【素晴らしき旅の終わり】映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』感想
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』。
銀河の危機に立ち向かう落ちこぼれたちの姿を描いた人気作品でシリーズ3作目にあたる作品だ。
シリーズ最終作ともなる本作は、銀河のリセットを企むマッドサイエンティストに立ち向かいつつ自分たちの過去にもケリをつけるという話。
衝撃を受けた1作目から約9年。
遂にシリーズが完結した。
もうね…感無量。
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(GotG)は、MCU関係なしに1つのシリーズとして大好きな映画。
鑑賞後はやはり込み上げてくるものがあるよ。
作品の出来や面白さ云々の前に「長い間ありがとう」という感謝の気持ちと「お疲れさま」という労いが入り混じった感情になってる。
まだ消化しきれて部分もあるし、しばらくはこの幸せな余韻に浸っていたい…
ただ、それとは別に感想も記録として残しておきたい。
ということで、この記事では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』の感想をネタバレ込みで述べます。
ちなみに自分はIMAXレーザーの3Dで鑑賞したけど、今作は3Dを活かした演出が多かったので、観れる環境であればIMAX3Dでの鑑賞をお薦めします。
※これより以下は映画の具体的な内容に触れてます。核心的なネタバレは避けてますが、未見の方はご注意ください。
物語はガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの本部から始まる。
お馴染みの面子が生活しているが、リーダーのクイルはガモーラの一件から酒に溺れる日々を過ごしていた。そんな彼らをソヴリン星からの刺客アダム・ウォーロックが急襲する。
その圧倒的な力に翻弄されるガーディアンズ。
何とかアダムを追い返すが戦闘の最中にロケットが致命傷を負ってしまう。
ロケットを治療しようとするが、ロケットの身体は動物実験の影響でセキュリティが掛かっていて治療することができない。
セキュリティを仕掛けたのは、ロケットが幼いころに動物実験を受けた企業オルゴ・コープ社らしい。このままではロケットは死んでしまう。
ガーディアンズはロケットを救うためオルゴ・コープ社に潜入しようとする…という始まり。
ジェームズ・ガン監督自身も公開前に述べてたが、今作はシリーズ中一番ハードで重たい内容になっている。
クイルは酒に潰れて駄目になってるし、オープニングもRadioheadの「Creep」から始まる。
正直、観始めてすぐは「これ本当にGotG?」と作品世界に入り込めなかった。
過去2作の能天気なノリは鳴りを潜めギスギスした雰囲気すら感じた。
オルゴ・コープ社に潜入するにあたってガーディアンズが協力を求めたのは宇宙海賊のラヴェジャーズ。
そこにはガーディアンズのもとを去ったガモーラがいた。ガモーラはラヴェジャーズのメンバーとなっていたのだ。
思わぬ再会に戸惑うクイル。
彼女の手ほどきでガーディアンズはオルゴ・コープ社に潜入する。
こうして、いつもの面子が勢ぞろいする(クラグリン、コスモはお留守番)。
ここら辺からいつものGotGのノリを感じた。ただロケットが不在なのが少し寂しい。
今作の雰囲気が重くなっている理由はロケットの過去パートの存在。
GotGシリーズって一見脳天気な雰囲気があるけど、ネビュラの過去やヨンドゥの部下の一斉処刑とかエグい場面も多い。
これはガン監督の作風によるものだが、人の命の扱いが良くも悪くも軽い。
物語の合間合間に、幼少期のロケットの回想が挟まれるのだが、このパートは観ててキツい。動物が痛めつけられる描写は人によっては賛否分かれることだろう。
オルゴ・コープ社に潜入してからはいつものGotG節が炸裂。
計画通りに物事は進まないし、ギリギリな状態になりながらも何とかピンチを乗り越える。
というか、今作はネビュラが凄い魅力的なキャラクターになっている。
ボケ担当が多いGotGの面々。しかもロケットが不在ということでメンバー内の突っ込み役を一手に引き受けてるんだよね(しかもドラックス、マンティスのWボケと組まされてるから余計に)。
銀河の彼方でネビュラのキレ気味の突っ込みが冴え渡る。
それでいてクイルの精神的サポートもしてるし、1作目の初登場時からここまで良いキャラクターになるとは思わなかったよ。
ネビュラ、今作で一気に好きなキャラクターだわ。
今回のヴィランであるハイ・エボリュショナリーはシリーズ屈指の悪役。
リミックスのエゴといい、GotGに登場する敵は同情の余地がない奴が多いけど、今回のエボリュショナリーはMCUどころかヒーロー映画でも屈指の憎まれキャラになるんじゃないかな。
完璧主義者のエボリュショナリーが掲げる「能力至上主義」に対し「人はそのままで良い」というメッセージを突き付けるガーディアンズ。
ロケットとエボリュショナリー、両者の間には最初から決定的な差があったことが分かる決着の付け方も痛快。
メンバー大集結のラストバトルは、アクションも素晴らしくて、カタルシスも最高潮だったんだけど、このメンバーの姿を見るのも最後かと思っていたら鳥肌が立っていた。
クイルとガモーラの関係の決着のつけ方も納得いくものだった。今のガモーラは前のガモーラとは別人な以上、あの終わらせ方しかないよね。
あの2人らしいロマンチックな終わらせ方だと思う。
個人的に一番グッときたのがドラックスとマンティスの関係性。
前作まではこの2人を漫才コンビみたいだなって思ってたんだけど、ドラックスはマンティスに亡き娘の面影を重ねてた部分もあるんだろうなと気づいたら切なくなった。
前作は銀河のはぐれ者たちが家族になっていく話だったが、今回はその輪がさらに拡がっていく。
はぐれ者というより「行き場のない者たち」と言い換えた方が適切かもしれない。
だからこそクイルの決断も納得できた。帰るべき場所がある人は帰るだろうし、新しく旅経つ者もいる。
血とか種族とかは関係ない。行き場のない者たちが集まり家族からコミュニティを形成していく。その輪は銀河全土に拡がっていく。
銀河のどこかに洋楽に合わせて楽しく踊ってる奴らがいる。それってめちゃめちゃ最高じゃないか。
寂しくなるけど、始まりには終わりがある。
彼らの旅に付き合うことができて本当に良かった。
【備考】
※今作も曲のセレクトが最高だったんだけど、その中でも一番好きな曲はFlorence and The MachineのDog Days Are Over。
盛り上がり含め「祝祭!」って感じが最高だった。
ちなみにパンフレットによると、今回はヨンドゥの選曲をイメージしたらしい。それをロケットがチョイスしてると思うとエモい!
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