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ひび

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2021年1月の記事一覧

読者

いつの間にかnoteのフォロワーが100人を超えていた。読者の中には、私のことを全然知らない人もいるだろうし、この先、一生会うことの無い人もいるだろう。

きっと毎日チェックしている人もいるだろうし、フォローはしたもののほとんど読んでいない人もいると思う。男前もいればブスもいる。美少女もいればブスもいる。今、楽しく暮らしている人も、寂しく孤独にスマホを覗いている人もいるだろう。

皆、言葉を探して

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近所の公園へ行くと、大きな木が斬られていた。最近トラックが停まり何か作業をしているなと思っていたのだが、そういうことだったのか。この一本木は、小さな公園に似合わず、馬鹿でかい巨木であった。何の木かは分からぬが、天空からは柳のような葉が大量にしだれ落ちていて、夜中に見上げると不気味でさえあったが、自分は秘かにこの木を気に入っていた。去年の秋には、木の根元に小さな墓も立てたのである。一応根元は残されて

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散々

33歳になって、楽しいことは多々あるけれど、記憶に残るのは結局、散々なことばかりである。

地下鉄の乗り換えで歩いていると、目の前を歩く女性のポケットから定期入れが落ちた。女性は気付かずにズンズン歩いて行く。悪魔の自分はその定期入れを拾い、家に帰ってからじっくり眺め舐め回そうかと思ったが、実際にはそんな野蛮なことはせず、小走りで女性に追いつき、背後から「あの、落としましたよ」と紳士的に言った。恋の

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虫が歩く

流行り病が一向に収まる気配が無いので、我が店、ライヴ喫茶 亀は、再び、休業および時短営業とした。自分は家でゴロゴロとしたり、冬の散歩に出たりしている。虫の暮らしには慣れているので辛くは無い。性欲と想像があれば楽しくなれる。颯爽と、虫が歩く。雨が降っても、歳を取っても、駄目になっても、平気な顔して、きみに会いに行く。

車寅次郎、野原しんのすけ、矢吹丈、ウディ・アレン、太宰治、立川談志、忌野清志郎。

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ホッチキス

先日、詩集を印刷して綴じていた。本当はもっとええ雰囲気の紙を使ったりお洒落な感じの表紙を拵えたりした方が女子供は喜ぶのかもしれぬ、が、自分にはそんな気は更々無くて、詩が伝わればそれで良い、肝心の言葉がはっきり読めれば問題無かろう、と思い、ただの安紙をプリンタで両面印刷してホッチキスで留める、という貧乏手作りの作業を黙々としていた。明日には注文してくれた人たちに郵送するつもりであった。

さて、いく

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頭の悪いこどもたち

ひょんなことから一人でライヴをしようと思った。タイトルは「頭の悪いこどもたち」という。年齢ではすっかり大人になってしまったが、結局真面目にマトモな生活が出来ない自分は、やっぱりいつもこどもみたいにふざけて遊んでいたい。

ライヴの来場者には、2年ほど前に作ろうとしてお蔵入りにしていた、私の詩集をプレゼントしようと思う。詩といっても、みつを、みたいな心温まるものではなく、どちらかというと、路地裏の掃

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何だか罰が当たりそうなくらい、良い気持ちを味わっていたら、やはり罰が当たった。思いの外、早かった。

昨日の真夜中に異常な頭痛と吐き気に襲われて、これはいかん、とりあえず一服、と煙草に手を伸ばしたが、中身は空っぽで、糞、近所のコンビニへ行くにも寒過ぎるので、仕方無く灰皿に溜まったシケモクに火を付けて無理矢理吸ったら、余計にしんどくなった。何をしてるんだお前は。洗濯物がまた溜まっているぞ。トイレット

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誕生日

今年の誕生日は、生涯で一番笑った誕生日だった。きっと、こんな美しい誕生日はもう二度と無い。沢山笑うと疲労困憊、全身が火照ってフラフラになってしまった。

心を込めて感謝です。今まで生きてきて良かったと思いました。

あ、という間にお正月も終わり、また日常がやって来た。牛が、もう、と鳴いた。

日常といっても、世間は穏やかでは無い。果てしない闇である。これからどう生きていくべきなのか、皆が模索しつつも、肝心の答えが見当たらず、おろおろとしている。正直、我が店に関しても、行きたいけれど行けません、という人が少なからずいて、実際にそういった声も聞く。嬉しくも寂しい話である。けれども自分はずっとここにいて、さも当たり

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お正月

初夢は確かに見たのだが、内容は忘れてしまった。見たことだけは覚えている。良夢でも無ければ、悪夢でも無かったのだと思う。実家に帰り、2歳になる姪っ子に年玉をあげて、その見返りにほっぺたを触ろうとしたら、イヤ!と言われたので、拗ねる。そうして元日の夜は家族で鍋を食べた。年々寒さに弱くなっている自分は、何枚も厚着をして、それでも寒い寒いと震えている。大掃除はしなかったが、床に散らばった本たちをある程度整

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2020

今年が終わりました。さようなら、あなた。

2020、というのは気持ちの良い並びの数字だった。日本史の教科書に載る際には、覚えやすい年号である。本当ならば、2020の覚え方、「フレーフレー、東京オリンピック」といきたかったところが、「辛え辛え、コロナウイルス」になってしまった。

夕方目覚めて、街へ出るともう既に真っ暗で、異様な寒さの大晦日に舌打ちした。来年はどんな年になるだろうか。私は何をするだ

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