【ボクシニ 〜20年のキセキ〜】⑧

・・・・・


目が覚めてからどれくらい経ったのだろう
現実を受け入れきれないでいる自分がいる


ここはICU (集中治療室)


全く身体を動かせないでベットに横たわっているだけの自分…
虚しくて切なくて胸が締め付けられる…
そんなことを考えていたら急に周りが騒がしくなってきた
時計の針は深夜12時を回ったところだ


バタバタバタ…


看護師さんはもちろんのこと
医師も慌てているようだ
ほとんど身体を動かせないため確認はできない


ガヤガヤガヤ…


カーテン越しの隣りのベットに人が集まり始める


お父さん
しっかりして
ねぇ、聞こえる?


・・・・・・


わぁーーーー!
お父さーーーーん!!



何があったか瞬時に察する
心臓の鼓動がおさまらない
えぐられたように痛い
そう、僕は


人の「死」を間近で感じたのだ


もちろん生まれて初めての経験
何とも言えない
言葉にできない感情に襲われる


ここはICU (集中治療室)


いつ自分がそうなってもおかしくない
そういう場所
それまでどこか「自分は大丈夫」と思っていた
現実は違う…   まさに 一寸先は闇…


死にたくない…



生きたい



生きる!




つづく


#小説

#ボクシニ

#毎日投稿

#第8話

#ICU #集中治療室 #生きる


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?