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熾す人03_ダイアローグ(1/3)

下妻で出会った人たちとの対話の記録を公開します。
この街で、どんなことを考えて、どんなことを想って、どんな活動をしている方々がいらっしゃるのか。
変に飾らないそのままの部分を残したくて、対話(ダイアローグ)のまま記録していく試みです。
協力隊となった私 大竹との対話の様子を通じて、下妻に暮らす人、関わる人たちの姿と共に、下妻の雰囲気が少しでも伝わると良いな、と思います。

今回の話し手

Tさん(33歳):下妻市役所 都市整備課の協力隊担当者さん。大竹は4年前から他の事業でお世話になっていた。
Kさん(39歳):下妻市役所 企画課の協力隊担当者さん、Tさんの先輩。
鵜飼成久さん(歳):下妻市全体で3人目の協力隊、企画課の管轄。

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ダイアローグ開始

大竹:企画課の協力隊で入隊された鵜飼さんもご都合がついたので、同席してもらいながら、下妻市の協力隊を担当してくださっている市職員さんたちが、どんな方で、どんなこと考えてらっしゃるのかをお話をお伺いしていきたいと思います。写真も撮影する予定ですけど、お写真公開して大丈夫ですか?

K:うーん…顔は猫の顔とかにしてもらえたら(笑)。
T:じゃあ、僕は犬で(笑)。
鵜飼:自分は問題ないです(笑)。
大竹:わかりました(笑)。

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出身の旧千代川村について

大竹:では、まずは市職員のお二人の背景について少し聞いていきたいんですけど、年齢とご出身をお伺いして良いですか?
K:現在は39歳で、出身は旧千代川村です。入庁した年に合併がありまして、千代川村役場の職員としては9ヶ月勤めまして、その年の1月から下妻市職員として働いております。
大竹:へぇ!村役場の時からだったんですね!Tさんは?
T:僕も千代川の出身なんですが、採用は下妻市が合併してからですね。
大竹:おいくつでしたっけ?
T:今、33ですね。
K:小学校区は違うよね。
T:6個違いなんで学年も被らないんですけど、小学校も違いましたね。
K:彼の小学校は今も存続しているんですけど、私が通っていた小学校はやはり、悲しいけど、人口減少の影響で廃校になってしまったんですよね。

実家が農家の長男の宿命

大竹:そうですか…Kさん、進学は市外に出られたんですよね?
K:そうですね、Uターンになるんですけど。一旦都内の大学を通ってまして、こちらに戻ってきて地元の役場に就職、って感じだったんですけど、自然な流れだったのかな。あまり、都内で働くイメージもそんなになかった感じがして、当たり前のようになんか戻ってきたっていう感じが、今振り返れば強いかもしれないです。
大竹:えぇ!そうなんですか!
K:Tくんもそうなんですけど、お互い実家が農業をやっていて。農業もやりつつ、仕事もさせていただく、みたいな今のスタイルが、なんとなく自然だったかなぁ、って気がしますね。当たり前のように「労働力としてカウントされてるな…」っていう、無言の圧力(笑)。
T:ある、ありますね(笑)。「長男は戻ってくるもの」っていう、田舎特有の…
大竹:ああ、お二人ともご長男!
T:そういう刷り込みを小さい頃から受けていたので(笑)。
K:そうだね(笑)。

大竹:違和感は全くなかったんですね。お二人とも高校までは下妻ですか?
T:自分は常総市の高校行ってたんで。実家からは通ってました。
K:僕は下妻一高を出て。
大竹:高校までは下妻近辺で、大学から外に出て…
T:自分も、大学時代は神奈川の方にでて、Uターンで、Kさんと同じ様に戻ってきて。
大竹:Tさんは、情報・デザイン系でしたっけ?
T:広い意味ではかな(笑)。学科が広報学科だったので。
K:格好いいねぇ〜。
大竹:Kさんは?
K:僕は経済学だったの。経済学科だったんですけど、何を勉強したかっていうのは…皆さんほどは…(笑)。
大竹:いやいや、そんなことはないでしょう(笑)。でも、ご実家が農家で「いずれは農業を」みたいなイメージは持っておられたけど、農業科には行かなかったんですね。
K:いやぁ、そうなんですよ。もう少し家族のことを話すと、今は弟がメインでうちの仕事を継いでいるんですけど、彼は農業系の学校へ進学して戻ってきてて。自分は「体の良い労働力」みたいな感じになってるかな(笑)。
T:あぁ……なってますよねぇ…(笑)。GWはすごく憂鬱…
大竹:ああ、そうだ、田植えの時期!
T:そうそう。
K:294バイパスを、皆が「行楽にいってるなぁ…」みたいなのを、眺めながら仕事をしている(笑)。
T:ウチの近くにも、イチゴ狩りできるところがあるんですけど、その付近で田植えをやっていると、観光客が沢山来ていて。向こうからすると、こっちの田植えしている様子が珍しいみたいで、写真撮られるとかもあったりして。
鵜飼:ああ〜なるほど…。
T:近づいて撮られることはなくって、こう遠くから撮られたり(笑)。
K:ちょっと羨ましい様な、何と言うか、複雑な気持ちになるよね(笑)。最近はシルバーウィークができたけど、これはこれで稲刈りの時期なので、大型連休の時期は、完全に別の仕事をしてるっていう…1年に2回の大型連休なのに、「休暇」ではない(笑)。
T:そうですね、通常業務+農業の仕事、って感じで、とても憂鬱な連休(笑)。
K:「今年も来るか…!」みたいなね(笑)。
大竹:それは大変だなぁ…。

