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【開催レポート】第12回市民ゼロポイントブックトーク※当日レジュメあり

第12回市民ゼロポイントブックトーク

開催日:2022年5月22日(日) 於:松本市中央公民館
紹介した本:金子勝、伊藤俊彦ほか著『社会はどう壊れていて、いかに取り戻すのか』(同友館、2014年)
紹介者:田多井、上原(企画運営委員)
参加者:12人(企画運営委員含む)

当日のレジュメはこちら↓

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開催レポート

今回の本は論文集ということもあり、論点が多岐にわたりました。それぞれに論点の異なる4本の論文を一度に紹介したため、伝え方が不十分になってしまったり、本書を読んできた企画運営委員同士の議論が多くなってしまったりと、反省点の多い回でした。

金融資本主義化するなかで衰退する日本経済の現状について論じた第1章について、
・新自由主義を批判しているが金子勝は実は構造改革路線なのではないか
・日本はすでに脱成長しているというが、「経済成長」という社会通念自体を問うのが脱成長なのではないか
といった意見が出されました。

第2章についてはかなり簡略化された紹介だったため、第1章についての議論が長引いたこともあり、特に意見はありませんでした。

新自由主義化するなかで唱えられるようになった自立支援や自己責任といった言葉の「自立」の論理構造を批判的に分析した第3章について、
・「自立」=お金を稼ぐ、という意味だけでなく、畑をやるとかエネルギーを自給するなどができていれば自立といえるのではないか
・個人が自立しているという考え自体が誤っているのではないか
・言葉による言葉の説明になっていて社会の問題への処方箋になっていないのでは
といった意見が出されました。

反ヘイトスピーチ運動に始まる「新しい社会運動」の思想的特徴を「普遍主義」として論じた第4章については、
・「公正さ」を考えることが大事だと思った。他人のためではなく自分事として考えることが重要。
・個人主義でありつつ「我々」=社会を復権すること
・ヘイトスピーチは松本では身近ではないので、言葉だけの議論になっているのではないか
といった意見が出されました。

今回は時間が足りませんでしたが、それぞれしっかりと読み込めば非常におもしろく、かつ社会が壊れていく現状に対する批判的な視座を得られるとても良い本だと思います。ぜひ読んでみてください。

(上原)


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