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キャッシュレス・ロードマップ2023所感

自己紹介リンク (@Yshimogawara) SmartBank B/43
毎日マーケットコメント書いているのと、不定期でこういうnoteだったり、スタートアップに関することをつぶやいたりしています!

はじめに

2023年8月に一般社団法人キャッシュレス推進協議会から、「キャッシュレス・ロードマップ2023」が発表されました。
今だに現金での支払いが特に地方だと優勢である日本ですが、今後政府が引き続きキャッシュレス決済を推進していく中で、当社もB/43という「キャッシュレス決済+家計簿アプリ」を展開しています。
今後の日本においてキャッシュレスがどう浸透していくのか、ロードマップの内容を抜粋して纏めると共に、自己の所感も纏めました。

キャッシュレス動向

日本におけるキャッシュレス浸透率(p5)

  • 日本におけるキャッシュレス浸透率は36.0%となり、国の目標とする2025年までに40%の達成は現実的になっている

  • コード決済の割合が徐々に拡大しているものの、以前として支払額ベースではクレジットカードが圧倒的な割合を占める

    • 2022年時点では、クレジットカードが84.5%、デビットカードが2.9%、コード決済が7.1%

    • 電子マネーは5.5%と2年前より1.5%減少

  • 一方で、決済件数という観点ではコード決済が23.8%、クレジットカードが53.2%とコード決済の占める割合が圧倒的に拡大(2020年の12.5%から、ほぼ2倍に)

所感

  • QRコード決済は浸透スピードは驚異的ですが、占める割合もっと大きいのかなと思っていたところ、確かに金額帯別でみるとクレジットカードの方が決済金額が高い買い物で使われることが多いため、デジタル決済においてクレジットカード分野を代替できる手段になるためには「高額決済できる」という特徴が、まさに必要だと感じました

世界におけるキャッシュレス決済比率

  • 日本は32.5%である一方、韓国95.3%・中国83.8%とアジア圏における浸透は圧倒的に進んでいる他、米国でも浸透率は53.2%と日本の1.5倍程度浸透している

  • キャッシュレス決済手段の保有状況は、クレジットカード・デビットカード・電子マネーを合計すると日本は10.2枚となり、次点で多い中国の6.6枚に大きく水をあけての1位となっている

  • 海外ではデビットカードとクレジットカードの利用が半々なのに対して、日本はクレジットカード利用に大きく傾いている

所感

  • 日本は基本的に中央政権に対して過度な不信感を抱く人が少ないことから、国が発行している紙幣に対して絶大な信頼感を持つ人が特に高年齢層だと多く、それが結果的にキャッシュレスの浸透を遅らせている大きな要因になっていると理解しています

  • もちろん、中国のように中央政府に対する不信感からキャッシュレスが浸透する国もあれば、韓国のようにそれとは異なる政府の施策(宝くじ政策、節税政策など)により浸透する国もありますが、こと日本においても爆発的にキャッシュレス決済を浸透させるためには、単純に利用を促進するだけでは限度があるような気もしております

  • 海外はクレジットカードを作る審査基準が厳格なのに対して、日本は比較的容易にクレジットカードが作れてしまうことから、デビットカードの利用が進まない状態になっています

日本におけるキャッシュレス分析

キャッシュレス状況のレイヤー分析:全体

  • 2021年に「どんな金額・場所でもキャッシュレスで支払いたい」層と、「どちらかというとキャッシュレスで支払いたい」層の合計は64.5%だったのに対し、2022年には67.7% と拡大

  • 関東エリアにおける数字が高いものの、各地域で合計値は60%を超えており、特に東北(52%→61%)や中国(59%→67%)は大幅に改善している

所感

  • 今だに地方においてキャッシュレス手段を用いた景気刺激策が導入されないのは、加盟店開拓などが進まず利用できない店舗が多いからだと認識していますが、まだまだ浸透の余地はあるものの都心部での浸透から徐々に地方でのキャッシュレスの浸透が進んでいるのは非常に良い傾向だと感じています

キャッシュレス状況のレイヤー分析:年齢層

  • 「7割〜8割程度キャッシュレスを利用する」と回答した人数の割合は、18歳〜29歳が46%ともっとも低く、30-49歳あるいはそれ以上の年代を含めて唯一過半数を割り込む

    • 18歳〜29歳の「現金層」は27%と他の世代に比べて大きい

  • 1,000円以下の決済単価においては、「可能な限り全てキャッシュレス決済を利用する」と回答した層でも24%が主に現金で支払うと回答しており、少額決済がメインの店舗ではキャッシュレス決済手段の導入が進んでいないと思料される

所感

  • 若年層は新しい技術に対する感応度が高い層ではありますが、クレジットカードなどを含めたキャッシュレス決済手段を確保することが単独だと難しいため現金出費しているのだと考えると、海外のGreenlightやgohenryのようなビジネスの拡大余地は、日本においても大きいように感じました(B/43でも、子供に対してキャッシュレスプリペイドカードを発行できるジュニアカードというサービスを提供しております!!)

