月が沢山の夜には(ショートショート)
月が沢山出た。星の数ほどの月が夜空を明るく照らしている。
今日はそういう日か、と僕はぼんやりベランダから見上げていた。
どうやら宇宙は滅ぶらしかった。学者たちが大わらわで回避出来ないか策を練っているが、僕は逃れられない運命だと思っている。本来無一物、何に執着しても意味などないのだ。僕たちは一つになれないまま、独り独り塵になって終いだ。
月は満月、十六夜、上弦、下弦、三日月と様々だった。どこかに新月も隠れているかもしれない。
宇宙はいつ終焉を迎えるのだろう。僕には逢い