The ALFEE の流れる歴史を聴く、"組曲:時の方舟"
*2024年8月25日、The ALFEE50周年記念の今日、プレミアムコンサートでこの曲がクラッシックアレンジされオーケストラと演奏されたそうです!
最高だっただろうなぁぁぁぁぁと羨ましく思いながら、50周年記念というテーマにも沿っているこの記事を少々加筆して紹介させてください。
2022年に発売された最新アルバム”天地創造”に納められた9分近い大作、”組曲:時の方舟” はコーラス、変拍子、アコースティックでフォーキーなギター、ギュインギュインなギターソロ、美しく伸びる歌声などのThe ALFEEらしさがぎゅっと詰まった名曲中の名曲!
配信番組Come On ALFEEで初めてライブ映像を観て、この壮大な楽曲を魅せる照明と演奏・歌唱に感動が止まりませんでした。
その後2023年の春ツアーに参加するために4年半ぶりに帰国を果たし、やっと生でこの曲を聴くことが出来、本当に感無量でした!
今回は絶対にこの曲の考察をしよう!と心に決めて歌詞を何度も読み、曲を繰り返し聴き、色んなアイデアと構想が出来上がっていたのですが・・・・
Come On ALFEE中での(絶対に終わらない)アルフィー50年の年表を思い出した時に全く違う視点が浮かんだのです。
”この曲にはアルフィーの歴史がぎゅっと詰まってる!”って。
THE ALFEE はこれまでに24枚のオリジナルアルバムを出しています(ALFIE時代の1枚目の”青春の記憶”とベスト盤は除いています)。
”組曲:時の方舟”にはそのアルバムタイトルや収録曲を思わせる歌詞やテーマが順番に出てきます。
組曲は8つのパートから成っていますので順に歌詞を追いながらアルフィーの歴史に一緒に浸りましょう!
【Part1 大空の詩】
まず曲のイントロ部分の波の音と鳥の囀りが TIME AND TIDE (1979 8/21) を思わせますね。このアルバムにはあの幸ちゃん作詞の名曲 "セイリング" も入っています。この曲中にも”時の河は流れ続ける、明日に駆ける船よ、広い海を永遠に行け”とこの第一章に繋がる歌詞があります。注:楽曲のTime and Tide はAlfee's Lawに入ってます。
そして、生まれた命が集い(多分3人w)、心に響けよと一緒に歌う大空の詩・・・これは 讃集詩 (1980 5/21) そのものではないですか!
このアルバムにはあの!"Musician" が収録されています。
Part 1はアルフィーの始まりと旅立ちを思わせる幸せな音と歌詞がたくさん詰まっています。
【Part2 嵐の時代】
幸せな始まりが一転して困難が訪れる第二章。
アルバムALMIGHTY (1981 10/21) の第一曲目は "MEET THE ALFEE" というおよそフォークとは呼べない”新しい”音から始まります。面白いことにこの時点でアルフィーはまだ ALFEE と表記されておりtheはついていなかったんです。
前2作はアコースティックなフォークだったのに、この3作目は色んなタイプの楽曲が混じっています。以前ラジオや配信で”船頭がたくさんいてどうしたらいいのかわからない"、と話されていた時期とも重なるのでしょうか。高見沢さんの曲作りもアルフィー自体も嵐のように荒波のように変化したのだと思います。
”新たな大地” はSaved by The Love Song として発表されました(ライブ時代は”大地”というタイトルだったと聞きました)。
後半のクエスチョンの部分はまさに doubt, (1982 4/21) !
