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やりがいについて考える

(消してしまったので再掲)
いよいよ来週娘がGCUから退院することとなった。

NICUからひと月以上お世話になっているので、娘はもうすっかり重鎮である。
毎日看護師さん達に猫可愛がりされて、ふてぶてしい顔を晒している。

ありがたいことに、産後すぐに付いてくださった看護師さんが定期的に写真を撮って連絡帳を作ってくれている。
点滴が外れた日、脱力した笑顔、鼻からチューブが取れたこと。そして、日々の体重。
毎日顔を出しているとはいえ節目に立ち会えない我々夫婦にとっては、成長が目に見える形で記録されていてとても嬉しい。

いやぁ、しかし、娘が入院したことで少しは体を休められると思っていたけど甘かった。

3時間おきの搾乳は片乳10分としても、搾乳機の消毒などを含めれば結構時間がかかるし、毎日片道1時間ある距離を通院するのは骨が折れる。

60〜90ml絞れるようになった

退院時、衰弱しきって既に産前体重よりマイナス3キロ(!)だったんだけど、また2キロ減ったし逆流性食道炎になった。

「なんで世の中妊婦と幼児には優しいのに、産後すぐの母ちゃんに言及してないんだろ…」と息も絶え絶えになりながら傷口を押さえて駅の階段を昇っていたけれど、なんてこたぁない、世の母ちゃん達は産後すぐウロウロしないのである。

母乳メインで生活できるようになれば、乳牛生活(シメキ・ホルスタイン・ノリコ)も少しは楽になる…はず。

🐮

もう世間はすっかり春めいて、出会いの季節。

今日フレッシュマンな看護師さん達の指導として、おっぱいモデルを引き受けた。
ここは大学病院。新生児病棟にこの4月から配属された看護師さんも、それなりに数がいるようだ。
(という事は年間そこそこ辞めるのだろう。大変な仕事だもの)

綺麗なお姉さん方に取り囲まれて四方八方から乳を揉まれる貴重な経験。きっともう2度とない。

しかし、新生児病棟は孤独だな。

だってどんなに力を尽くしても、患者さん(ベイビーズ)に顔を覚えてもらう事も感謝を述べられる事も絶対ない。
勿論我々親は何度もありがとうと言うけれど、一日の大半を共に過ごす赤ちゃん達は自分の事を忘れてゆく。

先日、とてもお世話になっている看護師さんが私の娘に向かって

「○○ちゃん、いつかどこかで会えるかなぁ」

と呟いていて、ちょっと泣きそうになった。

よその病院はどうかわからないけれど、一度配属されるとなかなか別の科に行く事はないんですって。
ということは、彼女達小児科の先生、看護師さん達はこの孤独とずっと付き合ってゆくのだ。

私は産科の先生、看護師さん達の事はきっと一生忘れないと思う。
執刀してくれた美人のA先生、鬼畜先生もとい可愛らしいB先生、クールビューティー助産師Cさん、地元が同じDさん、明るく頑張り屋のEさん…
皆に頭を下げて回ったし、なんなら感謝の手紙も書いた。

それと同じように、娘にも新生児病棟の皆様の献身を語り継いでゆかねばならぬと使命感に燃えている。

感謝という見返りをなかなか得られぬ彼ら彼女らに幸あれ。
いや、きっと天に宝を積んでいる。天国の門は彼らに開かれている。そうであってほしい。

いつか娘に言うのだ。

「貴方も私も、沢山の人に助けてもらって生きてるんだよ」と。

ここまで書いて気付いたけれど、感謝という見返りを貰えないのは私の本職でも同じだな。

B to Bの製造業なのでなかなか日の目を見ないし、お客様にお声がけ頂く時は大抵叱責だ。
(しかし叱責してくれるお客様は高確率でまた買ってくれる)

でも周りを見ていて思うのが、設計職ともなると仕事に求めているものは「感謝されること」ではなくて「ものづくりが好き」「仕事が好き」という人がほとんどなんだよね。

家人なんかもその類だ。
私はハード、彼はソフトと畑は違えど括りは同じエンジニアとして世界一尊敬しているけれど、もう、めっちゃくちゃ仕事大好きなの。勉強も研鑽も怠らない。

私はものづくりが大好きだけれど、それは受け取ってくれる方の笑顔ありきなんだなぁと常々思うし、そんな自分が職場において周りから浮いているのを感じている。

しかしそういう人間も仕事においては必要なんだろうな、とも同時に思う。

そういえば出産したことで、先日副業にしている文筆業をクビになった。(外聞が悪い)

文筆業の方は本業と比べて比較的ダイレクトに反応が返ってきて、やりがいがあった。
だからこそ、本業がつまらなく思えてしまったのかもしれない。

かといって、全員が仕事にやりがいを求めて転職したら、世の中立ち行かなくなるのはわかっているのだ。
勿論やりがいを求める事が悪だと言っているんじゃない。

上手く言えないけど。

新生児病棟の先生、看護師さん達が他人から感謝される事があまりなくても本当に大切なお仕事であるように、誰かに評価されずとも自分で自分を褒めてやれるようになればいいのかもしれない。

自分をよしよしするのは大事だよ。

粉の日のレモンケーキとルイボスティーでよしよし

本業では100%やりがいを得る事は難しいけど、趣味もあるし、落ち着いたらまた副業始めればいいし、家人にご飯を作る時間は幸せだし、何よりこれから子育てが始まる。

強欲に何もかもにやりがいを求めないことが、逆にハッピーに繋がるのかもしれないなぁ。

そんな事を考えながら、子育て準備したり大河を見たりスコーンを焼いたりして暮らしている。

見た目は悪いが死ぬほど美味い

今回も参考にしたのは江口さんのレシピ本。彼のレシピは気負わず作れてとても美味しい。
手作りのラズベリージャムを乗せて食べると幸せの味がする。家人にも評判で嬉しかった。

「しなくていいこと」がたくさんあった! 新しいお菓子の作り方

そうそう、週末からは鬼滅のアニメが始まる。
楽しみなことがいっぱいだなぁ。

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