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【エッセイ】自転車日本一周記23

終わった後の話

翌日には自転車を買ったお店に駆け込んで修理を依頼。同時に旅の話で盛り上がった。それから10日後。ほぼ元通りの姿になって帰ってきた自転車は今の手元にいるが、フレームとハンドル以外は全部取り替えた。

外したパーツの消耗具合があまりにもひどかったので、記念に取っておいてったりもする。でもきっといつかは捨ててしまう。そういうものだ。

結局、日本一周で何を得て、何を失ったのか。未だに分かりはしない。でも、間違いなくやらなかったら出来なかったことをやったという感覚。日本を見てきたんだと言う自負。やり遂げたという自信。
あとはなんとかなるさ精神と、非常事態のときの図々さは身についた。

自転車が直せなかったことへの不満から自転車屋で働き、もっと早く知っていたらなんて思うのもこのあとのこと。

年月と共に記憶はあっという間に抜け落ちていくからもっと記録しておけばよかったとちょっとだけ後悔することも知らない。

日本一周をしたという達成感のもとに妙な自信を身に着けて、妙に張り切り続けて。次第に社会に揉まれて丸くなっていくことも知らない。

なにをしていくだなんて、決めることも出来ずに。やりたいことをやっていこうと決めたあの頃から、なんにも変わらないってことも当然知らない。

日本一周をやって後悔したことはない。だからやりたければやった方がいいと思う。日本一周と言ったってやり方は様々だ。自転車じゃなくたって中断しながらだって出来る。
年齢はいいわけだよ。年齢に付随する環境が障害なのはそうだけれど。それならそれでやりようというものはある。

やらなくて後悔するくらいならやったほうがいい。やったもん勝ちみたいなところもある今の世の中だ。

遅いなんて、誰にも分からない。やれると思ったらなんでもすればいいと思う。

きっと手遅れになることなんてそうそうないのだから。

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