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湖上の宝石


湖上の宝石

その美しい光景を眺めていると、まるで別世界の窓を開けたような錯覚に陥ります。空が湖面に映っているのか、それとも湖面が空に映っているのか。大好きな果物の上に乗って湖面に浮かぶ妖精は、その不思議な景色の中でただじっとたたずんでいました。

ロウソク山の静寂が湖のほとりに漂い、湖面は穏やかなまま。偶然ここに辿り着いたこの場所が、忘れがたいものとなることは疑いようもありません。しかしこのままずっとこの場所にとどまっていても、未来に進むことはできないでしょう。

大切なものとの出会いは永遠であればなによりです。しかし、大切なものに出会えたことが本当ならば、たとえそれが一瞬のことであったとしても、それだけで十分なはずなのです。

風が吹かない湖面に映る景色。見上げれば宝石のような星々が輝き、見降ろせば湖面にも宝石のような輝きが広がっています。そして、妖精は気付きます。星たちが映す湖面に、自分の姿が浮かんでいることに。

「湖面が空に映っているのなら、あちらの妖精もこちらの自分を見つめているのかな。」

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