押し寄せる不安はバンドの方向性やら会社の方針やら色々あっただろうと思います。
希望と自由はないのでは、という疑い doubt ・不安は”うつろな瞳”に表れ、それを蹴散らすために"Baby don't let it bring you down 悲しみをぶっ飛ばしてー”な曲を聴きながら未来へ向かいます。
【Part3 無の存在】
アルバム ALFEE (1983 1/5) 。これまでライブの動員数は着々と伸びてきたアルフィーでしたが、ヒット曲はまだなく、メンバーにも”そろそろ売れる曲を作ってよ”と言われ、大きな重圧を感じていた高見沢さん。デビューして9年、もうすぐ30歳・・・という時期であり、バンド名をそのままアルバムタイトルにしていることから自身の存在や価値、人気ライブバンドという自信の裏の弱気、などを感じていたかもしれませんね。結成当初から仲の良い3人は、当時のバンドとしての”解散の美学”を周りに押されていたことにうんざりしていたことだと思います。
そして次に出したアルバムがまたまたバンド名を表看板に出した ALFEE’S LAW (1983 9/5)--アルフィーの法則、というタイトル通り、自分達のやり方で!と反逆の姿勢を見せたのかと思います。
その一曲目はあの ”ジェネレーションダイナマイト”!!これこそ反逆の16ビートなアルフィー初のメタル!
そしてこのアルバムにはあの”メリーアン”もありますが、当時のディレクターさんに ”これ、シングルカットしよう” と言われた高見沢さんが半ば投げやりに "いいですよーーーなんでもいいですーー”とOKしたという逸話があります。
結果的にメリーアンの大ヒットでベストテン番組などからALFEEの名が全国に知れ渡り、思い上がらなかったアルフィーさんの未来は大きく広がりました。
Lock Dance については以前記事を書いていますのでこちらを!↓
【Part4 生々流転】
このパートの歌詞を聴いたみなさんは、アルフィーと親交の深い吉田拓郎さんの”イメージの詩”に出てくる”古い船を今動かせるのは古い水夫じゃないだろう”の歌詞が浮かんだかと思います。
ただ同じ”古い水夫”でも拓郎さんのは”考えが古い・時代遅れの”という意味の古い、であり世代交代を促すようなメッセージですが、アルフィーさんのはちょっと違います。
こちらでは古い水夫が新しい帆を上げて、新世界を目指し、自ら航海に出るのです。ということは、アルフィーさんの場合は”時代遅れ”という古いではなく、”昔から今まで続いてきた・熟練の”という意味の”古い水夫”だと思われますね。
だからこそ、その知識と経験をもとに新しい高みを目指して進む・・・まるでこれまでの”上積み(下積みではなく)”を誇りに思いながら進歩・進化を続けるお三方のようです。
このパートのタイトル、生々流転、からもアルバムThe Renaissance (1984 7/5) が思い浮かびます。生き、死に、そしてまた新しい形で復活する・・・
このアルバムにはカシオペアが出てくる”星空のディスタンス”も入っています。水夫がたよりにした星座はカシオペアかな。
【Part5 眠りの小夜曲】
高見沢さんの美しく愛溢れる歌声にのせて静かに語りかけるこのパート、愛がいっぱいのアルバム、For your love (1985 12/5)の色んな愛のうたが思い浮かびます。その中でも ”あなたがそばにいれば”、”あなたの歌が聞こえる”、”確かにFor Your Love” の高見沢さんが歌う切なく胸を打つラブソングに呼応するようなパートです。
”時の揺り籠”・・・一定のリズムで行ったり来たりしながらも、前にも進まず後にも下がらない、愛する人を想い抱きしめるときは時間は過ぎ去らないのですね。
高見沢さんらしい表現です。
【Part6 孤独の力】
その愛に包まれた進まない時間も打破しなければならない時はやってきます。
時代=AGES (1986 11/5)、変わりゆく時代を推し進めるのは前だけを見つめ続ける孤独でもあるーーそんな信念が見える楽曲が多数あるアルバムです。
”WIND OF TIME” ーー時代は変わる、激しく変わる〜誰か愛をわけてくれ、孤独が好きな奴はいない〜俺たちが触れたもの全てGOLDに変わる夢を見た
"THE AGES" ーーAGES! それは君と共に作る、希望への地図広げて〜お前の体で時代を動かせば未来はその手に
"夢の終わりに" ーー河が流れるように時間は想い出をはこんでいくけど、大切なことはずっと二人でいることさ〜maybe tomorrow my dream will come true
【Part7 時の法則】
