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仕事は選ぶものではなく、選ばれるもの。(3分で読めるキャリア論)

いま世の中では「やりたいことを仕事にしよう」という機運が強い。僕が経営するニューピース社でも「Why Driven」という行動指針があり、意志を持って仕事をつくりだし、そこに周りを巻き込んでいくことを奨励している。

ただ、ここで間違った認識をする人が多い。「そうか、自分で仕事を選ぶことが大事なんだ!」と。僕も若い頃はそうだった。

残念ながら、そういう人はいつまでも自分のやりたい仕事をできないだろう。働くとは「側(はた)を楽にする」が一つの語源と言われるように、他者貢献から始まるもの。

自己表現的に自分の肩書きにこだわる人も多いが、名乗ることは今日からでもできる。ただそれを周りが信じなければただの飾り。肩書きは役割であり、周りの役に立つことで初めて実態が立ち上がってくる。

よくある質問として、「好きなことと得意なこと、どっちを仕事にしたらいいですか?」と聞かれることがある。本当にやらずにはいられないほど好きなことが見つかってるならやればいい。しかしそういう場に来て、比べる質問が出てくる時点で違う気がする。

僕の考えはこうだ。まずは得意を磨いたほうがいい。得意なこととは「自分の労力の割に、周りが感謝すること」。自分の中では大したことない考えや動きが周りからするとめっちゃ有難いことがある。それが得意であり、仕事における最初の価値だ。それをとにかく提供しまくる。

こういうと「一部の特別な人以外は、やりたいことを仕事にするのは諦めたほうがいいってことですか?」という質問が出てくることがあるが、それは違う。得意なことを徹底してやれば自ずと専門性やスキルになり、それを磨き続ければ、必ず好きなことややりたいテーマに関われるようになる。

自分がこの仕事やりたいです!って選ぶのではなく、仕事のほうから選ばれるのだ。

この役割で関わってもらえませんか、と。最初は助っ人的参加かもしれない。しかし役割は居場所である。そのコミュニティに貢献し続けれていれば、必ず自分もその中心になっていく。そこで初めて、心の内に秘めたWHYが仕事として結実するのだ。

高木新平の場合

具体的な話がないとイメージが湧きづらいと思うので、今更ながら僕のケースを書こう。(キャリア論は経験に基づくポジショントークなので1人に刺さればいいと思って書いてます)

僕の場合、親父が社会の教師をやっていたこともあり、社会に対して異常な関心があった。しかし政治経済学部には落ちるし、官僚になれるような頭脳も、政治家になれるような地盤看板カバンもなかった。公共的な取り組みに関われそうな大企業に入るも組織というものに馴染めずに1年で辞めてしまった。

仕事もなくマンションに住むお金がなくなり、生きていくために友人とシェアハウスを始めた。コワーキングスペース的に開放したら、当時はそういう場がなく面白がって同世代の連中が集まってきた。暇な僕は毎日のように起業や何かを企てようとする人たちと壁打ち相手をしていた。僕はそれが苦ではなかった。

まだ形になっていない抽象的な思考を言語化したりイメージに変換する。多分そういうことが得意だったのだろう。それを続けてるうちに会社の名前やビジョンを考えたり、ロゴやビジュアルを作ったりするようになる。気がつけばスキルになっていた。

面白いのは、クチコミでいろんな人を紹介され、いわゆる起業家だけではなく政治家を志す人のキャッチコピーを考えたり、役人から政策のコミュニケーションを相談されるようになった。いつのまにか中心メンバーとして、ネット選挙運動解禁キャンペーンを仕掛けることにもなった。(いろんな方々の力を借りて2年後に解禁を実現した)

そこからニューピース社を立ち上げ、社会を変えようとするスタートアップはもちろん、官公庁や様々な社会課題と仕事をするようになった。最初は訳わからずガムシャラに仕事していたが、10年ほど経って、少しずつだが確実に、やりたいことを仕事にできるようになってきた。(小泉進次郎さんらと「人生100年時代」を仕掛けたことや、故郷である富山県のビジョニングもその一つだろう)

また、不思議なもので、自分がやれる範囲が広がると、やりたいこと自体もアップデートされ、自分なりのテーマが見えてきた。それはやりたいとか得意とかでもなく、自分はこういう形で社会の役に立っていきたいという志みたいなものだ。その話はまた今度したい。

思いつきで書いたのでダラダラと長くなってしまったが、何を言いたいかと言えば、最初からやりたい仕事だけを選ぼうするよりも、得意を磨いて周りに価値貢献することで必ずチャンスは拓けてくるということだ。人生は長期戦なのだからSNSのスピード感でこなす必要などない。むしろペースを乱され消耗する。情熱も仕事も、10年20年という単位で育てていけばいいのだ。

※いろんな起業家の人生ストーリーを知ると、いろんな山の登り方が見えてくるのでおススメ。◾︎Podcast「インサイドビジョン」
https://anchor.fm/inside-vision/