朗読【山本周五郎 やぶからし】読み手七味春五郎/発行元丸竹書房 オーディオブック
男女の関係もろくに知らずに結婚したが、その初夜に一人目の亭主から暴行を受けてしまう。
一度は、自死を考えるすずだが、義父母の温かい愛情にいやされて婚家にとどまるうちに、自体は二転三転していき……封建時代でも女は強い。
自身二人の妻をとおして、女性を見つめつづけた山本周五郎がおくる感動の女成長記
お聴きください。
ところで、この作品は、一人称で書かれていて、昔は、多角的に描ける三人称こそがベスト、と考えておりましたが、短編とはいえ、こうも見事に語られると、一人称もいいな! と思ってしまいます。
一人称で、女性語り、しかも作家は男性、というと、スティーブンキングの「ドロレスクレイボーン」が思い浮かびます。あれは衝撃的だった。好みのわかれる作品かもしれませんが、私は好きです。おすすめします。
1959年(昭和34年)7月 『週刊朝日増刊号』
山本周五郎五十六才樅の木は残ったが、毎日出版文化賞を受賞した年(辞退)。
当作品には、質屋に「杵屋(山本周五郎同名の店主経営の店)」が出てきます。やぶからしはむろんのこと、小物として胸毛をうまく使ってあります。
・五辨の椿
https://www.youtube.com/watch?v=vc_6Sol5cJ8
・ちくしょう谷
https://youtu.be/G_EzCJ9XFwo
・その木戸を通って
https://www.youtube.com/watch?v=V4eGF16tD6g
・天地静大
上巻 https://youtu.be/lBuAd4v0YAI
下巻 https://youtu.be/-uvrWv4NLS0
と名作を次々と書いております。
■登場人物
す ず ……細貝家の嫁。幼い時に両親に死なれる。
細貝某 ……すずの夫。自分勝手な性格。
杉守梓 ……さとの実の父。
千 波 ……さとの実の母。
細貝八郎兵衛……すずの舅。中老。実の息子を勘当後、婿養子をとる。
さち女 ……すずの姑。
斎藤夫人……仲人。
と め ……細貝家の小間使い。
佐波久弥……婿縁組したすずの夫。書院番。
佐波又衛門……久弥の父。
松之助 ……久弥の長男。
こずえ ……久弥の長女。
い ね ……細貝家の小間使い。
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