”時は流れすぎて 夢が叶わぬほど” を聴くとUK breakfast (1987 12/9)の一曲目、"Far Away" に散りばめられた時の流れに嘆く歌詞 ”方舟 遥か時の河を行く〜燃え尽きながらさまよいながら気がつけば so far away” が思い浮かびます。
”生きる意味を知る”のは DNA communication (1989 3/21 )の "DNA Odyssey" にある ”何のために生まれそして消えていくのか何をすれば何処へ行けばいいのだろうか〜生まれた場所へ誰もが帰る〜何のために僕たちは出会うのだろう 新しい命を君と創るためか それとも何かを伝えるためか” などの生への探求なテーマが、”命に永遠はない”けれど見えない次のステージがあるのを暗示する Arcadia (1990 10/17) 収録の "Mind Revolution"の ” 遠い昔 出逢ったことがあるよね そんな記憶を思い出したのさ〜ただ生きてきた証のレボリューション”を思わせますね。
”Flower Revolution”で恋人たちを抱いた花も、敷き詰められたバラも、どんなに美しく咲き誇った花も季節が終われば散りゆく、奇跡を信じながらもそんな次のステージを憂う。
最後に僕らが向かうのは Journey (1992 4/29) という長い暗闇を抜けるための夜明けと未来にへの旅なのでしょうか。
”Run for day break, run for dear life, 振り向かずに未来に辿り着きたいよ〜追いかけてゆく夢だけは どこまでも諦めない”、そんな Journeyは次のパートにも続いています。
【Part8 時の方舟は征く】
さて、最後のパートに来てしまったのですが、まだあと11枚もアルバムが残ってます・・・ので、歌詞通りに 時間の波を蹴って、ちょっとサーっと前に進みますね笑。配信の年表も終わる気配がありませんしね。
それぞれのアルバムの中にこのパートのテーマである困難にも打ち勝ち、自分を信じて前へ進め、夢に向かって前進あるのみ!を感じさせる曲をファンのみなさんは一つ二つ思い浮かべることと思います。高見沢さんは言葉を変え、音を変え、表現を駆使しながらも力強く私たちの舟を動かしてくれる曲をたくさん作ってくれています。
夢幻の果てに (1995 1/20)
LOVE (1996 3/21)
Nouvelle Vague (1998 3/25)
orb (1999 9/29)
Glint Beat (2001 9/12)
Going my way (2003 3/18 )
One Venus of Rock (2006 11/22)
新世界 Neo Universe (2010 3/10)
三位一体 (2015 12/23)
アルフィーの最新アルバムの2枚はまさに未来へ向かって突き進み、新しい境地に辿り着くことを暗示するタイトルです。
Battle Starship ALFEE (2019 6/26)
天地創造 (2022 2/23)
Part8のタイトル、”時の方舟は征く” は、単に前に進む ”行く” ではなく、旅に出る・敵を討ちに行く、意味の ”征く” が使われていることから 宇宙戦艦アルフィー・Battle Starship ALFEEが荒波を行く絵が思い浮かびます。
そしてここまで3人で辿り着き、更なる新しい世界を創造する・・・高見沢さんは50周年を迎えてもなお新しいことや夢に挑戦したいという発言をしています。
3人で歌うのが楽しい、から始まった THE ALFEE の長い旅は50周年を迎えても、まだまだずっと先の未来へ続くことが期待されます。
"組曲:時の方舟"、みなさんそれぞれに自由な聴き方があると思います。
歌詞のみならず、メロディーやコーラス、転調や音の作りなど、これまでのアルフィーの楽曲とのシンクロを思わせる部分もたくさんあります。
私にはアルフィーさんのこれまでの長い歴史を想いながら曲を聴いていると、今まで続けてくれてありがとう、たくさん荒波乗り越えてきてくれてありがとう、歴史を作ってきてくれてありがとう!と感謝にうるうるしてしまう、という発見でした。
いつもファンのことを気にかけて感謝の言葉を惜しみなくかけてくれるお三方。
私たちも方舟を動かしている一員だと思うと感慨深いです。
果てしなく世界を広げつつも小さな個々の胸を打つ、そんな名曲です(高見沢さん天才!天才!天才!)
50周年、本当におめでとうございます!
シマフィー
*ここまで5600字・・・アル中さんもそうでない方もお疲れ様でした、ありがとう!
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