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柏レイソルvs川崎フロンターレ~オルンガvs家長~

今回は、2020J1最終節柏レイソルvs川崎フロンターレの試合を分析していきたいと思います。

1.スタメン

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注目ポイント
・得点王オルンガを川崎DFがどう抑え込むか
・川崎のパスワークに対して柏がどういう守備を構築するのか

2.試合情報

得点
0-1(前半14分・14オルンガ)
0-2(後半1分・18瀬川)
1-2(後半3分・41家長)
2-2(後半10分・9レアンドロ)
3-2(後半36分・41家長)

交代
後半0分(川崎):IN18三笘↔OUT16長谷川
        :IN41家長↔OUT19齋藤
後半19分(柏):IN33仲間↔OUT10江坂
後半30分(柏):IN19呉屋↔OUT14オルンガ
後半33分(川崎):IN11小林↔OUT9レアンドロ
         IN8脇坂↔OUT30旗手
後半34分(柏):IN5小林↔OUT7大谷
        IN16高橋↔OUT18瀬川
後半52分(川崎):IN5谷口↔OUT2登里

3.川崎に隙を与えない柏のブロック

前半は川崎を完璧に抑え込んでいたと言っても過言ではないほど、柏のブロックは冴えわたっていた。
その中でも秀逸だったのが江坂のポジショニングである。

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例えば、前半36:20のシーン。ドリブルで持ち上がった山村に対し、江坂は何度も守田のポジショニングを確認してコースを切りながらプレスを掛ける。
俗に言うカバーシャドーの動きである。
この江坂の動きを合図に柏はブロック守備からミドルプレスに移行する。

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柏のミドルプレスの特徴はボランチの豊富な運動量を生かし、サイドで必ず数的優位を作り出していることである。
江坂を中心に中央へのパスコースを限定することで逆サイドに展開することへのリスクマネジメントを行い、相手の攻撃を同サイドのみに制限していた。
ネルシーニョ監督が何年もかけて植え付けた守備意識であることはもちろんでが、江坂の高い守備センスによって支えられていると言っても過言ではないだろう。

4.柏の整備された高速カウンター

柏は前半カウンターから少ないパス数でゴール前まで迫るシーンを多く作った。

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前半14分の先制シーンも齋藤のクロスボールを山下がクリアしてから、わずか2本のパスで相手ゴール前に迫るという驚異の速さであった。その間たった11秒。
オルンガというパワーとスピードを兼ね備えた絶対的エースがいるからこそ、多少精度の低いボールでも決定機に繋がるというチームの共通認識の賜物である。
しかし、柏の高速カウンターにおけるキープレーヤはオルンガではなくクリスティアーノだと個人的には思う。

得点シーンを含め、ボール奪取から2パス以内にクリスティアーノにボールが渡ったシーンが前半だけで5回はあった。
ボール奪取後に大谷がクリスティアーノを探すシーンは何度も散見されたし、クリスティアーノというキープ力・フィジカルが抜群の選手がいるからこそ、オルンガがカウンターで無類の強さを発揮できているのである。

5.柏のプランを崩した家長のポジションニング

前半の柏が握っていたペースを一瞬にして引き戻したのは、紛れもなくハーフタイムの家長・三笘に投入であった。
特に家長のポジショニングによって柏のブロックは上手く嵌らなくなっていく。

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前半は川崎のWGが中に入ってSBが高い位置を取ったとしても、前述のように強度の高いミドルプレスによりボール奪取が可能であった。
しかし、家長がCBの前でも高いボールキープ力によりボールを保持できることによって、IHやCFとも近い距離感を保てるようになって川崎らしいリズムのよいパス回しを行えるようになっていった。

これに対して、後半15分ごろから柏は4-4-2のブロックから5-4-1の守備へ移行した。

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しかし、今度はCBからボランチ・IHへのパスコースを限定できなくなったことにより中央でのパス回しを自由にさせてしまうという後手後手の試合展開となってしまった。
さらに、山下が川崎に裏に抜ける動きや落ちてくる動きに積極的に食いついてしまうことにより、最終ラインの距離感覚がずれてスペースを利用されてしまっている印象だった。

6.総括

前半は柏のブロック守備・カウンターが遺憾なく発揮されたが、ハーフタイムの2枚替えによって完全に流れを取り戻してしまう歴代最強と謳われる川崎の強さが垣間見えた試合であった。

絶対的エースであるオルンガを主軸として攻守を構築する柏レイソルvs途中出場の家長によって華麗なパスワークで相手の組織を破壊した川崎フロンターレという構造が非常に興味深かった一戦であった。

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