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ノイズ

フィルムカメラを研究している人が言っていた。皆んながフィルムカメラの「味」だと思っているあの色合いは、実は「ノイズ」だということ。フィルムを現像する時に機械が最適な数式を当てはめることを放棄して、ある程度何にでも使える数式で雑に現像した時にあの色合いになってしまうんだとか、詳しくはわからなかったけど、確かそんなことを言っていた。


小さい時に父が言っていた。いい香水にはほんの少しだけめっちゃ臭い匂いを混ぜるんだよ、と。なぜ子供の俺にそんなことをいきなり言うのかは分からないが、妙に覚えている。


不思議な話だ。ノイズが「味」になったり、最高品質のものにとって重要な役割を果たしていたり。

「ノイズ」という単語は、実は僕もダンスの場面でよく使う。不必要な動きだったりエネルギーのことだ。ダンスを洗練させるとは、ノイズをどんどん取り除くことだ。

たしかに僕のダンスはまだ、底にできたコゲが混ざったカレーみたいなもので、たまに「ウエッ」となる。この雑味、ノイズは取り除かなくてはならない。美味しくするために、ひたすらノイズを取り除くのだ。

しかし同時に、世界の優秀なダンサーを見た時に、その人独特のクセや雑味?みたいなものを発見してニヤニヤと愛でる自分もいる。きっと彼らはそれが板についていて、もう嫌じゃない染み込んだ「クセ」「苦味」として、全体のおいしさと調和しているんだろう。


人はノイズを愛せる。


自分も、人のノイズを愛したいし、「秋刀魚はワタがうめぇんだから」とかいうメンドクサイおじさんでいたいなと思うようになってきた。


そして自分のノイズは、まだ取り除く部分の方が多いけど、悪と決めつけて忌み嫌う必要はないのかなとも思ってきた。どうせ最後にはすくってもすくいきれないザルに落ちるクズくらいのノイズは残るんだ。それも将来的には自分の一部として愛そう。この隠し味が、意外と僕にいい影響を与えてくれるのかもしれない。


というわけで、急にお風呂でノートを書いたので体が冷え切ってしまった。今から上がってチャイを飲みます。

そういえば最高品質のチャイって、最高級の茶葉ではなくて出荷できなかったクズみたいな茶葉から作るって聞いたことあるけど本当かな。

寒くなってきたので皆さんも湯冷めには気をつけてね。




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