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『地球を守れ!』は韓国発のカルト作品だ!

『地球を守れ!』とは、先日、アリ・アスター監督がハリウッド版のプロデューサーを務めることで、ニュースにもなった作品だ。どんな作品か、さっそく観てみたが、これが想像以上のカルト作品だったので感想を残しておきたいと思う。

地球を守れポスター画像
2003年製作/117分/韓国

【作品概要】


本作は2003年に製作された韓国映画で、モスクワ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞している。
監督は、『ファイ 悪魔に育てられた少年』(2014年)、『1987 ある闘いの真実』(2018年)のチャン・ジュナン。

地球がエイリアンに侵略されてると信じている気弱な青年が、会社社長をエイリアンだと思い誘拐する…というところから物語が始まっていく。
主人公の青年を『復讐者に憐れみを』(2005年)、『7号室』(2018年)のシン・ハギュン。誘拐される社長を『インサイダーズ 内部者たち』(2016年)
のペク・ユンシクが演じている。

地球を守れ①

【ツイストの効いた脚本の裏側に見える弱者の視点】

筆者は『ミッドサマー』(2020年)のアリ・アスター監督が、影響を受けた作品の一つに挙げていることで、本作の存在を知った。
『ミッドサマー』、『ヘレディタリー 継承』(2018年)のヒットで、ホラー映画の監督と思われがちなアリ・アスターだが、短編集を見ると、本来はホラーというジャンルに留まらない奇妙な作品を撮る監督だという事が分かる。

そのアリ・アスター監督が好きな作品なので予想はしていたが、本作は本当に奇妙で不思議な作品だ。また本作の監督のチャン・ジュナンは『1987 ある闘いの真実』が、社会派な作品だっただけにこんな奇妙な作品を撮っていたという事も意外。

社長を監禁した青年側と、彼らの行方を追う刑事側のパートが交互に描かれるが、登場人物は曲者ぞろい
主人公のビョングは、心を病んでおり、盗んだ薬によって精神を安定させているし、誘拐したカン社長は弱者を見下す嫌な性格をしている。
そこに、ビョングに思いを寄せる女性やベテラン刑事などが出てくるのだが、一筋縄ではいかない人物達が繰り広げる物語は先が全く予測不能。

言ってしまうと、本作はサスペンス、スリラー、SFと様々な要素が絡み合ったジャンルMIXな作品だ。展開にもツイストが効きまくっており、観終わった後は唖然としてしまう事だろう。

これまでだけの情報だと、奇抜なだけの作品と思われるかもしれない。だがそうではない。ビョングを通して描かれる社会的弱者の視点。気弱なビョングは人生において常に傷つけられていた。彼の痛みが、この作品をただの奇抜な作品だけでは終わらないものにしている。本作は、観る人がどこに着目するかによって、様々な感情を引き起こすことだろう。

ちなみに、本作は拷問シーンがいくつかあって、そこが妙にリアルな生々しさがあるので、痛い系が苦手な人は気を付けて欲しい。(ムヒとアイロンが本当痛そう…)ア
リ・アスター監督が好きというのも納得の作品だった。これをどのようにリメイクするのか、今から楽しみだ。


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