コラム:「妊活」≠「不妊治療」のジレンマ
🍀時系列に沿っての話は、番号を振っています。
🍀「コラム」の記事は治療内容には関係なく、飛ばしても話はつながるようになっています
私の長い不妊治療記録も、残り僅かなのですが、ずっと気になっていた「妊活」と「不妊治療」という言葉について書きたいと思います。
ここ数年は、時代の流れとして、「妊活」という言葉が定着しました。
「実はなかなか子供ができなくてさ・・・」という以前は言い出し辛かった言葉も、(すぐに子供ができる前提の不妊治療前の話も含めて)
「今妊活中でさっ!」
と割と混雑したカフェでも、
オープンな場所でも話すことができるようになった気がします。
でも、やっぱり、一昔前・・・(10年前)は、なかなか人に言えずという雰囲気があり、「妊活」という言葉も一切なかったので、
「実はさ・・・なかなか子供ができなくてね・・・」と
神妙な顔つきで、深刻な悩みとして、信頼するお友達にしか話せなかった気がします。
「妊活」という言葉は何年くらいから使われているのか調べてみたら、2011年の流行語大賞にノミネートされていました。
ちょうど、一番上の子供を出産した年。
だから、1人目の子を出産するまでの6年間は「妊活」という言葉はなく、「不妊治療」という言葉を使っていたんだと思います。
今日書きたかったことは、私の時代は大変だったのよ!!!もっと大変だったのよ!!!という、体育会系の
「昔はこうだった!」
「俺たちの時代は大変だった!」
ということが言いたいのでは決してなくて・・・
妊活=不妊治療ではない。
ということが書きたいテーマです。
妊活という言葉が産まれて10年経とうとしているこの時代になっても、「妊活」はこれからよし準備期間に入るよっ!という前向き活動の最後に「♪」が付くようなある種
「開始宣言」
のような言葉であって、「不妊治療」に足を踏み入れれば踏み入れるほど、
妊活+「♪」ではないもやもやなあと深みにはまってしまっていました。
なんて言えばいいのか難しいのですが、不妊治療ということに限らず、
■1人目は長男。
とか。
■1人は男の子がいないと・・・
とか。
■一人っ子は寂しい。
とか。
■早生まれじゃない方がいい。
とか。
その「類」全部、ひっくるめてそいういう土足で踏み込む的な(おせっかい的な)指摘は、今の時代減ってきていると思います。
多様性を受け入れてくれる時代というか、細かいことを指摘しない時代というか・・・当たらず触らずというか…
ある意味生きやすくなったと思いますが、人間関係にドライになった部分もあるのかもしれません。
「不妊治療」もそっとそっと応援するな流れになってきていると思います。
それは、
やはり著名人や有名人の方々が、色々と宣言をしてくれていることが大きい気がします。
東尾理子さんが、
TGP(Trying to Get Pregnant=妊娠しようと頑張っている)
というTGPという言葉を作ってくれました。
この言葉はなかなか浸透はしていないけれど・・・当時とても共感していました。
妊娠するためにトライしているって(治療をしているって)、
「病院」に掛かるどんな「治療」よりも前向きなことで、
これからどんどん少子化になっていく中で、一番応援され、力をいれていくべき医療技術だと思います。
だって赤ちゃんを授かるための通院。
こんな明るい未来の為の「治療」って他にはありません。
どう考えても、それに「不」を付けるべきではない。
けど、実際の気持ちや、この「治療」の中にいる本人は、どうにもこうにも、努力してもどうにもならない状況に置かれ、
つけたくはない
「不」
と共に生きている…。
色々と、生きやすい世の中になっても、まだまだやはり大声では「不妊治療」しているとは言えず、両親の世代に「体外受精」ですと堂々と言える勇気もまだなく・・・
もっともっとこの痛みに寄り添ってもらいたいとと思う反面、隠したい気持ちもあるので、ぐるぐると堂々巡りをくりかえしてしまいます。
もちろん、「妊活♪」という言葉を、多少の茨の道でも、
前向きに使えればそれでいいのですが、
どうしても ♪ の外れる時期に陥ってしまう。
妊活始めました~妊娠しました~!
となったらどんなに幸せだろうと、過去の私を振り返っても思います。
とにもかくにも「妊活=不妊治療」ではないけれど、妊娠を望む治療に、「不」はいらないのです。
せめて、不妊(不妊娠)ではなく、待妊(待つ妊娠)とか、進妊(妊娠に向けて進む)とか!
治療は必要であって・・・治療は近道なのは事実なので・・・やはり言葉は必要だと思うのですが、シンプルに妊娠治療とか、妊娠サポートとか、待妊治療とかでいいと思うのです。
不妊治療は、前向きだけには進めないしんどい道。それでも、どんなに茨の道でも、「不」はいらないのです。
近い将来「不妊治療」という言葉を使わない未来が来ればいいなと思います。
また素敵な言葉を思いついたら、追記したいと思います。
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