  • 高額決済がメインになる店舗ではクレジットカード決済、単価が低い店舗ほどコード決済が選好されるという状況、そもそも単価が低い店舗においてはキャッシュレス決済の方法が導入されていないことが多いというのは、今後のキャッシュレス決済の浸透率に一つハードルになりかねないと考えています。少額決済でも加盟店にキャッシュレス決済手段を導入するインセンティブがあるような施策、あるいは導入しないと決済金額が大幅に減少するという状況が何かしらの形で生まれないと、キャッシュレス決済手段が50%を超えて進んでいくような状況が実装されることは現実的ではなさそうです

キャッシュレス状況のレイヤー分析:手段別

  • 週に1回何かしらのデジタル決済を使うと回答した人の割合は全体で67%と全体で2%上昇

  • コード決済アプリを週に1回以上使うと回答した人は51%と過半数

所感

  • 若年層は新しい技術に対する感応度が高い層ではありますが、クレジットカードなどを含めたキャッシュレス決済手段を確保することが単独だと難しいため現金出費しているのだと考えると、海外のGreenlightやgohenryのようなビジネスの拡大余地は、日本においても大きいように感じました(B/43でも、子供に対してキャッシュレスプリペイドカードを発行できるジュニアカードというサービスを提供しております!!)

  • 高額決済がメインになる店舗ではクレジットカード決済、単価が低い店舗ほどコード決済が選好されるという状況、そもそも単価が低い店舗においてはキャッシュレス決済の方法が導入されていないことが多いというのは、今後のキャッシュレス決済の浸透率に一つハードルになりかねないと考えています。少額決済でも加盟店にキャッシュレス決済手段を導入するインセンティブがあるような施策、あるいは導入しないと決済金額が大幅に減少するという状況が何かしらの形で生まれないと、キャッシュレス決済手段が50%を超えて進んでいくような状況が実装されることは現実的ではなさそうです

キャッシュレス普及における課題

  • キャッシュレスのユニバーサル化

    • 仮に国や地方自治体からの給付にキャッシュレスを活用していく場合、あらゆる人がキャッシュレス給付を受けることによるメリットを感じられる状況がユニバーサルに作られている必要がある

  • 給付事務の標準化

    • 決済手段ごとに行政機関との連携が異なると事務負担が膨大になるため、給付事務を標準化する必要

  • 寄付を実現可能なキャッシュレスの拡大

    • 寄付は送金(為替業務)となるため、銀行方や資金決済方で認められた特定の決済サービスが寄付に対応できることになる

    • 特定の団体への寄付などを条件として、特定ライセンスを取得しなくても寄付ができるような法体制の整備が必要

所感

  • 自治体との連携などビジネス展開として考えることは当社もありますが、課題として「地方エリアでは、(VISAどころか、paypayなども導入されておらず)現金対応のみの店舗が多く存在する」という点が大きいと感じています

  • 本ロードマップの序盤でも解説されていた通り、地方でのキャッシュレス浸透は加速はしていますが、都心部と遜色ないぐらいに浸透させるために受け入れ側(店舗側)の開拓が実装された上で、キャッシュレス利用がユーザー側に浸透すれば、国の給付金対応とかもよりデジタル化することができ、当局側とユーザー側双方がコスト軽減の恩恵を大きく受けることができると思料します。

2030年への課題

外国人労働者の増加

  • 外国人労働者はコロナ中の増加は控えめだったものの、コロナ前は年々増加が加速

  • 2022年には180万人を突破。国別構成では、ベトナムが46万人で最多であり、中国(38万人)、フィリピン(20万人)と続く

ニュースに対するコメント

  • 日本はクレジットカード普及率が前段の通り諸外国と比較すると非常に高いのですが、一方で外国人労働者の方などは日本でのクレジットカード発行が非常に困難な状況に直面しています

  • 当社の既存のサービスもそうですが(個人:決済と家計管理を迅速に行いたい、ペア:家計管理を同じ口座でスピーディーに行いたい)、こういった選択肢がない方々のペインを解決するユニークなサービス提供を行っていくというのも社会的意義が強く、常に検討していく方針です

  • 一方で、海外送金をできるようにするというフィールドにまで入っていくのは銀行免許が必要になるため、スタートアップ企業がこの点に関するソリューションを提供していくのは難しいようにも思えます。一方で、この点はまさにブロックチェーン技術、暗号通貨などのソリューションがフィットする箇所ではあるので、暗号通貨などが「投資・ギャンブル」対象として見られるのではなく、本来の「レガシーな金融システムにアクセスできない人へのソリューション」として機能していくことを希望しています

キャッシュレス・ロードマップ

所感

  • キャッシュレスロードマップについては詳細はPDFにて確認いただく方が良い気がするため、詳細については割愛します

  • 今後まずはキャッシュレス決済手段が都心部のみならず、地方にも拡大していくことが初手として進む中で、そのうち送金業務なども含めて日々の「お金」に関する全てのことがデジタル化していく未来が2027年にまで想定される印象です

  • 一方で、本資料の中にもある通りcatch & go のような「レジで決済する」という行動自体が不要になる未来も近々見えています。IT化がますます加速する世の中において、5年前の常識が5年後の常識ではない可能性がますます高くなっていくと考えています。当社のような決済サービスを提供する会社においても、今世の中において求められているニーズを考えながら、3年後、5年後、10年後への拡張性も踏まえた事業展開をオープンに常に行なっていく必要があることを、あらめて今回のロードマップを読んでみて感じました

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