローズヒップ等、ビタミンCを豊富に含む果実も、我々の口に入る物は、消毒によってビタミンCのほとんどを失っている(p.49)

※ 農作物から摂れる栄養素が減った例は下記記事でも紹介されてます。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD24D1W0U2A520C2000000/

・生命の実態は代謝だ(p. 54)

・爪の形成も代謝。

代謝は、生体の化学変化、化学反応である。物質の分子構造の変化である。

p.56 我々は、すべての必要な酵素の製法を親から教えられている。それは遺伝子または遺伝情報の形においてである。我々は、親ゆずりの方法によって、食品中のタンパク質から、必要な酵素を作り出すことができる。

5. ビタミンCの抗ウィルス作用

ビタミンCの抗ウィルス作用は3つ.

1. 直にウィルスを攻撃してそれを破壊する.
2. 白血球の食作用を増強する.
3. インターフェロンを作り、間接的にウィルスの活動を阻止する.

インターフェロン: ウィルスに対する干渉因子. ある細胞がウィルスに感染すると,その中でインターフェロンが作られ,それが周囲の細胞に摂り入れられる. インターフェロンを持っている細胞は、ウィルスに奉仕できなくなる.

p.57 ビタミンCの守備範囲は、免疫系の障害、血液凝固系の障害、腎機能低下、結合組織の生成阻害、神経系機能不全エネルギー不足によるものにかかわる。

p.61 ストレスがあれば、それに対抗するために分泌される副腎皮質ホルモンの生成の代謝がビタミンCを要求するので、ビタミンCの大量消費が起きるので、その濃度が下がり、慢性壊血病は亢進する。

6. ビタミンC不足だとストレスに弱くなる

ストレスに対する脳下垂体前葉の対応は間接的である。すなわち、ストレスの症状は知覚神経を通じて脳を賦活し、全身に戦闘態勢を取らせるに至る。その実体は、アドレナリン・ノルアドレナリン等神経ホルモンの分泌である。これが脳下垂体前葉を刺激して、副腎皮質刺激ホルモンの分泌を促し、このホルモンが副腎皮質に達して、そこでのホルモン生産を指令することになる。
副腎はこの時、重労働を強いられ、ついに肥大せざるを得ないのであるこの過程において、ビタミンCの大量消費が起き、その血中濃度は大幅に低下する。ビタミンCを抜きにしてストレス対策を語るなかれと言わなければならない。ストレッサーに強いということは、タンパク質やビタミンCの節約になる。従って、これは、生きる上での有利な条件の一つとなる。

※1:ノーベル賞を2回受賞したのは、キュリー夫人、サンガー、ライナス・ポーリング等数えるほど。

何か心配事が起きたとしよう。この情報は視床下部にインプットされ、ストレッサーとして認識される。そこで視床下部は「副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン」を分泌してこれを脳下垂体に送りつける、すると脳下垂体は、<副腎皮質刺激ホルモン>(ACTH)を出し、これを血中に送り込む。これは副腎皮質細胞膜の<レセプター(受容体)>に辿り着き、そこでコルチゾール・コルチゾン等の副腎皮質ホルモンを作らせるのである。
ここに出てきた視床下部・脳下垂体などの中継点に起こる現象は、いわゆる<フィードバック>である。それは、状況に対応するためのホルモンを作るべく、それに対する遺伝暗号を解読し、目的の物質を作るということだ。ビタミンCはこのフィードバックに登場するのだ。そしてまた、コレステロールから副腎皮質ホルモンを作る何段階かの代謝のひとつにも登場するのだ。(「分子栄養学のすすめ 」p.95)

7.日焼けをビタミンCで防げるのはなぜ?

我々の皮膚にはメラニンという色素がある。強い紫外線にさらされてメラニンが増加が起こる。この褐色色素の原料はアドレナリンとドーパ(神経ホルモンのノルアドレナリンの前駆物質)。ビタミンCには、①このアドレナリンとドーパがメラニンになる反応を阻止する作用、②濃色メラニンを淡色に変える作用がある。つまり日焼け止めの作用がある。(p.55)




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