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不自然に自然を見る


学生時代、植物園に週一で通っていた。

通っていた大学所有の施設であり、学生の入園料はタダ。しかし、私は植物にはビタイチ関係ない機械工学科出身である。おこぼれ以外の何物でもない。

まぁ一般に公開されているとはいえ、研究がメインの施設だったので色気には欠けていた。

申し訳程度のバラ園とか温室はあったけれど、土着の植物の群生地や、エゾ松が剪定もされないまま力強く斜めに生えている自然林の方がずっと広大だ。
奥の方には一面トリカブトの畑もあって、きちんと種類別に整頓されているのはなかなかシュールな図である。

北海道の動物たちの剥製がガラスケースいっぱいにミッチミチに入れられている博物館も併設されていた。ヒグマとか、エゾオオカミとか。
おっかなくてあまり好きではなかったが、ゴールデンカムイがこんなに流行るのなら、もっとちゃんと観ておけばよかった。

授業の合間とか、ちょっと時間ができた時に寄って、芝生でコーヒを飲んだり本を読んだりぼーっとしたり。私にとっては深呼吸するための場所だった。

東京に出てきて随分経って、あの日々は本当に贅沢だったんだなぁとしみじみ思う。

近所の小中学校の脇を毎朝ジョギングしているのだが、整理された美しい花壇を見るたびにあの鬱蒼と生い茂った原生林が恋しくなる。
当時は「色気ねぇ〜」って思っていたけれど、飽きもせず通っていたのはあの生命力に惹かれていたんだろう、きっと。

都会の子は自然というものを不自然な状態でしか知らないのか。
良いとか、悪いとかでなく。

子供ができてそういう事を考えるようになった。

今車を持っていないので遠出は一念発起しないと難しいけれど、娘が大きくなったら少しは自然に触れさせてあげたいなぁ。

そんな事を考えていたら、先日雨上がりの朝露が葉っぱに乗っかっているのを目撃して嬉しくなってしまった。
不自然が溢れていても、その中に美しい自然現象を見つけるのは案外容易い。

アナログな私と違って家人はITの申し子のような男だ。
ボーナスが出たら何らかの家電を買うのを趣味としている。

結婚前はアニメグッズの収集にお金を費やしていたから、それに比べたら私も嬉しいしまぁいっか、と言って今に至るのだが、先日彼がひどく憤慨して家電量販店から帰ってきた。

「ウォッシュレット売場の店員に、『独身の方でしたらコレがおすすめです〜』って言われた!これ(※結婚指輪)が目に入らぬか!!! 俺のどこを見て独身って判断したんだチクショウ!!!」

とブチ切れていた。可哀想だが腹を抱えて笑った。

服装にお金をかけている人も独身ジャッジされそうだけど、家人はユニクロ愛用者なので、普通にヒョロガリのオタク=独り身だと思われたんだろう。

人を見た目で判断してはいけないよ、店員さん。

爆笑しつつ、私も他人をバイアスをかけて見ていないかと反省する良い機会になった。

家人を慰めるために、彼の好きなパイナップル缶を使ってパンケーキを作ってやった。

ギンギラギン

安売りしてたゴールデンキウイも切ったら、ナウシカの歩いた王蟲の触手ばりにギンギラギンになってしまった。
打開しようと手作りラズベリーシロップもかけたら流血沙汰みたいになった。

本当は果実園リーベルのパンケーキが食べたい。しかし首も座っていないフニャフニャの乳児連れで出歩く勇気はまだ無い。

そろそろ生後4ヶ月になろうかという娘は、最近哺乳瓶をペッと吐き出してしまう。おっぱいしか受け付けなくなってしまった。

先日美容室に行く間家人に預けたら、途中でSOSが来たので仕上げを断ってダッシュで帰宅。

結構都会でもベビーカー連れのご家族を見かけるけど、授乳室とかをうまく使っているのだろうか。

早く私たちをリーベルに行かせておくれ、娘よ。

それまではこの歪なパンケーキで我慢してもらわねばならない。

昨晩は暑かったので真夏のキムチ鍋パーティを実施して、キンキンに冷えたノンアルコール飲料を飲んだ。

鍋にはオールフリー、揚げ物にはドライ

こうして騙し騙し家食を楽しんでいるけれど、お出かけもしたい。
まぁ、きっと乳児と家で戯れられるのも今だけなんだから、楽しんでおくべきなのかもしれない。
そんな事を考えた真夏日の夜。

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