架鉄雑考 #2「新拓都ににじさんじライバーは住めるか(1)」

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にじさんじライバーの住む世界

今日も元気に推し活してます。新平です。
引き続き、にじさんじの世界観から、架空鉄道や架空都市のあり方の1パターンを検討してみたいと思います。

前回の話でもちらっと触れたのですが、にじさんじライバーの住む世界と私たちの現実世界とは、必ずしも「似て非なるもの」ではないという実態があります。
それを象徴するのが、でろーん(樋口楓)のインスタグラムでしょう。

でろーんのインスタは、執筆時点ではデジタルイラストの投稿はひとつもありません。全てが、カメラのレンズを介して撮影された、いうなれば「実写」です。
「あえて冷ややかな言い方をすれば」、樋口楓という人物自体は、『LIVE2Dで動くイラスト、あるいはモーションキャプチャによる3Dモデル』であるのにもかかわらず、です。

でろーんのインスタ以外にも、少ないながら実写投稿を行うにじさんじライバーがいます。
森中花咲とえま★おうがすとは、同居を解消するにあたって旅行にいった写真をスライドショー動画として投稿したり、郡道先生はTwitterにこまめに実写動画が上がっています(シンカンセンスゴイカタイアイスをスプーンでつつく、USJデートの動画、などなど…)。また委員長は、でろーんとのデートに出かけることが多く、これもまた実写動画です。

にじさんじライバーは「生きている」

にじさんじライバーたちが電脳空間の住人でないことは、この記事を読まれている方は概ね理解されていると思います。(詳しくは前回記事でご紹介した「ユリイカ」2018年7月号を参照ください)
その延長線上に考えるべき重要な要素として、Vtuber全体に当てはまるとは言いきれない、にじさんじライバーの大きな特徴があります。それは「『魂』と『肉体』が、『声優』と『キャラクター』の関係には一致しない」ということ。

声優はあくまでもキャラクターに声を吹き込む存在であり、キャラクターの人格とは一致しません。キャラクターのツイートも、そのキャラクターがどのようなツイートをするだろうかという想像のもとに生み出されたものといえるでしょう。
しかし、にじさんじライバーの『魂』と『肉体』は、重なり合う人格です。『魂』の生活と『肉体』の生活とは常に共有されるものであり、そのツイートもまた、本人たちの直接的な意志によってツイートされているものです。私たちと同じように、自分で考えた文章を、自分の手で入力しているのです。
私たちと同じように、『実際に』日常生活を送っている。それが、にじさんじライバーの大きな特徴であるといえるでしょう。

では、にじさんじライバーが生活を営んでいる空間は、果たして私たちと同じ世界線の空間なのでしょうか
ここに、にじさんじライバーと私たちとの関係性を探る上で、最大の分岐点があります。
そしてそこに、「『新拓都』の存在する世界線」と「私たちの住む世界線」との関係性のヒントもあるのではないでしょうか。

次回に続きます。

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