2月2日07:30頃/全身が筋肉痛

「自宅が火事になりまして」マガジンより

うとうと2時間ぐらい、眠りにつくことが出来た。目が覚めると、体中がバッキバキ。感じたことのない筋肉痛だった。

理由は予想がついた。極度の緊張だ。寒い夜、外で消火活動を見守っていたこともあるだろうが、それだけではない。今までに感じたことのないショックというかストレスに体が反応したんだろう。火事になったショックで、髪が一日で真っ白になったとかいう、都市伝説的な話も理解できた。

何の未来も奪われていないと、落ち込む妻を励まし、試練は乗り越えられる者にしか与えられないと自分自身を励まし、頭を全力で回転させて生活を取り戻すためにどうするか考え、気丈に振舞っていた。自分ではそのつもりだったが、体が反応したのだ。

そんな体に鞭を打ちながら、9時半からの立ち会い検分に向けて準備を始める。

まず、両親に電話だ。妻の実家にも僕から電話をした、電話口に義母が出る可能性を考えた。義母はとても優しくて、面白くて、感情で動いているような人だ。そんな義母と妻が話した時に、互いに冷静に話せず、うまく事実が伝わらなくなる可能性があると思ったからだ。よし、今日もまだ昨日の火事場の馬鹿力的な頭が回転しているようだ。やはり、義母が出た。冷静に聞いてほしいとまず、一呼吸おいてから、事実を伝える。

動揺はしていたが、きちんと話を聞いてもらい、状況が見えたらまた連絡すると伝えて電話を切った。これはあとから聞いた話だが、僕からの電話で、冷静にと言われて、義母は、妻が死んだのだと思ったらしい。

一方、僕の親にも連絡を入れた、もちろん動揺し、心配もしていたが、比較的冷静だった。僕が昔から、大きな心配をかけ続けてきたからだろう、僕のことでちょっとやそっとのことでは動じないのだ。しかしながら、両親は、北海道への旅行を控えていた。4日後だそうだ、今は状況も見えないので、予定通り旅行にいくスケジュールでいてもらって構わないということで話を終えた。

そして、次は大家さんだ。気が重たい。原因がなんにせよ、自分が所有する部屋を燃やされたのだ。とんでもない事だ。自分が大家さんだったら、ものすごく怒るだろうと思いながら電話をかけ、出来るだけ丁寧に状況を伝えた。意外だった。とても驚いていたが、怒るどころか僕らの心配をしてくれたのだ。今まで一度も会ったことはないが、以前小さなトラブルが起きた際も、丁寧な対応をしてくれる大家さんだった。まさかこんな状況においても、大丈夫かと気遣ってくれるとは、思ってもみなかった。人の器が違うなと、自分を小さく感じた。大家さんは、都内から1時間半ほどの近県にお住まいなのだが、これから東京に向かうとのこと。僕も逐一連絡を入れますと電話を切った。そして保険会社にも連絡を入れた。ちなみに保険会社の連絡先はわからなかったので、契約をした不動産屋に連絡をして、契約の保険会社を特定した。

さて、これから立ち会い検分だ、やっと原因がわかる。

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