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広島のこども文化科学館がレトロすぎた

サイエンスライターたるもの各地の科学館でどのような展示があってどのような解説文があるのか把握しなければ、という建前で飛行機代とホテル代を経費に計上して広島県の5-Daysこども文化科学館に行ってきました。

5-Daysこども文化科学館は路面電車の「原爆ドーム前」電停から歩いて5分くらい。近くには平和記念公園や広島城もあります。

入り口はこんな感じ。レトロというか歴史を感じるというか。

あとで調べたところ、この科学館がオープンしたのは1980年で、当時は日本初の子どものための博物館だったとのこと。入館料は無料で、プラネタリウムの鑑賞には高校生と65歳以上が250円、大人が510円となかなかの破格のお値段です。どうやって運用しているのか気になるところ。


さて、中を見ていきましょう。僕が行った日は土曜日でとても暑く、涼むついでに来ているような家族連れで賑わっていました。ちびっこの叫び声が聞こえるのは、その街が賑わっている良い証拠です。

てこの原理を使って自分の体重がわかるというもの。

フォントと色使いから歴史が感じられます。

位置エネルギーでボールがコロコロ転がるというもの。ピタグラスイッチのやや簡略的なバージョンです。

小学生の理科の実験でやったような回路作り。近くを通ったちびっ子が「これ理科でやった!」と叫んでいました。いつの時代も電気回路は男子のロマン。

天井のカメラが人の位置を感知して床を光らせるというもの。これは割と新しめの展示じゃないかな。

光の回折と干渉を使ったホログラフィ。

実験や工作ができる部屋もあって、昔ながらの小学校をイメージしたドアになっています。イベントは事前予約制。公式サイトによると、予約はなんと往復はがき!


他にも展示物はいろいろあったけど、総じて「昔ながらのアナログでベーシックなギミック」という印象をもちました。もちろんアナログが悪いわけではないけど、良く言えば子どもでも習ったこととしてなじみやすい、悪く言えば理科でもやったものが多くてここだからこそ体験できるものではない、という評価になります。

古臭い展示もあります。例えば、テープの再生速度を変えるというギミックがあるけど、これが現代の生活でどこまで実感できるのが怪しいところ。下手したら親世代でもカセットテープを触ったことのない人もいるのでは? テープの再生速度なのに宇宙というキーワードがついているのも謎。

ここでは載せなかったけど不具合で触れない展示が複数あり、メンテナンスが追いついていないかも、とちょっと不安にもなりました。

と思っていたら、どうやら大規模リニューアルを計画しているらしく、2026年度から2028年度にかけて改修工事と展示更新をするそうです。

新しい展示の内容リストを見ると、やはりベーシックなものが多くなりそう。おそらく、ターゲット層は小学生と割り切っているのでしょう。数学やプログラミングも取り入れて、かつ最先端の技術を紹介するところもあるとのこと。ここでしか経験できないものが増えるのは、個人的には賛成です。あれ、生物関係がないなあ……。


観光地の近くにあって立地はかなりいいので、地元の人に長く親しまれているんだろうなあと思いながら今回の視察は終わったけど、リニューアルオープンしたら様変わりして地元で盛り上がるかもしれないです。子どもが楽しみやすい雰囲気はそのままに、科学館でしか体験できないものができてほしいなあと期待しています。

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