特定空家等のリスク

前回は空き家の法律「空家等対策の推進に関する特別措置法」についてお話ししました。
その中で予告した通り、今回は「特定空家等」に認定された場合のリスクについてお話していきます。(認定って嬉しくない認定ですよね)

前回の復習!「特定空家等」とは?

改めて「特定空家等」とはなんなのか、みてみましょう!

「特定空家等」とは

空家対策特別措置法第2条2項では、次のいずれかに該当する空家等を「特定空家等」と定義しています。
① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

物件の状態や周辺環境にどれだけ悪影響を与えるか総合的に判断され、「特定空家等」に認定されます。

「特定空家等」と認定されたらどうなるの?

法律上では

市町村長は、管理不十分で放置することが不適当な建築物等(=「特定空家等」)について、所有者等に対して、
・除却、修繕、立木竹の伐採その他の必要な措置をとるよう、助言又は指導
・改善されないと認めるとき、勧告
・勧告に係る措置をとらなかった場合、命令
・履行しないとき、十分でないとき、完了見込みがないとき、行政代執行法に基づく代執行
(過失なく必要な措置を命ぜられるべき者を確知できないときは、略式代執行)
ができることとなっています。

つまり、適切に管理されていない、危険だと判断された空き家に対し、自治体が介入できるということです。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」制定後から、管理が疑わしい空き家に対し、敷地内の立ち入り調査や、登記簿の閲覧といった調査を行うことができるようになりました。その調査の結果、問題があると判断された空き家においては「特定空家」として認定し、所有者に管理を行うよう指導をしたり、状況の改善を勧告したりします。

それではいざ「特定空家等」に認定された場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。見てみましょう。

「特定空家等」に認定された場合リスク①固定資産税の軽減措置の撤廃

「特定空家等」に認定され、自治体から助言や指導を受けた段階では特に罰則などはありません。
しかしその指導の段階で改善が見られず、勧告措置を受けた場合、「住宅用地の特例措置」の対象から除外されます。
通常、家がある土地は「住宅用地の特例措置」の固定資産税の優遇措置が適用され更地状態に比べ1/3若しくは1/6程度、税が軽減されています。しかし、その対象から除外されるということは、家があっても更地状態と同等の最大6倍の固定資産税を払う必要があります。

「特定空家等」に認定された場合リスク②罰金の可能性

助言や指導、さらに勧告でも改善が見られなかった場合、命令措置が下されます。この命令に応じず違反となると、最大50万円以下の過料が科せられてしまいます。
またそもそも、「特定空家等」と認定する前の立ち入り調査の段階で、規定内による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合は、最大20万円以下の過料に処せられます。

「特定空家等」に認定された場合リスク③行政代執行による強制的な解体

命令でも改善が見られない場合、最終手段として自治体による「行政代執行」による解体が行われる可能性があります。一見、自治体が空き家を解体してくれるなんてラッキーと思う方もいるかもしれませんが、解体費用は全額、管理義務のある所有者へ請求されます。もしも解体費用さえも支払わないとなると、解体した更地の差し押さえだけではなく、自身が所有している財産も差し押さえられてしまいます。

まとめ

このように「特定空家等」に認定されると様々なリスクがあることがお分かりいただけましたでしょうか。
一方で、上記のように段階的に注意喚起され、いきなり財産を没収される!ということはありません。
自身で何とか出来るうちに適切な管理、対処することが大切だということが伝われば幸いです。

手遅れになる前に、それ以前に、空き家になりそうという段階からでもその予防策や活用方法を考えるのも一つの手ですね。

参考URL
空家等対策の推進に関する特別措置法の概要

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