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これからの学校のありかた これからの教育のありかた

2020.6.20、前週に続きとても面白そうなイベントがあったので参加しました。

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6月1日に発売された「未来の学校のつくりかた」の著書、税所篤快さんをお招きしてのトークイベントでした。

この本はまだ読んでいないのですが(現在、Amazonで発注中)、タイトルに惹かれ、今回このイベントに参加しました。

これからは従来型の画一的な授業体系(先生が教壇にたち、一斉指導を行うスタイル)だけではなく、学習スタイルに幅を持たせたり、特長ある学校ができて欲しいと願っている私にとってとても興味深いものでした。

実は、税所さんは19歳でバングラデシュに渡り、教育革命を起こした方でもあります。それが、なぜ日本?という疑問もありました。

この本の中で税所さんは学校を5校回っています。
今回はその中の3校のとり組みをモデレーターの二川さんが事例紹介として情報提供をし、その後、実際に著者である税所さんにお話ししていただきました。

事例その1 大空小学校

大空小学校では、以前私も木村先生から聞いたことがある「すってんころりん事件」を取り上げていました。

学校を抜け出し、ある時は追いかけてくる先生を車の荷台に乗って振りきり、ある時は無賃乗車をして逃げてしまうという児童がいました。
彼の担当は新任の青木先生。
ある日、木村校長が「おとなしいな?」と不思議に思い、彼に声を掛けたらその子は急に廊下に走り出しました。
それを見た青木先生が彼を追いかけた次の瞬間、すってんころりんと派手に転んでしまったのです。
その瞬間、彼が突然振り返り
「先生、痛かったね」と言いながら、痛めたところを大丈夫?とさすってくれました。
それを最後に彼の問題行動がなくなったのです。

この事例から、学校が児童を全力で守っている姿を思い浮かべることができました。
当初はどこかで彼を問題児として扱っていたところもあったのかもしれませんが、青木先生の「受けいれる姿」をはっきりと感じ取った児童が学校という場を安心できる場だと確信した瞬間なのだと思います。

このような学校づくりをするため、大空小学校の先生方は徹底的に対話を重ねています。
どんな決まり事でも腹落ちし、納得して決めた答えなので、先生方は言い続けられるし、児童たちにも浸透してしていくのです。
保護者(学校に一歩入るとサポーターと呼んで区別)、地域住民、教職員(教員だけでなく職員も含む)が一体となって大空小の児童を守る、という共通事項が徹底され、根付いている良い事例です。

事例その2 杉並区井出教育長の取り組み

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9年間、学びを地域単位で取り組んできた杉並区の事例が紹介されました。
杉並区の取り組みを知ったのは、実は今回初めてでした。
地域レベルで学びを構築する姿が私の理想の形なので、その取り組みを興味深く聞かせていただきました。
はじめに、モデレーターの二川さんが井出教育長の言葉を紹介してくださいました。

いい街はいい学校を作る
逆もまた然り
地域が大海原だとしたら、学校はその上に浮かぶ船
海が豊かであれば船が豊かになっていく

学校づくりは街づくりでもある
学びの循環が街づくりにつながる


学びの循環が街づくりにつながる循環装置という意味でもハブとなる学校の意味合いは大きいと考えています。

また、先生はあこがれの対象にならなければならないと定義づけています。

情報という海がある中で、先生は「これが大事」というものを示せる存在であり、水先案内人であるのは先生だけであるとしています。
子どもたちは先生をしっかり見ているので、先生の方も自分のことをみているんだな、という自覚をもった行動を取る必要があるのです。

本来、子どもは好奇心のかたまりといわれていますが「今の子どもたちは主体性に欠けている」と嘆いている先生がいるということを井出教育長は不安視しています。
「好奇心がない」ということを子どものせいにしてまうのではなく、大人の在り方が子供に影響している、地域に影響しているということを意識した行動が肝要かと思います。

また、教育長は同じ学校、同じ経歴を踏んできた先生という姿からいろいろな人を迎え入れる環境を提唱しています。
同質ではなく異質のものを管理するということは摩擦をエネルギーに変えていくことにつながるのだとしています。
そして、リーダーというよりはミドル、というマインドを持っていることが大事ではないかと唱えています。

事例その3 N高

最近注目されているN高。
わが家も中学生の息子が今年受験を控え、進学先の候補のひとつとしてあがっている学校です。
N高やクラーク高は本来の「通信教育」という概念を大きく覆した学校です。
それまでの通信高校のイメージは「どこにも行けなかった成績のふるわなかった子がいく学校」という負のイメージしかありませんでしたが、自分の選択肢を広げ、やりたいことを追求するために選んだ学校に変わってきています。
その最たる例がN高に所属しているフィギュアスケート選手、紀平梨花選手だと思います。

教育は誰のためにつくるものなのか、そのために何が必要かを考えさせられる学校です。

税所さんを交えてのトーク

概要説明が終わったところで税所さんが登場。「未来の学校のつくり方」についてお話を聞かせていただきました。

本の出版から2週間で多くの反響を受けて感じたこと。
大空小学校になるにはどうしたらいいのでしょうか
N高みたいになるにはどうしたらいいのでしょうか
このような質問が投げかけられることに違和感を感じているようです。

大空小はあくまでも大空小であるということを知って欲しい。
あの場所であの人たちだったからこその学校であって、一例であるということ。
それぞれの場所でそれぞれの答えがあるのではないかと思います。
インスパイアする一つの場があり、それぞれのキャラクターがあります。
キャラクターをちゃんととらえたうえで話した方がいいと思います。

大空小の木村先生も同じようなことを言っていました。
どうやったら大空小になれるか?
うちに足りないものは何か?
大空が一つの模範解答になってしまっているのは違うのではないかと木村先生は思っています。
映画になって主演女優のようになってしまっているから映画だけをみると魅力的な学校ととらえられ、「あれをまねしなきゃ」なってしまいます。
実際、あれに関わっている教頭、あの時にいた先生の中には木村先生に比べて至らないという思考回路になってしまっている人もいて、木村先生はそれは本意ではないと思っていらっしゃいます。
麹町中でも同じような現象がおこるのではないかと思います。

まとめ

未来の学校はどういう感じになっていくのかを再考する糸口が少しずつ見えてきたような気がします。
このほかにもこの本のタイトルの由来となったお話やおススメの本、音源をたくさん教えていただき、とても勉強になりました。
国内にとどまらず、海外にもアンテナをはっている税所さんならではの視点を感じました。

お話しをうかがって、一人の人間として相手とどう向き合っていくか、自分とどう向き合っていくか、そして互いに対話を重ねていくことにどうちなげていくのかがひとつのカギとなっているのではないかと思いました。

まだまだお話しを聞かせていただきたい、是非とも機会があれば、今度はバングラデシュのお話しも聞いてみたいなと思いました。






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