心の洗濯、入れる一服。
温泉大国、日本。
入浴中の重力は普段の10分の1程度となり、筋肉や関節がゆるみ、血行促進効果がある。
浮遊力は体内にも及び、内臓が本来の位置に戻ることも入浴の効果とされている。
私はふと思う。
“言葉“にも、そのような効果があるのではないか。
思考は自分の持つ言葉により行われる。
普段、自分が自分にかけている言葉はシャワーのように流れているようで、実は心の浴槽にたまっていく。
定期的に、今持っている言葉を見つめ直す必要があるのではないか?
日本の自殺者数は、年間30,000人を越える。
これはアメリカの2倍だ。日々80人以上が自ら命を絶っている。交通事故による死亡者数を上回り、自殺者の低年齢化も問題視されている。
“自分に価値がない“
自分に厳しい言葉をかける。
無理に背負い込んだ荷物に息が詰まる。
日本人は自己犠牲の精神が強く、同調圧力にも敏感。辛抱強さや我慢は美徳とされる国民性だ。
言葉は人を生かし、人を殺す。
ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」はハンガリーのことわざである。
「恥ずかしい逃げ方でも、生き抜くことが大切」という教えだ。
私は職場の雰囲気が悪くなったり、体調悪化を予期したら、周囲に
「勇気ある撤退をする」と宣言をし、帰宅する。
つまり、逃げるのだ。
今日無理をして体調を悪化させるより、定時で上がり休息をとる方が結果的に周囲に迷惑をかけない。
“みんなは残業しているのに?“
“周りにどう思われるのかな?“
自己犠牲を尊ぶなら、こんな言葉を自分にかける。以前の私もそうだった。無理に自分を奮い立たせた。
結果的に体調を崩し、周りにも迷惑をかけ、
自分を含め、誰も守れなかった。
自分にどんな言葉をかけるのか。
それは自己責任でもある。
自分の声を1番に聞くのは自分だ。
勇気ある撤退と言い換えることで
勇気を出し自分を守れた、と自信がわく。
そうやって本来の自分を取り戻すのだ。
温泉が万病に効くとされたのは、きっと精神面による影響が大きい。
本来の位置に内臓が戻るように、現代人は自分に戻る時間が必要である。
そのために言葉を選ぶべきなのだ。
温泉は源泉かけ流し。
言葉は厳選し自分にかけなさい。
その効能は計り知れない。
そういえば、ハンガリーもまた温泉大国である。