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【エッセイ】自転車日本一周記18
梅雨入りの本州
鹿児島。いや本州は梅雨入りだった。毎日のように雨に振られ続けたし、上がったところで太陽が見えることはなかった。坂を登れば道路は川のように流れているし。寝る場所も困る。小さな屋根だと雨が入り込んでくるし、足元がびしょびしょなのは気分が良くない。それが何日にも渡って続くのだ。
その影響があったからなのか分からないが。まずはリュックが壊れた。背負い続けていた紐がちぎれたのだ。リュック自体が水を吸って重くなったもあるだろうし、日々、水を確保して入れていたのもあった。重量オーバーだったのは間違いない。
それにも困った。背負えなければ進むことは出来ない。どうにかしなくてはと、ひたすら考えた結果。パンクして交換をチューブを使うことにした。
どうやって縛ったか覚えていない。ぐちゃぐちゃになっていたきもする。見栄えは最悪だが、そもそも見栄えなんて気にしながら旅をしていないのだと。諦めることにした。
思いがけない再会
その日は、曇だったが雨は上がっていた。久しぶりにジャグリングが出来ると泊まると決めた道の駅で練習をしていた。他に人の気配もなく貸切状態のそこにバイクが一台入ってきた。その瞬間にすでに頭の中を過ぎっていた。同時にそんなはずはないとも思っていた。
でもたしかにそれは起きたんだ。
そんなまさか。ふたりでそう叫んだ。
沖縄行きのフェリーで会ったバイク乗りの人だった。まさかの再会だ。ふたりして喜びを分かち合った。日本一周でこんなことがあるのかと自分を疑った。たった一晩だけど、別れていた間の話をつまみに飲んだ。
全部梅雨のおかげだった。バイクと自転車で距離に差が付かなかった。すべてはめぐり合わせ。それを実感した出来事でもある。
ここから先の予定は大分からフェリーで四国入りの予定だった。そして彼は福岡まで行き、広島を通ってしまなみ海道を通って四国入り。自転車とバイクの移動距離を考えれば同タイミングで四国にいることになる。
またこんな偶然があったら流石に運命だと。そう思えた。
でもまあ。そんなことは起きなかった。結論としてはね。連絡先も聞かなかったし、名前も聞いたか覚えていない。
でもきっと彼。いや彼だけじゃない。日本一周であった旅人は一生忘れないんだろうなと思う。
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