K:そうそう、地域の消防団とかも、ローカルルールで、若い内は長男が入る、みたいなのがあって。一応あれもボランティアではあるんだけど、結構厳しいところもあって。夜中でも出動するし、大変なんだよね。でも、長年やってると、何か「自分の役割」としての自覚が湧いてきて。家の農業も同じ感じかな。若い頃は、家の手伝いが正直嫌でした(笑)。今では農業もわるくないなと思ったりしますけど。
T:自分は長男で、将来家を取るんで、消防団に入っている方は結構、長男が多いんですよ。中にはお婿さんや次男の方もいますけど。そこで地域のつながりを作っていくところもあるので、「長男の宿命なのかな」と思ってやってますね。
K:そうだね。


大竹:凄いなぁ。正直な話、下妻を出ようと思わなかったんですか?
K:うーん、そうなんだよねぇ…そうなんだけど…「都内で働きたい」っていう強い思いがあれば、きっとそれも選択肢としてはあったのかなあと思うんですけど…。もしかすると、あの時の考えだと、都内で就職するよりかは、個人事業主の様な自分で自立できる職業か、戻ってきて今やってるような「+農業」という選択かな、と思ってましたね、何となく。
大竹:なるほど。でも「農業」っていう選択肢はずっとあったんですね。
K:うーん、なんか「やらなきゃな」って思ってたんだよね。
T:そうですよね。自分は、3人兄妹で、妹が2人いて。妹は嫁に出ていくことになると思うので、長男は残る、というのは決まっていた、みたいな。小さい時から、長男は戻ってきて、地元で仕事、みたいな刷り込みがあったんで。それで必然と、地元に戻ってきた感じですね。
大竹:そうか…お兄ちゃんって大変だなぁ。

「広さ」は田舎の魅力

大竹:そういえば、鵜飼さんも長男だっけ?
鵜飼:長男ですけど、姉と妹がいて、真ん中長男でした。
大竹:出身は埼玉でしたよね?
鵜飼:そうです。住宅街エリアだけど、住宅街の横の余ったところで、個人が農業をやっている感じで。さいたま市の中ではかなり田舎の方で、白鷺や、フクロウ、カワセミ、イタチ、狸が出てくるところに住んでましたね。
大竹:へぇ!自然が豊かな、のびのびした場所だったんですね。  なるほど。
K:…あぁ、今思い返せば、都内の通学時の混雑に耐えられなかったっていうのはあったかもね。バスや電車でももう少しパーソナルスペースが広いところの方が、いいかなぁ…って。
鵜飼:あー、それは分かります。
大竹:なるほど、分かるかも。
T:うーん、自分は不思議とそれはなかったですねぇ。
K:生意気だな(笑)
一同:笑
鵜飼:自分も、元々乗り物苦手で、電車で携帯とかいじってると気持ち悪くなってきちゃって…車とかバスもダメだったので、満員電車もあんまり好きじゃなくて、向こうで働いている時、通勤ストレスはずっと感じてました。
K:さすがシゲちゃん!だから気が合うんだねぇ(笑)
一同:笑
K:僕も、人との距離が電車とかの中で近いのがダメで…
鵜飼:いや、本当に疲れると思います。ずっとぎゅうぎゅう押されたり、あと、匂いがだめだったり…
K:……それ、あえて言わなかったんだけど(笑)。
鵜飼:(笑)。自分は匂いが敏感なのか、いろんな人の匂いだめで…。
K:わかる!
鵜飼:下妻、正解でしたね(笑)。
K:広〜い!よね(笑)。

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