見出し画像

第3回 心理学の闇🤷 【規定 (定義) のギモン】  ー人間(の心)は規定できるのか?!

はいどうも、嶋崎です。今回は、前回に関連して、「人間や心は規定 (定義) できるのか?!」つうギモンについて、できるだけ分かりやすく暴露していきたいと思います。📕 

前回は「数字って客観」なの?というギモンについて述べました。そもそも客観的でない数字を疑似的に客観ならしめるものとして、①根拠・前提、状況・文脈を規定し②それに対するあり得なさを不問にすること、と述べました。

人間や心は規定 (定義) できるのか?!という問いに対しては、直ちに②に関する問いがあがります。つまり、人間や心を規定 (定義) したとして、果たしてそれが「あり得るのか」という問いです。🧐

答えは「否」です。❌ その理由は、下記の2つに要約できます。_________________________________________________________________________________

1.社会文化における概念にすぎないから 😦

規定や定義は、社会文化上の概念にすぎないので、それは人間や心を便宜的に表現したものにすぎません。そのような規定された心は真に客観的でもなく、せいぜい制度などによってそれが担保されているだけです。あるいは、それが権力などによってそれが担保されている場合には、<言う側>が<言われる側>をコントロールする上で、<言われる側>をラベルしたもの、にすぎないのです。

この誤謬は、「自己実現論のギモン」で述べたことと一致します。また、この問題は、自己啓発の危うさを露出させ、心理療法の限界を醸し出しています。

❌たとえば、「あなたは外交的である」と規定したところで、「外交的」というファクター自体が社会から要請された枠組みで、あなたの「心」が真に「外交的」かどうかは分かりません。あなたが主観的に「外交的だ」と思ったとしても、それは単に社会から与えられた考え方なのです。このように社会から要請された枠組みや考え方の通りに見せかけるプログラム (実際にどうかは問われない。) を「哲学的ゾンビ」といいます。

ここに新たな心理療法の地平が開かれるヒントがあります。❌既存の心理学にはトートロジーや定義を述べただけで、解決した気になっているものが多すぎます。「だからどうするの?どうしたらいいの?」というものばかりです。心理学は社会学化し、社会学は心理学化することが要請されるでしょう。


2.規定 (定義) 自体の中身は一定でなく変わるから 😦

人間や心は、状況次第で変化します。機械や法律などのルールであれば「AならばB」の一定で済むかもしれません 。しかし人間や心の場合、Bの出方次第ではA自体を変えるかもしれません。同様に、BもAの出方次第ではB自体を変えるかもしれない。このように人間や心には相互に変化する機会があり、一向に定まりません。

❌たとえば、「あなたは外交的である」と規定したところで、そのように規定されることで期待できる効用を先読みしたものというおそれを素朴に捨てることはできません。逆に、そのように規定されないことで期待できる効用を先読みしたものであるおそれもあります。もっと単純に、「あなたは外交的である」と規定したとたんに反応して「外交的でなくなる」かもしれないのです。

ここにも新たな心理療法の地平が開かれるヒントがあります。❌ 現在の心理学には占いと変わらないものが多すぎます。特に、心理療法にはAやBの出方が変わって通用する構造的な手法を期待したいところです。

_________________________________________________________________________________

❌モノゴトには「良い意味」と「悪い意味」の両面がありますから、「良い意味」に置き換えましょう、なんて本がたくさんでてます。同様のネット記事もたくさんあります。

しかしながら、いくら勝手に「良い意味に置き換えて」それを頭にすり込んで気分を高めたところで、他人から (社会的文脈によって)「いやいや、普通、それは悪い意味じゃん。」なんて言われたら、よほど巧妙にやらない限りは、単なる妄想で終わります。

以上の理由より、心理療法などでよく見られるCBTノートやリーフレームなどの手法はなんだかなぁーという感じです。


*1) 📘 拙著「神経マニピュレーション -クソ社会を生きるための技法-」2022年。https://www.amazon.co.jp/dp/B09YH77XB2/

以上。

Copyright © Kakeru Shimazaki, 2022. 無断転載の禁止。Unauthorized copy prohibited.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?